嘘偽リノ街 #2 違和感
――――――それは突然だった。
肩にズンと掛かる重みに自然と体が震えていた。カタカタと音が頭に響いている。この音はこの大きいバケモノから出ている音ではない、自分が恐怖のあまり奥歯を鳴らしている音だった。ゆっくりとこめかみから汗が流れ頬に伝わる感覚が分かる。
「縺薙s縺ェ謇?縺ァ菴輔@縺ヲ繧九??」
ずっと同じ“音”を繰り返している。
少なくとも言葉には聞こえない。ここで下手に何か言葉を発せば殺されてしまうかもしれない。心臓の鼓動は段々と早くなって息遣いも荒くなっていた。
「縺薙s縺ェ謇?縺ァ菴輔@縺ヲ繧九??」
それは同じような音を何回も繰り返している。そして恐ろしい事に気が付いた。
『肩に、手が乗っている』
本当に怖い時は気が付かない物だ。肩にズンと掛かる重みはその“手”が原因だったのだ。僕はもう彼に身体を捕らえられていた。前へ進もうとしても体は動かない。震えた足が踏み出せないのだ。
この時、死を覚悟した。 得体の知れないバケモノにこれから自分は殺されるのだと。
恐怖を感じている時、人間は頭の回転は普段の何倍にも膨らむ様だ。今になって思い返した。
何故、この街に居るのか。何故、自分以外の人と会わないのか。何故、こんな化け物が居るのか。
この異変に今まで何の違和感もなく過ごして来た自分に疑問を感じる。よく考えればこの日常に違和感を覚えるはずだ。記憶がなくとも、異変には気が付けたはずだ。
馴染んでしまっていた。これが当たり前だと思い込んでいた。
いくら考えても今は思い出せる気がしない。それよりもこの状況を抜け出す方が先だ。
僕は震える歯で口の中の皮膚を思いっきり噛み千切った。
「痛ってぇ―――。」
一瞬ではあるが体の緊張が解れた。
この機を逃さず、俺は振り返らず家へ走った。後ろがどうなってるかは知らない、追いかけてきているかもしれない。何かが叫んでいるような音も聞こえた。さっきの化け物がきっと叫んでいるのだろう。―――――-そんな事はどうだっていい。
俺は転びそうになりながらも、本気で走った。 目も眩む程に
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