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俺のスキルはウィキ〇ディア!—借金苦で自殺も考えたけど異世界でハーレム生活する―  作者: 平野笹助
異世界転移、㈲世界渡航 ~港町エールネでの生活~
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5話. また不意打ちもろた。

「ヨウイチ、大丈夫か?」

目の下に隈を作り、半分寝ぼけた様な俺の顔を見詰めて、レニアは少し心配そうな顔をしている。

素直に緊張して眠れなかった。なんていうのは癪なので枕が変わると寝られないくらいデリケートなんだと伝えたら、今夜からは腕枕にしてみるか?なんて悪戯顔で聞かれて、一気に目が覚めてしまった。

想像してみて欲しい。

目の前にいるのが好みドストライクの5割増し美人。

そんな女性と一対一の同棲生活&同じベッドでお休みだ。

百歩譲って違う寝床だったとしても、これはかなりのハッスル事案だと思う。


 何言ってんだ俺‥‥。


 そんな悲喜交々は置いといて、一夜明けた今日、冒険者ギルドや武具・道具屋に連れて行ってもらう話だったハズが、朝一の起き抜けにレニアから「大事な話がある」なんて言われて、朝飯直後に食卓に向かい合って座っている。

もしかしたら「結婚しよう!」「いや、冒険したいから」なんて修羅場じみた話が広がるのかと思ったら、俺の目の前、食卓テーブルに見知った硝子瓶が2つ並べられた。


「‥‥‥ん?これって」

「その‥‥、本当は昨日のうちに言わなきゃいけなかったんだけど‥‥」


何処かバツが悪そうにレニアが言うもので、俺は一瞬面食らってしまった。

少しだけ混乱はしたけれど、話しづらそうにしているレニアに詳しく聞くと、なんでもあの川(ラッタ川というらしい)のほとりで話した内容から、普段から素行の悪かった不良冒険者パーティ【黄金の風(ゴルドウィンド)】への制裁を加え、その際に俺がまんまと奪われたポーションを回収してくれたという。

ファングボアの素材納品でギルドのカウンターに行ったら、建物内の酒場で飲んだくれていたバッシュとジェイルを見つけて、ギルド長と一緒に締め上げてくれたらしい。


随分と出来過ぎた話だ。奪われた側の俺が言うのもなんだけど、此方に隙があったから起きた事だしこういう事件は表ざたにならずに消えていくんだと諦めていた。

お礼と共に詳しく聞くと、そもそもポーション云々以前から素行の悪さと不真面目な態度、活動報告に虚偽の情報を出したりと、エールネの冒険者ギルドでも目を付けられていたそうで、そこに今回の強盗事件で決定打となったらしい。

町の中には門番と同じく領主の私兵・衛兵と思しき姿も確認できたが、冒険者ギルドはそれらとは別の独立した権力・防衛機構を持っているのかも知れない。


「もしかして、レニアってすごい冒険者なのか?」

「別にすごい訳じゃないよ」


満更でもなさそうな照れ顔だし、昨日別部屋の住人と話した感じから、レニアはやっぱり凄腕なんだろうと思う。

改めてお礼を言ってからポーションをアイテムボックスにしまい、2人で町へと繰り出した。

因みに【黄金の風(ゴルドウィンド)】のメンバーは全員が資格剥奪の上で冒険者ギルド地下に拘留され、裁判待ちらしい。

そのまま下級労働奴隷としてどこか遠い所に連れていかれるだろうって話だ。

なんにせよ、ポーションが戻ってきた事をレニアとギルドの人たちに感謝せねば‥‥。



――――――――――



 先ずは冒険者ギルドで登録を済ませた。

ランク1からのスタートで、功績に応じて最大10まで上がるシステムだそうだ。

因みにエールネの定住者の人口が大体2000人くらいで、商人や旅人、依頼などで遠征してきた冒険者の合計が7~800人くらい。

定住冒険者は15人クラン2つ、6人パーティ4つ、個人が15人で、レニアと同じランク5は2人だけ、ランク4も1人で、レニア以上の者はランク7だが定住冒険者ではない人が1人滞在中なだけらしい。やっぱりレニアは凄腕だった。


昼前には町を出て依頼を済ませる予定だったので、昨日レニアが受けていたのと同じファングボアの討伐依頼を受けてギルドを出発。

そのまま武具屋へと向かった。

神様からもらった毛皮の小手と脛当、そして鉄剣はそのまま使うとして、胴や太ももなんかの重要な場所を守る為の鎧が欲しい。

レニアと一緒に選んでいる最中に、スタイリッシュな鋼鉄の鎧を見つけたけど、試着以前に持ち上げられなかったので断念。

マスクにもなる革の頬当(銀貨5)、革制のコルセットに鉄製の胸当て(銀貨15)、肩から胴に斜めに回して固定する形の銃弾をしまう様な小さなポケットが5個付いたベルト(銀貨1大銅貨2)と、腰に装着できるポーチ(大銅貨3)、あとは膝までカバーできる要所が革で補強されたズボン(大銅貨4)を買った。


小銅貨x10=大銅貨x5=銀貨x10=小金貨x10=金貨x10=黄金貨x10=白金貨で、小銅貨1枚が20円くらい、金貨1枚が10万円くらいになるみたいだ。各貨幣の価値は金や銀の産出量で変わるので、大体これくらいっていう感じらしい。

レニアが狩っていたファングボア1体の討伐報酬が小金貨2枚。素材を売れば銀貨3枚くらいになるそうな。


 中規模の商店で一日働くのが銀貨5枚~小金貨1枚くらいで、これだけ稼げれば一人前の大人と言われるとか、なんとか。

今の俺ではかなり遠いんじゃないだろうか‥‥。

まぁ、外に出る前から暗い顔してたらレニアに心配かけちゃうし、最初から何でもかんでもできるとは思ってない。

店主に礼を言って道具屋に向かい、薬草やポーション、胴ベルトのポケットに入れられるサイズのガラス容器3つ買ってから町の外へと向かった。



――――――――――



「ヨウイチ、アンタ思ったよりやるけど、思ったより弱いね」

尻を突き上げて地面に突っ伏した状態の俺の頭上に、レニアの声が降りかかった。

スキルのお陰か、ゴブリンと呼ばれる緑色の肌をした人間の子供くらいの亜人も3体までなら倒すことは出来たんだけど、群れで活動していたらしく切り伏せたゴブリンの仲間(3体)に囲まれた俺は、あっけなくボコボコにされて地面に埋もれる形となった。


 ゴブリンの討伐は1体大銅貨1枚、6体の群れで銀貨5枚、10体の集団だと小金貨2枚になり、以降1体ずつにつき銀貨1枚が追加されるらしい。

数の暴力っていうのは恐ろしいと、改めて実感した。

ファングボアが飛び出してきた事にビビった俺が、近くにいたらしいゴブリンの群れに飛びかかられたのが原因なんだけど、1人でファングボアを切り伏せたうえに俺が致命傷を負う前に残り3体のゴブリンをあっと言う間に倒す程の実力派なレニアに脱帽だ。


棍棒で殴られた打ち身に潰した薬草を刷り込みながら、少し情けなくなってレニアにお礼とお詫びを告げたら、おでこにチューされてしまった。


「ゴブリンの群れに突っ込んで3体は殺したんだ、初めて武器振ったにしては上出来だよ」

武器を始めて振ったのは先日の180㎝くらいの緑の化け物相手なんだけど無かった事にしておこう。

背嚢からロープを取り出してファングボアを吊り下げ、血抜きの準備を始めるレニアの手伝いをしてから、倒したゴブリンの討伐証明になると教わった特徴的な額の一本角を、両手を合わせて祈ってから抉りとる。

ぬおぉ‥‥、血なまぐさいしグロい。気持ち悪くなってきた‥‥。

若干クラクラする視界を頭を振って正常に戻し、ふと気になってステータスを開いたらレベルが1上がって3になってて、スキル[不意打ち]も覚えていた。ゴブリンにとっては俺の乱入が不意打ちになったんだろうか。

もっと楽にレベルアップする方法は無いかと考えながら地面を掘ってゴブリンの死体を埋めているとレニアから声がかかり、血抜きが終わったファングボアを降ろして解体のために昨日の川へ向かう事になった。


「ん?これなんだ?」

「あぁ、魔力の屑血晶だね」


ファングボアから抜けた血が広がる地面に、1㎝角程度の結晶が落ちていた。

どうやら魔力を持つものが生命活動を終えると、血液が集まって結晶化するらしい。

大きい物は魔力結晶や魔石なんかと呼ばれて色々な事に使われ、またそこそこの値段で売れるんだとか。

小さい物だと、血晶石。更に小さい今回の様な物は屑血晶と呼ばれて、売り物にはならないらしい。

強くない魔物や亜人だと、そもそも魔力が結晶化しないという事なので、折角だし記念に拾わせてもらった。


昼前に町を出てから途中で軽食を摂って、今いるところまでは結構歩いたので、解体を済ませて町に戻るのは夕方過ぎになるらしい。

川まで出れば町はそんなに離れていないので、急げば十分安全な時間に移動を終えられるとレニアが教えてくれた。

取り合えず移動しつつ電脳魔書で色々調べよう。

さっきの攻防で学習した俺は、道具屋で買ったガラス容器に神様から貰ったハイポーションを移してからベルトに収納して歩き出した。



――――――――――



 他愛のない話をしながら調べていると、[経験値取得量増]のスキルの存在を知り、取得しておいた。これでレニアに少しでも追いつければ嬉しいな。

[経験値取得量増]を覚えるにはスキルポイントが必要で、スキルポイントなんて有ったっけ?と思ったら[スキルポイント解放]が必要。

その[スキルポイント解放]にはステータスを開いた状態でスキルポイントを調べるという意思が鍵になっているという面倒な設定だった。

若干不親切設計にげんなりしつつ、電脳魔書で調べれば他のスキルも手に入れられる事が分かったので大きな一歩になるんじゃないだろうか。


「そういえば、レニアはどんなスキル持ってるの?」


疑問に思って確認したら、レニアは[身体能力増][中級剣術]マスターと[上級剣術][隠密][解体術]を持っているらしい。

レニア自身のレベルも聞こうと思ったら「なんだそれ?」と言われたので、この世界の人はステータスを開けないのかも知れない。

色々と勉強になるなー。なんて思いながら、ゴブリンを含めて脅威度の話になったので、ファングボアと180㎝の亜人のどっちが強いのか聞いたら、レニアの顔つきが急に厳しくなり、両肩をつかまれた。


「でかい人型で黄緑色の肌だって!?どこで見たんだい!?」


必死の形相のレニアに、何が起きたのかと一瞬惚けてしまったけど、事情を説明した。

俺の話を聞くレニアの顔色が悪くなっていくのを見て、失敗したかと思ったが、どうやらそうでは無いらしい。


単体脅威度がファングボアより若干低く、パーティであればランク2や3でも討伐できるオークと言うモンスターらしい。

しかしそれはあくまで単体での話で、オークは5体程度の群れで移動する性質を持っていると教えられた。

黄金の風(ゴルドウィンド)】の奴らが報告しなかったのは、俺に対する強盗行為が露見するのを恐れたからだとレニアが予測しているが、街道沿いの戦闘痕で分からないのかと聞くと、オークは仲間の死体を食う性質も有って、一気に殲滅しないと脅威度が段々上がっていく厄介な存在なんだそうだ。


「くそ、アイツら捕まった腹いせに黙ってやがったのか‥‥、いや、それよりも早くギルドに知らせないと!」


言い終わったレニアが俺を振り向いて口を開いたが、彼女の言葉を聞くよりも先に俺の体は吹き飛ばされていた。

レニアの悲鳴を耳に受けながら森林地帯特有のデコボコした地面を転がる俺の視界には、天地が激しく回る中にあの黄緑肌の巨体が映っていた。

不意打ち持ちが不意打ちされてどうするんだよと思ったけど、とにかく立ち上がろうとして左腕に痛みを感じ転がってしまった。

見ると肩口から上腕にかけて石斧が食い込んでおり、バカみたいな量の血が流れている。


余りの痛みとショッキングな映像に目を白黒させていると、レニアが大声で俺を呼んでいる事に気が付く。


「ヨウイチ!立って!町に走ってオークが出た事を伝えるんだ!!」


町には多くの冒険者が居る。もし5体でこの森に来ていたとしたら、2体は倒しているからあと3体。

十分に討伐できる数だろう。

今は一対一でオークを抑えているレニアは俺とは比べるまでもなく強い冒険者だ、あんな化け物くらいすぐに倒して追いついてくる。

混乱する頭で彼女の言葉を遂行するべく走り出そうとして、俺の行動は完全に停止した。



木々の間から黄緑の巨体がもう一つ、目の前に現れた。

毎度ご閲覧ありがとう御座います!

前話投降後に色々と事情が変わったので、確認がてら‥‥。

活動報告にも書いたんですが、投降ペース、というか今後の更新頻度などで少し悩んでいます(^ω^;)

もしよければご意見を頂きたく候_(._.)_

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