表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この街で待ってる  作者: 宮下おとぎ
この街で待ってる #ソレガ希望ノ街
40/40

ソレガ希望ノ街 #11 手掛かり

この物語は、崩れゆく街で希望を求める者たちの記録——。


目覚めれば、そこは異質な世界だった。現実と地続きでありながら、どこかが決定的に歪んでいるこの街。

人々の影が彷徨い、意思を持たぬ化け物が跋扈し、そして、街の「神」ですら滅びを迎えようとしている。


——なぜ、世界は壊れ始めたのか?

——なぜ、自分たちはこの場所に導かれたのか?


答えのない疑問を抱えながら、主人公たちは僅かな手がかりを頼りに進んでいく。

"人の想い"が絡み合い、"影"に囚われた街で、彼らは何を見つけ、何を選ぶのか——。


この物語を通して、少しでも皆さんの心に何かが残れば嬉しいです。

ぜひ最後まで読んでいただき、感想や「いいね」をしていただけると励みになります!

皆さんのコメントが、次の物語を紡ぐ大きな力になりますので、どうぞよろしくお願いします!


  「行こう」


 短くそう告げると、花音は頷き、俺たちは街の奥へと足を進めた。目的は、この街のシステムを修復するための手がかりを探すこと——だが、どこから手をつけるべきかも分からない。今は、ひたすら探索するしかなかった。


 しばらく歩き続けると、開けた場所に出た。


 「……公園?」


 そこは寂れた公園だった。遊具はすべて錆びつき、ブランコの鎖はちぎれ、滑り台は崩れかけている。それでも、ここがかつて子供たちの遊び場だったことは、一目で分かった。


 だが、俺たちの足を止めたのは、別のものだった。


 「……何だ、これ……」


 地面に、子供たちの影のようなものが残されていた。輪郭だけが黒く焼き付いたように地面に染みつき、まるでその場で溶けてしまったかのように見える。それは一つや二つではなく、そこら中に無数に散らばっていた。


 「まさか……これ、本当に子供の影なの?」


 背筋が冷たくなる。影たちは、まるで遊んでいたかのような形で止まっていた。鬼ごっこの最中だったのか、ブランコに乗ろうとしていたのか——だが、その瞬間に何かに襲われ、こうなってしまった。


 「……まずい」


 花音の声が緊張に染まる。


 次の瞬間、俺たちは異様な気配を感じた。


 公園の奥、朽ちたジャングルジムの影から、何かが蠢く。


 そして、それは姿を現した。


 「……っ!」


 それは、影のようで影ではない。


 異形の化け物だった。


 漆黒の体、歪な形をした手足。顔はなく、ただ口だけが裂けるように開いている。そして、その口には——影の死体のようなものを咀嚼する黒い牙が見えた。


 「……食ってる、のか……?」


 足元の影。それを、この化け物が喰らっている?


 「放っておくわけにはいかないね」


 花音が低く呟いた。


 次の瞬間、彼女は地面を蹴った。


 空中へと跳び上がり、逆さになりながら鋭い蹴りを叩き込む。


 「——っ!」


 化け物は衝撃で吹き飛ばされ、公園の片隅に転がった。だが、すぐに異様な動きで立ち上がると、信じられない速さで襲いかかってきた。


 「……っ!」


 花音は間一髪で躱しながら、ジャングルジムを蹴り上げ、宙を舞うように飛ぶ。


 「——このっ!」


 空中から体を捻り、一撃を叩き込む。しかし、化け物は驚異的な耐久力を持っているのか、すぐに体勢を立て直した。


 「しぶとい……っ!」


 俺も咄嗟に地面に落ちていた鉄棒を拾い、化け物の足元を狙って叩きつけた。


 「ぐぅぅ……ッ!」


 化け物はバランスを崩した。


 「——はああっ!」

 花音の声と同時に、彼女の腰に巻かれた赤い帯がまるで生き物のように動いた。


 帯は鋭い刃へと変わり、しなやかな軌道を描きながら化け物の体を一閃する。


 「……終わりよ」


 花音が低く呟いた瞬間、帯は鋭い閃光を放ち、化け物を寸断した。


 化け物は断末魔のような音を上げ、黒い液体を撒き散らしながら消滅していった。


 「……はぁ」


 凄まじい衝撃とともに、化け物の体が崩れ、霧散した。


 「……はぁ、はぁ……」


 俺たちはしばらくその場で息を整えた。


 戦いが終わった後の静寂。


 だが、その中で——俺は何かが地面に落ちていることに気づいた。


 「これは……?」


 そこには、奇妙な金属の欠片があった。


 歪な形をしているが、人工的な作りにも見える。それが何なのかは分からないが……この街の異変に関係しているものかもしれない。


 俺たちはそれを手に取り、再び街の探索を続けることにした。


 この街を救う方法を——見つけるために。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ