第4話 ドラゴニア龍国
これがドラゴニア龍国!)
門をくぐり抜けたその先に広がっていたもの。ドラゴニア龍国の光景に私は思わず感激した。
見渡す限りに多くの建物が建っている城下町。そびえ立つ城壁。元気よく活発的な国の人々。奥に立つ大きなお城。
王国などの「ファンタジーな世界観」はアニメや漫画、ゲームでしか見ることができなかった。
じかに目まの当たりした時の快感は半端なくて、この時の体験は一生忘れられない。
こういうのはVRMMOが実現するまで待つしかないと思っていた。
異世界に召喚される前の、いつもの日常を送っていた私なら、例えデスゲームに巻き込まれると分かっていても、躊躇なく仮想世界へ行っていたと思う。
一度ひんしを経験した今の私は、そんな怖いことができなくなったけど。
いつ仮想世界が実現するかは分からないけど、その時は私がおばあちゃんになっているか、もしくは死んでしまった後かもしれない。
「何度見てもこの国はいいな」
晴々とした顔でエレンさんがそう言った。
いい景色が好きな私にはエレンさんの気持ちがよく分かる。
いい景色はどんな時、どんな人でも見とれさせてしまうものだから。
ーーーーーー
到着して早々、私とエレンさんは宿屋へ向かった。 部屋に荷物を置き少し休憩してから、私たちは図書館に向かった。
「す、スゴイ…。」
エレンさんが言った通り、ドラゴニアの図書館は広くて充実していた。
私の想像以上に、ドラゴニアの図書館は徹底されていたんだ。
広い部屋を埋め尽くす大量の本棚。その本棚を隙間なく埋め尽くす大量の本。
清潔に換気よく整えられたこの図書館は、とにかく快適で爽快感が凄い。
これなら何日何年経っても集中できるし。勉強や調べものに思いっきり取り組むことができる。
一目見ただけで殆どの人を度肝抜くと確信できるほど、ドラゴニア龍国の図書館はよくできていた。
「ここで待ってて」とエレンさんに言われて、私は本を読みながらエレンさんが来るのを待っている。
この世界の言語はハッキリ分かるから、この世界の本を読むことに何の問題はない。
何故言語を把握できているのかどうしても気になるけど、英語が苦手な私からして、正直ありがたい。
「お待たせ。明乃さん」
エレンさんがラプラスさんを連れてやってきた。
いかにも王宮の魔導士としてのローブを着たダークエルフの女性。
紫色の長髪に青い瞳をした美女で、ダイナマイトバディな体形はとにかく圧巻に尽きる。
「は、初めまして。明乃佳奈です」
「あら。若くてかわいい上に礼儀正しいのね。エレン、いい女の子と会ったんだから大切にしなさいよ」
「う、うるせえ!」
エレンさんをからかうラプラスさん。
自分を魔族だと知りながら気にせずに接してくれたことに、ラプラスさんは驚いたそうだ。
エレンさんとラプラスさんはロゼ魔法学園からの交友関係であるらしい。
ラプラスさんには二つの呪いがかけられている。
一つは常に眠りやすく呪い。もう一つは魔力が無尽蔵に湧く呪い。
この二つの呪いによってラプラスさんは長年苦労してきたらしくて、世界中を旅した主な目的は、呪いを解くため。
色々模索しつつ実行してきたそうだけど、呪いが二つとも強力過ぎて全然弱ってもいないらしい。
「世界全体を回ってきたと言っても、ガイアス大陸には行けてないんだけどね」
ガイアス大陸はこの世界の中心に位置する最も広大で過酷な大地。
かつては人類未開の大地として竜級冒険者たちの修行場として、賞金目当ての冒険者たちで壮絶な狩りが繰り広げていた。未開の大地を開拓して、そこにあるものを持って帰れば高く売ることができ。
ガイアス大陸は地神ガイアスが統治していたでもある為、ガイアス大陸を開拓すれば大金に高い身分、名誉が与えられることが約束されていたからだ。
大昔に魔族のほとんどがガイアス大陸に逃げ込んだことで、ガイアス大陸は魔族と魔物だけが住む魔大陸と化し、ガイアス大陸との行き来は完全に断たれたらしい。
ガイアス大陸はこの世界異世界で最も過酷で、大陸と周辺の海には強力で凶暴な魔物しか生息していないため、簡単に手を出しづらいかららしい。
ラプラスさんは正真正銘の魔族だけど、魔族も人間と同様に複雑な関係があるため、同胞だからと気楽にガイアス大陸を行き来することは出来ないらしい。
「厄災については分からないけど、勇者のことなら分かるわ。
勇者たちが持っていた『神器』は五大精霊たちがそれぞれの地で守護しているよ」
五大精霊とは、天神、地神、海神、太陽神、月光神の眷属である五人の特別な精霊たちのこと。
「それぞれの地」という言葉から、エレンさんは神々の名に対応した各地に神器があると結論づけた。
この世界異世界の陸地は全て、五人の神様の名前が付けられている。
先程も言った通り、かつてその地土地を統治していたからだ。
ラプラスさんからの情報によると、森の精霊とエルフたちが隠れ住む森に神器があるらしい。その森は五大精霊の一人が結界を張られているそうで、魔法使いであるラプラスさんからの証言だと間違いないらしい。
「もしかしたら厄災について知っている人に心当たりがあるの」
「「それは本当ですか!?」」
『それは誰ですか!』『それは誰なんだ!』と、私とエレンさんはそう尋ねた。
「ギラ・ランド・ドラゴニア。この国の王様よ」