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プロローグ

プロローグ

 自身の行いを悔い改めよと、神がいるのなら言うのだろう。

 神様が実際に居れば、おそらく俺はいの一番に罰が当たる。だが、神様なんてこの世にいない。

 ただ、神様がこの世の中に居なくとも、正義を気取って罰を与える者は少なからずいるのだ。

「くそっ……」

 家を出て数分でつけられている事に気付いた。この世界は俺の事が嫌いなのだと思う。全てから逃げてきて、もうかれこれ何カ月かは経っているはずだ。

 逃げるなんて臆病者の所業だ。絶対無敵のこの俺が、魔法じゃ負けないこの俺が、今は逃げるしかない立場なのが口惜しい。

「……変わり身なんざ星の数ほどいるさ」

 今度こそ、逃げきる自信があった。世界でも類を見ない、俺にだけ出来る魔法だ。

 たとえ、相手がどんな奴だろうとも俺と全く同じ方法でなければ追いかけてきて仕留めることはできやしない。

 時折聞こえる防衛魔法の音に臆することなく、俺は目的地である空地へと逃げ込んだ。

 運命から逃げることはできない。ただ、身代わりぐらい、一瞬だけでも居場所を変わってもらう事は出来るのだ。

 この世界では俺のやりたいことなんてできやしない。

 この世界に未練なんてなかった。

 たった一つ、欲しいものがあるとするなら……。



――――――――



「大将がおいでなすった……逃げられると確信している顔がむかつくねぇ」


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