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アークブレイヴ  作者: 暁辰巳
第5章 聖戦編
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第67話 聖戦開幕


 



「GUAAAAAAAAAAAAAAAaa!!」



 耳が裂け。心が、魂が震えて引き裂かれる咆哮が広範囲にわたって起こっていて、一瞬で数百数千人もの人々が一瞬で倒れていった。

異形に長い四本の腕にティラノサウルスに山羊のツノがついたような頭に銀色の翼をした山のように巨大な怪物。


 アルビンを喰らい巨大となって天井をぶち壊したのだ。

 拙者たちはすぐに逃げたため余波に巻き込まれずにすんだが、誕生した怪物の図体を見ている。

 現在(いま)にでも腰がぬかしそうだ。だがこれを倒さないとこの世界は滅ぼされる。故に絶対に勝たなくてはいけない。


「できればお前との戦いを楽しみたかったが、お前が造った″怪物“がどんなものか、楽しみだ」



 咆哮がなった瞬間に【君を護る(プラティナム)意志の象徴(・プエルデイ)】でバリアを張って内にいることで三人は被害を受けずに済んだ。戦で疲れているアルトスを気遣って、兄弟(アルクリドス)が一人で請け負ったんだ。


「見つけたぞ! 強引で悪い!」 


 

 ベリアルがムサシとアルトスを片手で抱えて炎の翼を広げて飛翔した。まっすぐ飛んでいくその先に、黄金に輝く大きな鳥。太陽神(ファルシオン)がいたんだ。

『作戦が失敗して脱出する際』はファルシオンに乗って脱出するとプランで決めていた。

 ファルシオンの背中にはアナとエレンの二人が既にいて。上空で待機していたが、怪物が出現した瞬間を見て目的が失敗したと分かって撤退に移していた。



「三人…いえ、四人とも無事でまずは何よりです。あの異形のバケモノからは、とてつもなく不気味で得体の知れない強大な力を感じます。


 ベリアルがファルシオンに乗った直後にファルシオンの飛翔速度が上がった。

 最低限の目的である『杖の神器の奪還』は達成した。残すは撤退して生き延びるしかない。



「ファルシオン、もっと速度を上げろ! このままでは追いつかれる!」



 遥か上空のファルシオンの姿を視認したミレニロスは『餌』と思い飛んで向かった。

 飛翔に特化した二足型の“鳥“に姿を変えて速度を上げたが、それでも時間を引き延ばすしかできない。


「どうすんのあれ!?」 

「ならここはオレが引き受けよう。オレが引き受けていれば逃げれる時間は稼げるはず―」

「それはダメだ! あの怪物を倒すには神器とそれに選ばれた者が揃っていないといけない。どれか一つでも欠けていたら終わりなんだ!」


 剣、弓、杖。3つの神器とシロウさんから貰った力が全て揃ったことで、ラスボス(エヴァスマム)に対抗できる“物“が揃った。べリアルに弓の神器が宿っているか、あるいは一体になっている以上、ベリアルを行かせるわけにはいかない。

 アルトスの説得を聞いて納得したからか、この状況の打開策を冷静に考えているけど、それも時間の問題だ。


 ベリアルを除けば、私とエレンさんしか余力が残ってないけど、できることが少なすぎるし、どれも無意味に終わる。

 なにか.......なにかないの!?


「ここはボクが引き受ける。お前らはさっさとバリアを張って全身全霊で逃げろ」



 黒く紫色の巨大な球が怪物に直撃し、黒い翼を広げ紫色のポニーテールをした少女が目に映った。

 ジャンルさんだ。


---------------------


「.......あれがお前が生み出した怪物か。聖族のくせに、人間みたいなことをするじゃないか」



 紅く紫色に輝く爪が腹を貫き、そこから金色の光の粒子が舞って散っている。

 肉体からは“血液“が出るが、光が出ているのは、魂が崩壊しているからである。

 魂ごと破壊する力を受けたことで器である″身体“も魂に呼応して共に光となって消滅している。全身全霊をかけた決着はジャンルの勝利に終わった。


 決着がついた直後カール神帝がいる宮殿が崩壊して怪物がすがたを現した光景を目にしたんだ。



「オレは聖族だが、90年母さんと一緒に過ごしてきた。オレの、聖族(アイツら)の動議でいうなら、オレは生まれながらに穢れている(・・・・・)。だが、“オレ自身″を誰が何と思うが、生きたことは否定させはしない.......。

 それが例え…神であってもな」



 殆どの部分が消え失せ、覚悟が決まった顔でそう言った。

 聖族は物心がつく直前の子供のような思考を持ったようなものだ。誰もが他人に影響を受けて生きていくように、聖族はそれを「穢れ」と呼んで忌み嫌い。穢れた聖族は人間臭くなる。


「…そう。で、怪物(アレ)はどんだけ強いの?」


「少なくとも、お前が今まで戦ったもの全てが束になっても敵わない程に強い。ミレニロスは、アレを倒す為だけに作ったからな.......」


 アルビンはちょっと特殊で、聖族である所はどうしても気に食わないが、アルビン自身は嫌いじゃない。現に、絶対服従の存在である神に敵対してでも否定する意志を示した。


「それは楽しみだな。戦えて楽しかったよ」

「オレも。久しぶりに熱くなって楽しめた。ありがとう」



 優しい笑みでそう言い残して消滅した。気に食わないにしても、



「設備も砲撃も全て無に帰して、おまけに民衆の命も風前の灯火寸前だというのに最後まで諦めない。だから人間は好きなんだ。ならボクだって頑張らないと、ね!」



 ミレニロスが鳴った咆哮によってゴレス神聖帝国の設備全体がマヒし、人々の殆どが気を失って一斉に倒れた。

『力持つ者の最大の弱点は“力″そのもの』。文明の力にすがって生きていては想定外の事態が起きたときに最大の痛手になる。


 そんなどん底の中、役人たちが速く駆けつけて次々と倒れた人々を救助(かいしゅう)している。

 どうやらこの状況を想定とした訓練を積んでいるようだ。



「この世界は君に滅ぼされるか、それとも滅亡してしまうのか、もしくはその二つを跳ね除けて生き延びるか...。

 どうなるかワクワクしないかい? ミレニロス」



 咆哮も言葉を発する事なく静観していた。

 怪物は言葉を発しない(・・・・・・・・・・)。それが口であれテレパシーで合っても。


「.......」



 長く何かを掴んで握り潰す右腕がおろして攻撃した。

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