ようこそ、呪われた街へ#5 再会
零れ落ちていた涙はもう枯れていた
落としたスマホの液晶には綺麗にヒビが入り使い物にならない。
こんな訳の分からない世界に来て、一人になった実感が強く沸いた。
見た目はなんも変わらない自分の住んでいた街
でもこの場所が“偽物”ということにもう疑惑は抱かなくなった。
きっと電話口のあの母親もきっと偽物なのだろう。
そう思う事にした。そうしないと僕の気持ちは納得しないだろ。
街をもう一度歩くことにした。
次はゆっくり廻ろう―――――――――――――どうせ誰も居ないんだ。
―公園―
小学生の頃以来1度も来ていない公園だ。
寂れた遊具は昔と変わらない、子供の頃に来た場所にまた訪れるのは心の奥底から懐かしさを感じる。この不思議な感覚の名前を僕は知らない。
寒気がした。背中に伝わる寒気。両腕には鳥肌が立っていた。
音が聞こえるからだ。
背後のブランコから鳴る キーキー という音
明らかに“誰かが漕いでいる。”
視線をブランコまで持っていく。耳の後ろから冷たい汗が垂れていた。
聞こえるのだ。子供の笑い声が。「キャハハ」「アハアハ」と笑う子供の声だ。
恐怖で震える拳を握りしめ振り向いた。
そこには誰も居なかった。ブランコだけが小さく前後に揺れていた。キーキーという音を鳴らしながら。
子供たちの笑い声は未だに続いている。
姿は見えないが足音や声を感じる。実際に子供たちはそこに居るのだ。
「誰かいるのかっ!」
思わず声をあげてしまった。
それは紛れもなく恐怖からの声だった。
「---何も怯える事はないさ。その子達は君に害を与えない。“今は”だけどね。」
黒いロングの低身長で季節外れの白いワンピースを着た彼女は僕にそう言った。