とある絶海の孤島。
島は多くの木々に覆われ、野生動物たちが静かに暮らしている。
今の時代では有り得ないほど、平和な気配がそこには漂っていた。
そんな森の奥に動物たちでさえ近づかない場所があった。
そこには、近づき難い神聖な雰囲気を纏う城が建っていた。
昔の王族が住んでいそうな城の中に、固く閉ざされた巨大な扉がある。
中には一人の青年が荘厳な玉座らしきものに座って静かに眠っていた。
青年は神々しい白銀の鎧を身に纏っており、その顔だちや体の一つ一つがまるで人間として最高と言えるほど完成されていた。
長い睫で覆われた目が、静かに震える。
「ん……」
青年は静かに目を開けると、まるで星空のように輝く黒色の瞳が姿を現した。
「…………」
未だにぼんやりとする頭が徐々に覚醒していくと、青年は静かに口を開いた。
「……あれからどれだけの時が……」
その声すらも至上の音色を奏で、この場に他の人間がいれば思わず聞き惚れていたことだろう。
「ん……? ……そうか。まだ、いるのだな……」
何かに気付いた青年はおもむろに立ち上がると、優雅な足取りで扉に向かった。
「……行くか」
青年が扉に軽く触れると、扉は静かに開く。
――――こうして、人類の守護者は静かに目覚めたのだった。