第69話 天と怪物
「.......きたか」
掴んで握りつぶすと長くいかつい四本の腕をした竜の頭をし、聖族の翼をした怪物。ミレニロスの姿が目に入ってより一層に警戒心と態勢に身が入る。
『天』の神である為″風″の流れで来ているのは端から分かってはいたが、神といっても存在している以上どうしても実感が沸く。
「これが、怪物たるコイツの力か!」
“風″を通してミレニロスが残した爪痕を元に能力がどんなものなのかを把握した。
『生物概念問わず範囲内にあるもの全てを無力化して消滅させる』がミレニロスの能力そのもの。大気中の魔因に酸素、空気などの消滅を目視して理解したんだ。
津波に大洪水が起こって陸上にあるものを流し尽くすようなものだ。
故に、存在するだけで何もかも消滅させる生きた大災厄でしかない。
「ーーッッ!」
(紅蓮炎光....。超級ブレスでも“技”は能力は付与されてないか)
挨拶がわりと言わんばかりに灼熱に燃え盛る火炎を口から放射し、ドラゴニスはこれを躱しながら接近する。
威力はA級クラスのドラゴンが放つものより少し強いだけだから当たっても問題ないが、少しでも有利でいる為回避する以外にない。
「GAAAAAAAッッ!!」
すぐ近くの距離になるとかえんを放射するのをやめたと同時にミレニロスは攻撃を仕掛けた。
ドラゴニスは華麗に回避してそのまま真っ直ぐに飛翔して行った。
(オーラの無力消滅はそこそこか。全身を纏い包んでいた風も殆ど失ったが、お陰でコイツの能力は理解した!)
薄い緑色をした風がドリルのように回転しながら風より早く天空をまっすぐに飛翔した。
その光景はまさに「天翔ける彗星」。
「....ーーッ!?」
「はあああああああああああっ!!」
自然に止まって体の向きを変えた瞬間に激突してきたドラゴニスに驚いて直撃した。
ふいを突かれたことでダメージが大きくそのまま海に落ち、底にある地面と激突した。
ダメージを受けたことで弱まったからか。勢いも海水もちょっとしか消滅しておらず、水しぶきも半分くらいの余波で終わった。
海水を空にする程度ミレニロスは雑作もない。おそらく一日で海全体を消滅できるだろう。少しの間触れるだけで10割中1割を消せるのだから。
「我ながらに無茶ぶりだが、攻撃は効くし触れても問題ないことは解った。今の内に.......」
【言葉】を風に乗せて向けて吹かせた。賢魔王がドラゴニスを最初の防衛に着かせた主な理由だ。
“情報″がどんな時も最も重要なものであり、ほんの少しで毛でも状況を大きく左右する。
ミーティアとガルナの観測では得られる情報は少なく、一番手っ取り早く大きいのは直接戦う以外にないからだ。
「GAAAAAAAAAAAAッッ!!」
水しぶきが起こる事なくミレニロスはすぐに浮上してすぐさまドラゴニスに目掛けて攻撃をしかけた。
「――あぶなっ――なにっ!?」
突進を躱して距離を取ろうとした瞬間に光の追撃に気づき、回避ができない為意識を強くして損傷をできるだけ最小限に抑えた。
「――ぐうっ! 力が上がって動きもよくなっている!? やはり、戦闘中に強くなるのか!」
アナたちがミーティアに撤退するとき、ジャンルが囮となったことで帰還できた。そしてその合間にミレニロスの力が度々に強くなったのだ。
なぜそうなったのか全然分からない。確かな事は、今更に強くなったとだけ。
「GUUUUUUUUUUUUUuu.......」
(直撃したところは既に完治済みか。打倒極厄災にアルビンが“怪物″なだけあって、強さは神がかりで折り紙付きか.......。
やはり、一気に決めなければいけないようだな)
『攻撃は通るのか? 効くのか?』を確かめて勝てる芽がある確証が得られた。 “怪物″なだけあって不死身であり、倒すには一気に決めるしかない。
(後はコイツのオーラに気をつけながら攻撃を避けて防ぎつつ、力を溜め続ければいい……)
「ッ!!」
(能力が強くなってるし、動きもキレが増している!
……力だけでなく自身も強くなるのか!)
口と四本の腕から放っていて、風で相殺したり避けたりして逃げていく。
紅蓮炎光。覇凍絶雪。波動光線。上位の技を連射できるようになってしかも照準も良い。私の動きを把握したからか、私が動くタイミングに合わせてほぼ的確に放っているから防ぎきるだけで一苦労だ。
(――っ! 今はオーラに気をつけて耐え凌ぐしかない……)
奴を確実に倒す一撃を放つために攻撃とオーラの被害をできるだけ抑えて確保するしかない。なにせ″一回″が勝負だからな。次はなく、奴を倒せるとしたら今しかない。
「GUOOOOOOOOOOOOOOOッッ!」
「こ、この波動は――!?
ち、力に何かもが抜けていく.......気を抜かず強気で保たなきゃいけないか」
咆哮ともに発した能力によって私の精神に魔力。体全体に内に溜め続けていた力の何もかもがほどけて消滅していく感覚だった。幸いなことにそれらはほんのちょっとだけで済んだが、あのままただやられ続けられていたらあっという間に私はやられていた。
「一筋縄ではいかず、不明に強くなっていく特性に厄介なあの能力。
これが、アルビンが創りし怪物!」
オーラに気をつけて攻撃を躱したり防いだりするだけならだいぶ楽だ。危険なものに気を張って攻撃から身を守るだけで済むからな。
ミレニロスの力は敵ではない為直撃を受けても痒い程度で済むが、あの咆哮は能力が付与されていて気を強く保っていないといけない。そうしないと何もかも全て塗り消されるからだ。
「――あの攻撃っ!!――!」
追撃による連続を攻撃を避けながら逃げ続け、再びあの咆哮が来ると察知して身構えて意識を強く保った。注意しながら時間を稼いでいたから解った。
「――ッ!」
(――くるっ!)
咆哮が鳴り通った箇所の重力に空気中にあったもの全てが消滅して無重力空間ができあがっていた。なに一つもない無の空間だ。
防ぐも避けることもできない以上強く気を張って最小限に抑えるしかなく、実際にそうしたらある程度しかほどかなかった。
『があああんばああれれっ!! ドラゴニスッッ!!』
(ーー!! シロウ? ――!)
突如聞こえたシロウの声援でハッキリした私は考えるよりも先に身体が動いてミレニロスを突き飛ばしていた。
選択を迫れてどうすればいいか分からなかったから助かった。気を強く保つ程度は問題ないが、この状況を打破すればいいかで必死に考えても“最善な″答えがなかったからだ。
「――そこっ!」
尻尾に意識を向けて上から強く叩いて海に堕とした。頭にヒットしたから姿勢を崩して勢いよく落下していった。
「――決める!」
ドラゴニスの全身が青と青緑色に光り輝いて徐々に強く鮮やかに増していく。溜めた力が開放したからではなく、天神の権能を開放し、自身に施していた枷を外したからだ。
あまねく天の化身そのものであるドラゴニスは全神々の中で最も計り知れない力を秘めている。強大過ぎる故制御するのが難しい為『抑制』のルーンを体全体に施されているんだ。
力を溜め続けたのは基準合わせであり、「これくらい必要」を知る為。その気になればミレニロスを倒すだけは容易いが、力が強すぎる為ちょっとしたことで世界全体に大混乱を起こしてしまうからだ。
ぴっっキいいいいいいぃぃぃいいいいいんン!!!!!!!
青白い光のブレスが放たれて海に風穴を開けてかなり超規模の渦が起こっていた。
触れるもの全てを消滅させるあまねく【天】そのもの息吹はミレニロスに直撃して跡形無く消滅させた。
ドラゴニスは“単体なら″作中で三番目に強いキャラです。




