ソレガ希望ノ街 #10 2人は最後の希望
神様の言葉が、胸の奥に重くのしかかる。
——この街のシステムが崩壊し、影が暴走し、表の世界の異変が影響を及ぼしている。世界のバランスは崩れ、混乱が拡大している。さらに、謎の化け物たちまでが現れ、この街を喰らおうとしている。
それを止めるために神様は力を尽くしてきた。しかし、その代償として衰弱し、いまや死の間際にいるという。
そして、世界の境界が限りなく薄れつつあるにもかかわらず、肝心の『行き来』ができなくなっている。
「……救ってほしい……しかし、その術は私にもわからない……」
神様の声はかすれていた。
「この街のシステムが元に戻れば、何かが変わるかもしれない……だが、どうすれば戻るのか……私は……」
言葉の最後が、微かに震える。それは絶望にも近い響きを持っていた。
どうすればいい?
俺たちがここでできることは——
「……まずは、探すしかないな」
静かな声で、花音が呟いた。
「システムが元に戻る方法を、この街のどこかで見つけるしかない。神様がわからないなら、別の方法で手がかりを得るしかないよ」
「でも……どうやって?」
俺は歯を食いしばる。情報が少なすぎる。何をすればいいのか、何を目指せばいいのか——
「この街が正常に機能していたころを知っている奴やモノを探すのがいいかもね」
「つまり……この街の記憶を辿るってことか」
「うん。過去の記録や、まだ動いている仕組みがあるなら、それを調べる。神社や廃墟になった役所、あるいは影たちの反応を見るのも手かもしれない」
その言葉に、俺は頷く。
「影が敵なら、逆に何か知っている可能性はあるってことか……」
「うん。それに、影たちだけじゃない。ここにはまだ、完全に狂っていない存在がいるかもしれない。協力を得られれば、もっと情報を集められる」
「……確かに」
街の中にはまだ動いているものがある。完全に壊れてしまったわけじゃない。もし、まだこの異常の中で正気を保っている存在がいれば——
「この街で重要だった場所……例えば、中央広場や管理施設なんかもな」
「うん。急がなきゃ。神様が持つ時間も、もう長くないから……」
俺たちは神様を見つめた。
彼はゆっくりとまぶたを閉じる。
「……頼む……お前たちだけが……最後の希望……」
その言葉を最後に、神様は微かに息をついた。
——間に合うのか?
不安は拭えない。
けれど、今はただ進むしかない。
俺たちは顔を見合わせ、静かにうなずいた。
正直何が正解なのかわからない。場所に行くのが正解なのか、それとも化け物を倒すほうが正解なのか、全てが謎に包まれる中目に見えない何かを掴むために僕たちはそうするしかなかった。
「行こう」




