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掌編小説集7 (301話~350話)

選択

作者: 蹴沢缶九郎

朝、目覚めた私はこのまま起きるべきか、それとも再び寝るべきかで悩んでいた。今日、仕事は休みなので寝てしまっても良いのだが…。

そこで私は枕元に置かれたカード型の装置を手に取り、表面の赤いボタンを押した。すると、装置の画面に、「起きる」との文字が表示され、私はそれに従いベッドから起き上がった。

私が今手にしたカード型の装置は、『選択機』と呼ばれる装置で、複数の選択が迫られた場面でボタンを押すと、装置が使用者の脳波と状況を自働で読み取り、その時に最も適した正解へと導いてくれる。


選択機の存在は、人々の暮らしを進歩させた。何しろ選択機に任せておけば間違いがなく確実である。例えば食事、レストランの数あるメニューも、選択機のボタン一つで自分の食べたい物を決めてくれる。無駄な時間を最小限に抑え、貴重な時間の節約になる。

私程の人間ともなると、その日に着る服や、果てはベッドから出るに左右どちらの足から出るべきかまでを選択機で決めている。全くもって便利な世の中になったものだ。



せっかくの休日だ、出掛るべきか否かの選択を選択機に任せ、画面の表示に従い家を出たところで、携帯電話に部下からの連絡があった。選択機の指示に従い出ると、電話向こうの部下は何やら慌てた様子で言った。


「大変です大統領!! A国が我が国に対して経済制裁を…」



部下との電話を終えた私は、選択機の指示通り、自室に厳重に保管されたアタッシュケースを取り出し、その中にある核ミサイルの発射スイッチを押した。

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