6/40
ようこそ、呪われた街へ#6 コインの裏側の世界
「---何も怯える事はないさ。その子達は君に害を与えない。“今は”だけどね。」
公園の入り口から聞こえてきたその声に思わず振り返った。
彼女には身に覚えがあった。
黒いロングの髪に季節外れの白いワンピース 彼女は僕に笑った。
僕は彼女を知っている。この世界に来る前に最後に会った人間。そしてこの世界に来るキッカケであるだろうハズの人間だ。
「君は誰なんだ、何で僕をこんな世界に連れてきた?」
少女は僕の質問に的外れな言葉を返した
「子供って裏表がない純粋でいいよね。まだ自我が芽生えてない子供、自分という意識が無いなら裏も表もない。でも大人になると気が付いてくるよね、自分の中に居る誰にも話せない黒い部分を。」
(何の話をしているんだ?)
彼女の目は真っ直ぐに僕を捕らえた。
「今ここにいる君は、“裏と表”どっちの人間なのかな?」
彼女が何を伝えたいのか分からない。裏と表?何の話をしているんだ。
「君が何を言いたいのかが分からない!君は誰なんだ?ここは何処なんだ?」
「すまないな、自己紹介が遅れてしまった。私の名前は柊 花音 そしてここはコインの裏側の世界だよ。」