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短いキス

作者: silvia

「先輩!」

私は、前を歩いていた石田先輩に後ろから声を掛けた。


私の大学は男が7割に対して3割が女。

だから、私の周りには普通に男の人の割合が高い。

勿論、石田先輩も男の先輩である。



「おう、珠樹か。もう、講義ないのか?」

「終わりましたぁ。」

「じゃぁ、送ってってやる」

そう言って車のキーを出した。


「ラッキー」

アパートには歩くには遠く、車を持つにはその前に免許取らなくてはならず・・・。

中途半端なところに大学があるため交通手段も微妙。

だから、学生の車の所有率は高い。



「そうだ、お前に土産買ってきたんだよ。俺の部屋よってけ」

「お土産なんてうれしい。ありがとうございます」

結構、この先輩には可愛がってもらっている。元々面倒見のいい先輩ではあるが、多分後輩の中でも特に可愛がってもらっていると思う。



「お邪魔しまぁす」

部屋にお邪魔しようとした時

「戻ってきたかぁ?」

と後ろから急にドアを持たれて思わずよろけてしまう。

「あ、ごめん。ってあれ?」

「・・・こんにちわ・・・。」

動揺してしまった。

数回、見かけたことのある、よく揉め事を起こす彼女の彼氏として噂されていた、けれど一度も話したことのない先輩の岡田さんだったから。

「何で珠樹ちゃんがここに?」

って言うか、なんで私の名前知ってるの?なんで、ここにいるの?って言うか、私なんでドキドキしているの?


「おう、ただいま。珠樹に実家の土産渡そうと思って」

「あ、そっかそっか」


背の小さい私の上で飛び交う会話。

話に混じる事もできずどうしたらいいかわからなくなっていたとき

「とりあえず、ここの玄関小さいし寒いから中に入ってくれない?」

と笑顔で石田先輩が言った。

「あ、ごめんなさい」

慌てて中にお邪魔する。


「そういえば言ってなかったよな。一週間前からうちの隣に引っ越してきたんだよ」

と言って岡田先輩を紹介してくれた。

「よろしくね」

「こいつは俺の後輩で・・・」

「知ってるよ、珠樹ちゃんだろ?」

「おう。って、何で知ってるんだ?」

「そりゃぁ、この女の少ない大学でなお且つお前の後輩とかだったら名前と顔ぐらい一致するさ」

私の名前を知っていた理由がわかり思わず

「なるほど」

と言っていた。



その後、何故か3人で大いに盛り上がり夕食も一緒に食べに行くことになった。

「ちょっと、俺着替えたいしシャワーも浴びたい。珠樹、岡田の部屋で待ってて」

と言って、石田先輩に部屋を追い出され2人で岡田先輩の部屋に行くことに・・・。



「っていうかお邪魔していいんですか?」

「・・・、駄目でしょう?一人暮らしの男の部屋に一人出来ちゃ」

「え・・・、だってそれだとここでは遊べないですよ。それとも私先輩に襲われちゃうんですか?」

そんな事をいいながら、岡田先輩の部屋にお邪魔する。


「・・・、だから簡単に男の部屋に入るなって。俺が襲ったらどうする?」

「岡田先輩ならいいですよ」


急に二人きりになって緊張して、けどこのドキドキは緊張だけではなくて。

ましてこんな会話をしていると尚更ドキドキはとまらなくって。



「おまえねぇ、そんな事簡単に言ったら駄目だろう」

そう言いながら短いキスをした。


本当に何の前触れもなくいきなりでなんていって言いかわからず・・・

「あの・・・、石田先輩が・・・」

「珠樹ちゃん、石田の事好きなの?」

ビックリしたように聞かれた。

「いや、好きじゃないです」

「よかったぁ」

そう、優しく笑うともう一度キスされた。今度は手を握られながら。


「先輩、彼女は・・・?」

「言ってなかったけ?もう大分前に別れてるよ」

「あ、そうなんですか?」

「そ、だから」

だから?

答えを聞く前にまたキスされる。



ピンポーン

「用意できたぞ。はらへったぁ」

石田先輩が玄関を開けながら声を掛けてきた。

「ぅわ、はーい」

思わず動揺してしまう。

岡田先輩の顔がまともに見れない。

「今行く」

岡田先輩が優しくニコッとしながら私の顔を覗き込む。














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