ソレガ希望ノ街 #11 手掛かり
この物語は、崩れゆく街で希望を求める者たちの記録——。
目覚めれば、そこは異質な世界だった。現実と地続きでありながら、どこかが決定的に歪んでいるこの街。
人々の影が彷徨い、意思を持たぬ化け物が跋扈し、そして、街の「神」ですら滅びを迎えようとしている。
——なぜ、世界は壊れ始めたのか?
——なぜ、自分たちはこの場所に導かれたのか?
答えのない疑問を抱えながら、主人公たちは僅かな手がかりを頼りに進んでいく。
"人の想い"が絡み合い、"影"に囚われた街で、彼らは何を見つけ、何を選ぶのか——。
この物語を通して、少しでも皆さんの心に何かが残れば嬉しいです。
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皆さんのコメントが、次の物語を紡ぐ大きな力になりますので、どうぞよろしくお願いします!
「行こう」
短くそう告げると、花音は頷き、俺たちは街の奥へと足を進めた。目的は、この街のシステムを修復するための手がかりを探すこと——だが、どこから手をつけるべきかも分からない。今は、ひたすら探索するしかなかった。
しばらく歩き続けると、開けた場所に出た。
「……公園?」
そこは寂れた公園だった。遊具はすべて錆びつき、ブランコの鎖はちぎれ、滑り台は崩れかけている。それでも、ここがかつて子供たちの遊び場だったことは、一目で分かった。
だが、俺たちの足を止めたのは、別のものだった。
「……何だ、これ……」
地面に、子供たちの影のようなものが残されていた。輪郭だけが黒く焼き付いたように地面に染みつき、まるでその場で溶けてしまったかのように見える。それは一つや二つではなく、そこら中に無数に散らばっていた。
「まさか……これ、本当に子供の影なの?」
背筋が冷たくなる。影たちは、まるで遊んでいたかのような形で止まっていた。鬼ごっこの最中だったのか、ブランコに乗ろうとしていたのか——だが、その瞬間に何かに襲われ、こうなってしまった。
「……まずい」
花音の声が緊張に染まる。
次の瞬間、俺たちは異様な気配を感じた。
公園の奥、朽ちたジャングルジムの影から、何かが蠢く。
そして、それは姿を現した。
「……っ!」
それは、影のようで影ではない。
異形の化け物だった。
漆黒の体、歪な形をした手足。顔はなく、ただ口だけが裂けるように開いている。そして、その口には——影の死体のようなものを咀嚼する黒い牙が見えた。
「……食ってる、のか……?」
足元の影。それを、この化け物が喰らっている?
「放っておくわけにはいかないね」
花音が低く呟いた。
次の瞬間、彼女は地面を蹴った。
空中へと跳び上がり、逆さになりながら鋭い蹴りを叩き込む。
「——っ!」
化け物は衝撃で吹き飛ばされ、公園の片隅に転がった。だが、すぐに異様な動きで立ち上がると、信じられない速さで襲いかかってきた。
「……っ!」
花音は間一髪で躱しながら、ジャングルジムを蹴り上げ、宙を舞うように飛ぶ。
「——このっ!」
空中から体を捻り、一撃を叩き込む。しかし、化け物は驚異的な耐久力を持っているのか、すぐに体勢を立て直した。
「しぶとい……っ!」
俺も咄嗟に地面に落ちていた鉄棒を拾い、化け物の足元を狙って叩きつけた。
「ぐぅぅ……ッ!」
化け物はバランスを崩した。
「——はああっ!」
花音の声と同時に、彼女の腰に巻かれた赤い帯がまるで生き物のように動いた。
帯は鋭い刃へと変わり、しなやかな軌道を描きながら化け物の体を一閃する。
「……終わりよ」
花音が低く呟いた瞬間、帯は鋭い閃光を放ち、化け物を寸断した。
化け物は断末魔のような音を上げ、黒い液体を撒き散らしながら消滅していった。
「……はぁ」
凄まじい衝撃とともに、化け物の体が崩れ、霧散した。
「……はぁ、はぁ……」
俺たちはしばらくその場で息を整えた。
戦いが終わった後の静寂。
だが、その中で——俺は何かが地面に落ちていることに気づいた。
「これは……?」
そこには、奇妙な金属の欠片があった。
歪な形をしているが、人工的な作りにも見える。それが何なのかは分からないが……この街の異変に関係しているものかもしれない。
俺たちはそれを手に取り、再び街の探索を続けることにした。
この街を救う方法を——見つけるために。




