表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この街で待ってる  作者: 宮下おとぎ
この街で待ってる #ソレガ希望ノ街
35/40

ソレガ希望ノ街 #6 そろそろ動き出さないとね

 静かな時間が流れた。花音の膝の上で、俺はしばらく目を閉じていた。彼女の指が優しく髪を梳き、温もりがじんわりと体に染み込んでいく。だが、安息の時間はそう長くは続かなかった。


 「……そろそろ、行動しないとね」


 花音がぽつりと呟いた。その声には、さっきまでの柔らかさとは違う、僅かに緊張を孕んだ色が混じっていた。


 俺はゆっくりと体を起こし、彼女の顔を見上げる。そこには微笑みはなく、まるで覚悟を決めたかのような真剣な表情が浮かんでいた。


 「街のことを、調べないと……」


 「……ああ」


 俺も同じことを考えていた。この街に何が起こっているのか。俺たちはどこに向かえばいいのか。何より、花音の傷を悪化させたあの黒い茨と、俺の夢に現れた影の化け物——それらの正体を突き止める必要があった。


 「手がかりは……あるのか?」


 花音は少し考え込むように目を伏せた。そして、ゆっくりと口を開く。


 「この街には、"神様"がいるって話を聞いたことがある」


 「あぁ。確か此処に来る前にそんな事言ってたな」


 「伝承や記録が少ないから、詳しくは分からない。でも……もし本当にいるなら、何か知っているかもしれない。この街に何が起きているのか、どうすればこの状況を変えられるのか……」


 確かに、その"神様"とやらが本当にいるのなら、話を聞く価値はある。しかし——


 「その神様が、俺たちに協力してくれるとは限らない」


 「うん、分かってる。でも、今は情報が少なすぎる。まずは手がかりを集めるしかないよ」


 俺は頷いた。確かに、このまま闇雲に動くよりは、何かしらの情報を集めるべきだ。


 「具体的に、どこを調べるつもりだ?」


 花音は少し考え込んだ後、ゆっくりと答えた。


 「……神社。まだ残っているか分からないけど、この街には古い神社があったはず。そこに何か痕跡が残っているかもしれない」


 神社か。確かに、神様の手がかりを探すなら適した場所かもしれない。だが——


 「無事に辿り着ける保証はないな……」


 街の状態は異常だった。俺たちが今いる建物も崩れかけているし、黒い茨がどこに潜んでいるかも分からない。さっきの戦いで俺たちは満身創痍だ。慎重に動かないと、次は命を落とすかもしれない。


 「でも、やるしかない。ここに留まっていても、何も変わらないから」


 花音の声は静かだったが、そこには強い意志が感じられた。


 「……分かった。じゃあ、まずは地図を探そう。神社の場所が分からなければ、探しようがない」


 「うん。近くに町の案内図があったはずだから、そこを探してみよう」


 俺たちは立ち上がり、傷ついた体に鞭を打ちながら、町の案内図の看板を目指すことにした。


 この街に何が起こっているのか。俺たちはどこへ向かうべきなのか。


 ——答えを求めて、進むしかなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ