ようこそ、呪われた街へ#3 歩み
眩しい光が瞼を照らす。
名前も知らない鳥の泣き声と暖かさがある。
近所でゴミ出しをする主婦達の会話、登校する学生達の声
いつも通りの朝、当たり前が当たり前にある。 誰もが望む理想の朝
そんな朝が今日も来ると思ってた。
------------------------------------------------------------------------------------------
室内に漂う気持ち悪い空気、生暖かく肌が抵抗を感じる。
額を触ると大量の汗をかいている様だ。
ゆっくりと瞼を開く。
汗でビショビショの上着を脱ぎ捨てカーテンを開く
赤黒い雲がまだ空を覆っている。 どうやら寝る前と状況は変わらないらしい。
午前10時とは思えない外の暗さに驚愕した。
(どうなっているんだ…)
頭の整理が追いつかない。
じっと待つことが出来ず履き慣れたスニーカーを履いて外へ出た。
“人を探そう。”
不安に駆られ一番最初に思いついた言葉がそれだった。
誰かに会いたい、誰かと話したい、誰かがそばに居て欲しい。
違和感ある街の中を駆け抜ける。
誰も居ない公園。誰も居ない学校。誰も居ない駅前。誰も居ない公園。誰も居ない病院。
誰も居ない図書館。誰も居ないコンビニ。誰も居ないパチ屋。誰も居ないゲーセン。
街の中は誰一人歩いていない。電気が通っていない。車も走ってない。
“本当に人が居ない”
不安で零れそうになる涙をグッと堪え 気が付けば僕は家の前に戻っていた。