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#どこにでもある異世界転生ファンタジー   作者: 鴉野 兄貴


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拾弐歳 魔王が女性でハーレムメンバーだったりロリだったりおまいら病気だぜ!(褒めている)

『うひゃうははははぁ?! 本当に殿下がうちのような辺境貴族家にきたぁ!?」


 伯爵家令嬢カミラは御歳……やめます。女性の年齢ですから。とりあえず幼さを残す容貌とだけ。


 しかしジメジメ暗いし包帯巻いたり骨だけだったり愉快な家中の人々ですこと。


「え? うちが反乱? ないない絶対ないです。まして私が魔物を率いて『ああああ』ちゃんのお家に復讐? そんな言いがかりはよしてと言いだして何年めですか本当に勘弁してくださいまし。

 それにうちは血族といえども末端です。さらに私はお母様の子供ですのでただでさえ薄い血がさらに薄いのです」


 この一族は純血に近いほど強いですからね。一般論で言えはカミラが魔王になるはずがないのです。


 つかつかとリズが歩み寄り、紙に包まれた飴玉を彼女に無言で差し出します。


「……私に? ありがとう。甘いし美味しいし懐かしいな」


「よし! 捕らえろ!」



 唐突に叫ぶ殿下にビビる伯爵家の当主とその奥様。そしてカミラちゃん。


「これでとりあえずフラグは消化しただろ」

「伯爵さまホント申し訳ない! あとで新鮮な血をおくります!」


 伯爵さまは吸血鬼です。伯爵領民は喜んで彼に血を分けようと列を作るくらいの領民想いのいい人ですので良心が痛みますがいくらなんでも一家全滅家中領民皆殺しよりはいいでしょう。その証拠に伯爵さまも伯爵夫人も抵抗なく捕まってくれました。今縄を解きますからね。


 さて尋問です。

 転生者ではないなら夢の中での転移タイプではないかと今までの付き合いから推測していましたが、敵もさるもので尻尾を出しませんでした。

 だいたい本来カミラちゃんが人間の食べ物を口にできるはずはないのです。吸血鬼でそれができるなら転生者か転移者、感謝の心でご飯が食べられる特殊技能持ちです。

 さあ、ちゃっちゃと吐いてもらいます!

 危険なダンジョンなら潰します!

 あ、危うく原作再現しかけた。ごめんごめんカミラちゃん。呼吸していないし大丈夫よね。



「えっと。確かに私にはふしぎな世界の記憶はありますよ。夢みたいなものですけど」



 ある日うち(公爵家)が攻めてきて領民は虐殺され目の前で殺された両親にすがる記憶、引き剥がされ幼さ残る容姿の彼女に狼藉を働かんとする兵ども。

 絶望と怒りそして憎しみ。そして彼女は禁術を発動させるのです。


「うーん? 確かにお父様とお母様にすがって泣いたのは事実ですが……あくまで夢の話ですよ? それより領民の皆様の笑顔を思い出していました。そして苦し紛れに見よう見まねで呪法を発動しました。お父様お母様、領の皆様の死体や怨念は必要量以上でしたので」


 気づいたら禁術によりダンジョンが出来ていた。いや、ダンジョンが彼女を呼んだといいます。



 ダンジョンは邪法の中の邪法です。

『自立自己判断可能型死霊魔術起動要塞式集合郡体精製呪法』と言われ、死霊魔術における最高峰、不老不死術である自ら真祖吸血鬼になる魔導より高度な魔法かもしれないほどのものです。


 その奥義は多数の死傷者の死骸や怨念や魂や各種感情のるつぼをまとめるダンジョンコアなる媒体を中心として死傷者の遺体を元に作られた永久機関、アンデッドそのものである構造物を精製します。


 ダンジョンは意思を持って周辺の生命を呼び寄せあるときは享楽をそしてある時は絶望を振りまき多数の宝物を生み出して人間をおびき寄せるのです。


 見た目は石造りの塔だったり城だったり洞窟だったり生物的に見えないものが多いのですがまれに本性を表した生物的なグロテスクそのものの外観を持つ危険なものを存在します。


「そのダンジョンを操り王国各地の地下から死者の大軍団による奇襲を是として小さな村落からやがて大都市までを自己増殖する兵で」


 婚約者よ。リズよ寝るな!

 お兄ちゃんもだ!

 長ゼリフ覚えた私がばかみたいじゃない!?


「私のダンジョンですか? そんな恐ろしい機能はないです。その夢のなかでは残念だって正直思いましたけど。

 自立で私のいうことなんて聞かない地下都市型で中にお洒落な店舗や美味しい食べ物がある……ですからヨーイチのことは夢で」


「え」

「え」

「ああああ?」


ヨーイチって誰。日本人ぽい。


「娘よ。その話ではお前にダンジョンコアが渡ったことになるがどうしてそういう暴走をするのか。いくら何でも死霊魔術の講義をサボりすぎだ」

「私、人間ですから全然わかりませんけどカミラがいい子で殺戮を好まないからではと。旦那様」


 伯爵夫人。フォローになっていません。


「そして時間軸をある程度調整します。『オーサカ』と住民は呼んでいました」


 大阪?


「たこ焼き?」

「あ、それヨーイチが好きなのだった!」


 恐る恐るリズが問いただすとこの世界の方が知らないはずの知識が。私も一気に難易度を上げてみます。多分カミラちゃんどころか地元の人でも知らなさそうなのを。


「スナックパークのイカ焼き」

「ヨーイチはもう店舗改装でないから後継の店だって」


 うううん!? カミラちゃん詳しい!?


「パインアメ」


 お兄ちゃんがボソッと呟きます。するとカミラちゃんの顔が一気に明るくなりました。


「お陰でヨーイチに会えた! 『おばちゃん』元気かな!」


 今彼女が知らないはずの『おばちゃん』なる日本語が。というか兄の素性は相変わらず謎。



「待つんだ!」


 そこに父がパアアアンと登場しました。光のエフェクトはいりません。


「味●ビルはまだあるか! グラ●シャトーは? 天満の劇場は?! 天王寺の街は!? 新地は? 新世界は?! 桜橋のアポ●ビルは?! あとあとキャバレー●ンのモモコちゃん(93歳)は元気かい!?」


 必死に詰め寄る父にドン引きのカミラちゃん。


「あ、あの、地下街のみが私の能力範囲ですので」


「使えねえな!」


 めっちゃ失礼です。父よ。


 というか、兄こと弟、実の妹や弟たちがスリッパ持ってます。シンジュ母さまやアンジュ、メイアたちもです。


「すばばばぱぁん!?」


 我が親族一同は豪快に家長である父をはたき倒し、伯爵家一同に謝り倒して連行していきました。


 どうやら父も転生者だった模様です。

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