ハジマリノトキ
とある日の夕方。トキヤは空を眺めていた。
かつては栄えていたこの東京の街も、今となっては見渡すばかりの荒野となっていた。
二十年前、突如として現れた「人食類」によって世界は滅ぼされてしまった。彼らはその名前の通り、人を食べる種族だった。今まで自分たちが生態系の頂点と言わんばかりにのさばっていた人類は、太刀打ちすることが出来ず進行を許した。そうして世界の人口の3分の1が「人食類」の餌食になってしまった。人類が滅亡してしまうかと思われた矢先、不思議な能力を持つ人たちが現れた。彼らは精霊と心を通じせることによって力を発揮させる。この力は「人食類」をも打ち倒す強大なものだった。
「あー、今日も退屈だったなー…」トキヤは足元の石を蹴り飛ばしながらそう言った。「人食類ってのは強いんじゃないのか?どうしてこんなにもあっけなく倒せてしまうんだろう」
彼は人食類を倒すことで収入を得ていた。「どっかに戦いがいのある奴はいないのかな」
グラララララ
突如トキヤを大きな揺れが襲った。
「なんだ?地震か?」そういった直後、地面が割れて3mほどの高さの人食類が出てきた。「嘘だろ、こんなでかいのは初めてだ!」手に火を纏わせながらそう言った。「くらえ 煉獄陣!」そう言い放つと人食類は火に包まれた。それはさながら焔の檻にでも閉じ込められるかのように。暫くして相手が動かなくなった。
「なんだ所詮でかくなってもその程度か」そう言い放ちながら踵を返した。その瞬間首筋に鈍い痛みが走った。それと同時に10mほど吹き飛ばされ瓦礫の山に倒れ込んだ。「なんで…さっき倒したはずじゃ…」トキヤの目の前にはさっき倒したはずの人食類が立っていた。「これが俺の最後か…」そんな事を考えていると、人食類が凍りついた「!?」何があったのかしばらく理解できなかった。「少年、大丈夫か?」20代後半くらいの男の声がした。「レクオンの一撃をくらって生きてられるとは…君はよっぽど運がいいな」「レ…ク…オン?」かろうじて保たれている意識の中、トキヤはそう尋ねた。
「そうか、君はまだ知らなかったのか」そう言うと男は説明を始めた。「人食類にも強さの階級がある。一番下の階級がヘイト。その次がナタラ。その次がレクオンそこで凍りついているやつだ。」そう言うとひと呼吸おいて続きを話し始めた。「階級がひとつ上がる事に、強さは数百から数千変わると言われている。君が普段相手にしているやつはヘイトクラスだ。」「どうして…俺が戦ってることを?」相変わらず辛そうにそう言った。
「ずっと見てたからだよ」男はそう答えた。「ハンターの人手不足は深刻でね、そこで君に頼みがあるんだ。僕達と一緒に戦ってくれないか?」その言葉を聞くと同時にトキヤは意識を失った。