幕間 すべての真相
「時間がないので端的に要点だけ話す。と言いたいところだけど、それじゃあ何だか堅苦しいしボクとしても好きじゃない。
だからこそ、ボク自身の気持ちを君たちにそのまま言う」
これからミレニロスに向けてどうしようかを話し合おうとしたとき突如光って私たちの目の前に青色のホログラム状でシロウさんが現れた。
シロウさん自身に何かあった状況やどうしても手が離せないときに備えて盾の神器を作ったと同時に仕掛けていたらしくて、目の前にいるシロウさんはシロウさんの分身。人工AIみたいなものだ。
「ボクが言いたいことは二つ。先ほど言った通りボク自身の己が内を君たちに伝えに来たこと。
そして3つの神器とアナ君に託した力。そのすべてが揃ったことで超厄災を倒せれるようになった。だからこそそれらの″用途″を教える為にボクが派遣された」
「……シロウといったな。お前のことは弓の神器の中で薄らと知った程度だが、それで本当に戦えるという確証はあるのか?
お前の言ったことに嘘偽りがないのは解ったが。例えミレニロスに勝ってもその後にエヴァスマムが控えている以上、オレ達は負けるわけにはいかない。
故に、お前が何者でなにを考えているのか、そこら辺はまずハッキリさせてもらうぞ」
神器には使用者の記憶に経験などが蓄積される。少しの間とはいえ、眠ってた間に弓の神器の中でそこら辺のことは『気づいたらとっくに』の感覚で知ったんだと思う。
魔族は神さまを敵視すると思うし、ベリアルからすればどこの馬の骨ともわかんない不審人物だから警戒するのは当然だ。
「....ベリアルといったね。まずボクを信じてくれてありがとう。先ほど言った通り、オリジナルであるボクが知っている事とその気持ちを話に来たんだ。まず最初に、ボクが何者かを話す。かまわないかな?」
その返答に私たちは頷いて返した。いい機会なのはお互いに同じ。
シロウという存在が何者で、エヴァスマムについて知り尽くしている以外に謎だらけで疑問しかなかった。
「シロウという存在はかつて、エヴァスマムに戦って勝った勇者より生まれた」
シロウさんが口から出した真実私とエレンさんは驚いた。しかも元人間でエヴァスマムと戦った勇者から生まれた神さまであることに。
だけど「正確に言うとオリジナルのボクが人から神へ転生したようなものだ」と言われたので、私たちは納得した。
「その勇者には生まれつき特殊な力があった。『自身の意志を触媒としてあらゆるスペックを増幅させる』という、自身の父から派生して誕生した力さ」
シロウさんは全ての始まりを語り出した。
事の発端は遥大昔に魔族が異世界に侵攻して来たことで、強大な力を秘めた魔族を前に人類は生き延びるだけで精一杯な情況だったらしい。
現在生きている魔族は皆、魔界からこの世界に残ってしまった魔族の子孫であるそうで、「それはどういうことだ」と冷静にベリアルが問うとシロウさんは「それも含めてちゃんと話す」と返し、ベリアルは「そうか.....」と落ち着いた。
「魔族の侵略からしばらくしてある一つの予言が真実となって世界中の人々に周知されていった。同時に「魔を滅ぼす白き星が降臨する」という現実を願望する人も増えていった。
だがいくら経っても白き星が降臨せず、徐々に侵攻してくる魔族たちに人類は追い詰められ。現れないならこちらから呼び出すまでと痺れを切らせて一人の人間を召喚した」
その者の茨木創。私と同じ日本人だ。
召喚して早々に彼を問い詰めて徹底的に調べ上げたが。ごく普通の平凡な彼はとても非力で特別な能力も一切持っていなかった。
拷問や解剖、人を人だと思わない様々な外道行為が行われていたことがシロウさんの口から発せられた。予言の白き星の正体が自分たちと同じ人間だが、茨木創を″特別なもの″として『何かがある』と信じて疑わず、極秘裏に王国の地下でおこなってい。これ以上は隠せず、この男には何もないと失望して無責任に放棄したらしい。
聞いてて非常に怒りが沸いた。顔に出る表情と共に両手に力強く握るほどに。
「少しして茨木創はイグレインというその国の王女と出会いによって力が覚醒し、彼は彼女と共に魔族と戦った。
絶望の淵に瀕していた彼にとって彼女は女神にも天使にも見えて一目惚れし、対する彼女は彼と共に戦いながら過ごしていく内に好きなっていき。
魔族を統率する大魔王を討ち取って勝利を勝ち取った二人は晴れて結ばれた」
ここからが本題で超厄災との因縁の始まりなる。
シロウさん曰く、茨木創が力を持った事が原因でもあるけど、その後に人々がした事が主な原因であるらしい。
異世界系で力を得る場合。「神様に貰う」か「召喚されたと同時に得る」の二種類に分かれる。
異世界の場合前者。『根源の海界壁』という宇宙の内のどこかにあるものを通じて来るため力を得るらしい。
私の場合シロウさんがそうならないように召喚された為一切影響を受けてないらしく、そうである事も今回の話にも繋がるとのことだ。
「平和を取り戻して安定が続いてしばらくして、王様となった創たちに全てを奪い取る悲劇が襲った。
一人の貪欲で野心溢れる伯爵が「白き星を降臨させる術を手に入れておきながら、それを私利私欲の為に秘匿した」と各国にそう噂をまき、「その証拠として白き星を降臨させた大臣を極刑に処した」と事実を露見させた。
二人に助けられた人々は多く、恩を仇で返すほど無礼ではないが。魔族にすべてを奪われたり深い傷を負った者が多く。
なんでもっと白い星さまを呼んでくれなかったんだ! と手のひらを返して二人を陥れていった」
確かに茨木創さんなどの人が何人かいれば被害はもっと減って、更に早く魔族の侵攻を終われたのは確かだしそうだと思う。
ウル○ラ○ンや○面ライダー、○隊などのヒーローが沢山いれば被害を最小限に抑えたまま事態を解決できる。それに失う命が少しでも少ないのが良いのは同感。
でも、それって............
「……それって。神さま達がアルトスにやろうとしたこととほぼ同じじゃねえか!」
「そう。オリジナルのボクもとい、ルガリア君を除いたボクたちがしでかすところだったとんでもない過ちだ。
人も神も。いや、誰しもが『善い明日』の為に最善を選び続ける故″正解″がない。
故に『アルトスを生み出す』が何歩か譲って正しかったとしても。その先、その後が見えてなく、考えれなかった時点が何よりの証明だ」
シロウさんの話を聞いて、自分が異世界に来たのか。そしてそのキッカケとなった人助けが浮かんだ。
死を前にして私にとって本当に大事なものが分かった。だからあの時の選択が『後悔した/してない』とやや複雑な感情が今も消えない。
「……話を戻す。二人は信頼を回復させながら世界中の復興と経済に外交に力を入れ、苦労が絶えない中日々頑張っていたが。イグレインが刺客によって殺されたことで『あらゆるものを糧に無限に強くなる』という茨木創に宿っていた能力が暴走し、周りにあるものを無尽蔵に吸収しながら増大していって誕生したのが――」
ゲームでいう『レベル性』のブラックホール版。『何もかも倒せば強くなる』が最悪の形で現実となったのがエヴァスマムそのもの。
膨大に想像も絶する程に肥大化した力に呑まれながらも災厄になりかけで止まっていたのは茨木創の意識が在ったからであるらしく、そのおかげで異世界は何とか存続できたらしい…………。
自業自得に起きたことに私たちは言葉が出なかった。茨木という人が一番の被害者なのは間違いないけど。「…それはないでしょ」と頭の中で絶句した。
「…….......」
「イグレインは死んだが、その内に宿っていた生命までは消えなかった。
父と同じ力を持ったその子が成長し、4つの神器と生まれつきに持っていた力と用いてエヴァスマムを倒した。
その子がオリジナルのボク。シロウだ」
「....やっぱり、あなたが兄さまだったんですね」
剣の神器が緑色の光を発してポニーテールの髪をした一人の少女がホログラム状となって現れた。
「久しぶりだねマナ。水を差して悪いけど、君もボクたちの話を聞いていたから解ってるね。
ボクは君の兄が転生したような存在だ。根本は同じでも、“在り方”が変わってしまった以上それはもうまったくの別人だ。
難しい、君には本当に申し訳ないがその折り合いは。時間がかかってもつけてほしい」
「...解ってます。私も、マナの思念と記憶を持ったまま形となった存在ですから。
本物のマナは遠の昔に天寿をまっとうしましたが。彼女が胸のうちに秘めていた何よりの想いが剣の神器に染みついたまま、ずっと残り続けていたんですから」
神器には手に取った者の記憶や感情、経験が染みつく。故にマナは人間だったシロウさんへの一途な想いが消えなかった。
「愛って、すげえもんなんだなぁ....」とエレンは思った。
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「事の全貌は分かった。人間の…いや、この世界と魔族が犯した過ちも理解した。
俺一人でも、そのエヴァスマムと戦う。″大魔王″である以上、全ての魔族の安全と未来がオレの肩にかかっている以上逃げる気は毛頭ないが。
それ以前に奴が楽しんだ世界というものをこの目で見て、感じて、楽しみたいからな」
……そうだった。私は『お兄ちゃんにお父さん。私の友達たちを厄災から守る』と異世界に来る前からそう決めていた。
その意志は今も変わらない。エヴァスマムの真実を知って感情が流されたけど、私が知りえる大切な人たちを守る。
「……私も。エヴァスマムを倒すのが私の目的で、それが終わった後のことは何にも考えてないし、全然わかんない。
けど私は、それでも諦めたくない。まだ見たいアニメがまだ残っているし、その後に出るものも見たいから」
右手をグッと握って私はそう宣言して言った。『アニメ』とエレンさん達にわけのわからないことを言ったけど、今私が言える事はそれしかない。でもそれでいいしそうしたことに恥ずかしさも後悔もない。『やりたいこと』や『些細な動機』があれば生きていける。
もしかしたら夢ができてそれに迷ったりするかもしれないけど、それはその時。
だから現在は目の前の事に専念するだけ。
「わたし―」
「オレはあぁ! 明野さんが好きだ!」
「えっ!? ど、どうしたのっ!?エレンさん?」
オレも黙ってはいれない。それに『明野さんの後』は誰にも譲りたくないし渡したくない。悪いなアルトス。
「明野さんが助けてくれたあの夜。オレはその姿に惚れてしまって、オレはずーっと明野さんについて行った。
『力になりたい』『助けたい』と気持ちだったが何より「明野さんが好き」だからだ」
「…….......」
「告白はエヴァスマムを倒した後に取っておきたかったが。あ、あけのさんが。ああ言った以上、黙っていたら一生後悔するし……」
「え、エレンさん……うえっ!? な、なにっ?」
アナの全身が橙色に光って、それに呼応するように赤、青、緑、白と。各神器が光った。
物語の根本的な部分は構想したときに決めていて、ずーっと温めていました。
ブレずにハッキリ書けたので何よりです
・前世のシロウとマナの関係について
マナは幼い頃臆病で泣き虫で、憧れの兄の背中を見て育っていました。
シロウの前世=ライキとは兄妹仲が良くて恋心を心の奥に秘めていて、兄が頑張ると決意したため「自分も強くなる」と決心したため今に至ります(剣の神器に残留思念が消えなかったのは誰にもわからない想定外)




