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スポーツテスト その二

 昼休みの前にチーム分けが発表された。

 学園で最初の行事ということで、基本的には仲の良さや相性でチーム分けしたらしい。

 俺のチームは俺と千歳、そしてなぜか猿弥の三人で一組にされてしまった。

 昼休みに仕方なく三人でまとまり昼食を食べている。


「俺がなんで唯久と一緒のクラスにならないといけないんだ?」


「まだうだうだ言ってんのかよ。俺はもう諦めたぞ」


「私は結構いい組み合わせだと思うよ」


 俺と猿弥がいくら言い合っても結局は千歳の一言で収まってしまう。

 こうなるとやっぱりいいチームな気がしてしまう。


「午後の鬼ごっこって、何か定石ってあるのか?」


「ないな」


「ないね」


 定石があればそれに沿って作戦をと思っていたが、どうやら定石はないらしい。


「ルールは毎年恒例らしいが、先生もローテーションで回っているが、生徒の魔法は千差万別だしな。必勝法ってのはまずないな」


「親子でも精度とかが微妙に違うし、先生も一度やられたら学習するから、過去のテストもほとんど参考にならないんだよ」


 前回はできた作戦は先生側も対策済み、その上相手は格上で勝てる要素は一切ないってことか。

 草部先生も楽しませてください。とか言ってたし、新しい作戦に期待しているってことか。


「クラス全員で行っても勝てないってことか?」


 クラスメイト以外の魔法使いを見たことが無いし、全員より能力が高くても全員よりも強いとは思えない。


「それは無理だよ。このテストは得点が高いから、先生にタッチ出来た人達は良いけど他の人達は頑張り損になるんだよ」


「テストの結果ってそんなに大事なのか? 俺は極々平凡で問題ないけどな」


 よほどの名門校でもなければ、そこまで成績に……、そういうことか。


「わかったか? ここは日本で唯一の魔法クラスがある名門校だ。お前以外の全員が主席の座を狙ってるんだよ」


 そう言えばそうだった。

 あまりにあっさり編入してしまったせいで、ここが名門校だという自覚がないままだった。

 それは確かに得点を気にするか。


「だから私達三人で先生に一矢報いないといけないの」


 何か引っかかりを感じたまま弁当を突き、作戦会議をする。

 人数の少なさや自分達の能力不足が原因で、考えられる作戦はどれも平凡で驚きにかける作戦だった。



「今回は私が鏡の世界の扉を開けます。全員の場所はランダム、私のスタートは学校の中央です。場所がランダムと言っても学校の敷地外で、大照町の中です。それではそれぞれ自分のチームが表示されている扉に入ってください」


 俺達の番号は九番だ。

 扉に入ると、目の前は大鉄と勝負をした工場で、周りにはちゃんとチームメンバーが揃っている。


「とりあえず場所を移動しよう。できれば目立たない場所に行きたい」


「お前に命令されるとか従う気にならないな」


「お前が俺を指揮役に任命したんだろ」


 俺が不満げにしていたので、そんなに不満があるならお前が指示を出せばいい。と言ったため、基本的に俺が全員に作戦を指定することになった。


「それなら森に入ろうよ。学校からは離れる方向に行ってさ」


 千歳の案を採用して山を更に登っていく。

 頂上までは行かずに頂上からも少し外れた場所に身を隠す。

 これからどうしようかと思った瞬間、大きな衝撃音が周囲に響いた。


『四班全員捕獲により失格です』


「四班って誰だっけ?」


「大鉄くんと小石ちゃん、それと中平くんだね」


 最強と言われていた連中が秒殺だった。

 大鉄は盛り上がってたもんな、大牧は大鉄と一緒なら文句はないだろうけど、可哀想なのは均だな。

 中平均は一言で言えばオールラウンダーだ。

 クラスメイトの中で一番、魔法使いとして歴史が長く、そのおかげで全種類の魔法に秀でている珍しい魔法使いらしい。

 そんな均と大鉄に大牧の一年最強チームが秒殺されるほどの力量差か……。


「これ、無理じゃね?」


「だから行ってるだろ? 逃げ一択だって」


「猪川さん、そう言わずに是非私とぶつかってみてはどうですか?」


 ふわりと一陣の柔らかい風がよぎったと思った瞬間、目の前に草部先生が現れた。

 最強チームを倒しておいて汗一つかかず、教室に居た時の様に皺ひとつないスーツ姿。


「プランE!」


 俺が叫ぶと二人はすぐに行動に移る。

 俺も書換の魔法で自分の体を弾丸に変える。

 一気に踏み込み、先生が吹き飛ぶイメージを浮かべ、自身を射出する。


「それはもう見ましたよ」


「止められるのは知ってますよ」


 俺が地面を抉る音に隠れた破裂音は先生の耳に届いてはいなかったらしく、俺を超える速度で打ち込まれた猿弥の弾丸は先生の目前に迫っている。


「このくらい私が止められないと、んっ……!」


 弾丸は先生の視界を塞ぐように巨大化し壁に変わる。

 俺はその壁に衝突し、すぐに姿勢を変える。


「それじゃあ、俺達は逃げるんでっ!」


 弾丸の壁を足場にし、俺は反対方向にいる二人の手を掴み、先生の視界塞ぎながら全力でその場から逃げ出した。

 山から離脱し、俺達は商店街に着地した。


「急いで離れよう。先生ならすぐに向かって来てもおかしくない」


 俺達はひとまず住宅地に逃げ込むことにした。



「やられました。今のはビックリです」


 脱落者なしで私から逃げられるとは思いませんでした。

 セオリー通り工場よりも目立ちにくい森に逃げたので、期待外れかと思っていましたそうではなかったですね。

 初めて見る逃げ方でしたね。

 自身が囮で本命は弾丸。

 その弾丸も猪川さんと胡ノ宮さんの合作。

 速度だけを追求する猪川さんの銃に、スコープ代わりの胡ノ宮さん。

 目の前の弾丸は避けても掴んでもどっちみち鉄板で、夜市さんの足場兼私の視界を封じる。


 これはきっと夜市さんの作戦ですね。

 猪川さんと胡ノ宮さんでは思いつかない作戦です。

 それでもまだ足りませんが、魔法使いにはない一般人の感性ですか、これは中々に期待できます。

 いきなり逃げる事もなく立ち向かった四班の面々も、中々面白かったですがいかんせんあの奇襲をするにはレベルが低い。

 今後に期待ですね。

 さて次はどこのチームを狙いましょうか。

 九班は最後の方が面白そうですし、彼らが逃げたのと逆の方を狙いましょうか。

 私は次の行先をざっくりと決め、移動を開始します。

 次の班も面白いと良いですね。

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