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異世界―召喚―

 ここは、




――目覚めましたか。異世界から呼ばれし勇者よ――



 ここは一体どこだろうか。



――貴方にはこれから魔王を倒す―



 大勢の人に囲まれている。

 普通の人だけでない。長い髪から尖った耳を覗かせる人、小柄な身長と額から一本の角を伸ばす人、本物の様な翼や尻尾を生やす人、日本人ではないような顔立ち、見たことのないような髪の色、肌の色が目の前に並び、コスプレのような現実離れした服で身に包んでいる。




――ための子供を沢山作ってもらいます――



 視線を横に向けるとでかいトカゲや魚人、顔が動物身体が人間の様な者達がズラッと並んでいる。

 ただの獣までいた。




――怖がることはありません。我々に身を預け、協力してくれればそれでいいのです――



 自分の身体を見ると、いつの間にか産まれたままの姿になっている。

 理解の範疇はんちゅうを超えるこの状況。その姿を豚のような何かが鼻息を荒くして凝視しているのを感じ、腕で、足で、背中でその視線から身体を守ろうとする。



――残念ながら、今の貴方は魔力も体力も弱く子を作るのにも問題があるかもしれません。ですが、我々が真摯しんしに貴方を鍛え上げ、来るべき魔王との戦いに向けて勇者の父として理想のものに仕立て上げることを誓います。ですので、それまでは誰にも手をつけないようお願いします――




 何を言っているのか、脳が理解を拒む、子? それよりも何だこれは。

 誘拐だろう、犯罪だろう、おかしいだろう……


 頭の中をぐーるぐーるとそれらが回り続ける。



――勿論貴方には子作りをしてもらいますが、それだけではなく欲しい物は可能な限り与えましょう――



 ふざけるな、早く家に戻してくれ、警察を呼ぶぞ。


 しかし、強く考えても言葉は口からは飛び出さない。気持ち悪い何かが口を覆うかの様に言葉は喉元まで来るが再び奥の方へと収まってしまう。


――さぁ、異世界から呼ばれし勇者よ。今はお休みなさい。次に目覚める時には貴方はこの世界に順応した存在になるでしょう――



 その気持ち悪さは身体に入り込むように広がっていき、思わず膝を着くがそんな痛みは頭に伝わらない。感覚が視界だけになったかのような浮遊感。視界は宙に浮かび、そして浮かんだ視界は一瞬で顔一杯に広がる床になる。


 睡魔が重くのしかかり、意識はゆらりゆらりと揺れていく。



 誰か、



――貴方に世界神アルキドゥトラの加護がありますように――



 助けてくれ

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