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3話 モグリ

「なんでこんなことに…」


そんなことをつぶやきながらユーリは宿屋の一室で椅子に座って頭を抱えていた。

横目で確認すること黒い人型生命体がベットで跳ねて遊んでいた。

見れば見るほど分からない…黒い糸状の何かが黒いもやにグルグル巻き付いて人型になっており、丸い顔の部分には白目が二つ…冒険者になって長いがこんなモンスター見たことがない。

そもそも何故俺のリュックにいるんだ?俺が確認したときはいなかった。

考えがまとまらず椅子にもたれ掛かりその光景眺める。


「しかし本当に禍々しい色してるな…こいつ」


ユーリがそう言うとその言葉に反応したかのように頭に飛び乗りポコポコ叩いてきた。


「ちょっと待て!待てって!分かった俺が悪かった!」


するとまたもベットに戻っていきこっちを眺めている。


「お前もしかして俺の言ってること分かるのか⁉」


その問いに奴はこくりと頷いた。

理由は分からないがこいつは言葉を理解しているしその問いを伝えるための行動も知っている。

しばらくユーリは奴に話しかけて情報を聞き出そうとした。

そして分かったのは気が付いたらあの遺跡に居たこと、長い年月その遺跡で暮らしていたこと、そこに俺が天上から落ちてきたことなど。


「そうか、悪かったな。お前の家壊しちまって」


そう言うと俺の膝の上に乗りポンポンと叩くいて励ましてくれてるようだった。


「お前本当に変な奴だな」


そう言って笑うと馬鹿にされてると思ったのか足で蹴ってくるのを見てまた笑った。

しかしこんなに誰かと話したのは冒険者になって初めてだった。

なにも考えずに笑ったのも。

しばらく笑っていたユーリの目から涙が流れた。

小さな笑い話だったのかもしれないがユーリにとっては何故か今までの過去がすべてが報われた瞬間のように思えた。

しばらくしてからユーリはいじけてる奴に話しかけた。


「なあ、お前行くとこ無いなら俺と一緒に来ないか?」


自然と出た言葉だった。

驚いたようにこっちを見ている。

するとこくりと頷いて頭に飛び乗って動かなくなった。


「そういえば一緒に行動するなら名前いるよな」


そしてしばらく考えて色んな所に潜り込むとこからモグリと名付けた。


「よし!お前の名前はモグリだ」


そう言うとモグリは嬉しかったのか「ピィ」と鳴いた。


「そういえばお前どうやってリュックの中にいたんだ。俺が確認したときいなかったよな?」


ユーリが尋ねると急に頭からベットに飛び移り奴の身体が黒いもやに包まれ俺が使っている剣になった。

驚愕のあまり言葉を失っているとまた黒いもやを出して人型に戻った。


その光景に頭が追いつかずしばらくしてからユーリは考えるのを辞めベットに倒れこみそのまま眠りについた。


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