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アークブレイヴ  作者: 暁辰巳
第5章 聖戦編
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第66話 フラクタス


【ウェーブ・オブ・カラミティ】



 青々とした大洪水が大津波の勢いで襲い掛かる。聖族としての姿を(真の姿を)開放したカール神帝は最初にこの技を放った。

 口に出さず、詠唱を唱えず、何の合間も無くすぐに。



「その大技(喧嘩)、あえて買おう!」



 究極斬刀剣(リンドウザントウケン)で真っ二つに斬ってその隙間へ入って攻めようと前に出たムサシ。盾の神器(アルクリドス)で受け止めて負担を極力抑えて体力と魔力も温存させようと前にでたアルトスを差し置いてベリアルが前に飛び出して大波と対峙した。


(さて。前座(最初)に出したそれがどんなものか、試させてもらおう!!)



 愚かで馬鹿な事なのはバカなオレも解っている。

 『……無理だ....絶対勝てねぇ....』と一目でそう直感させる“理不尽“と対面するとつい攻略したくなるんだ。

 唯一のライバル(パーシヴァル)に勝つ為に一生懸命に始めたことを続けていく内に次第に楽しくなって気づけば癖になってしまっていた。


 だが!


(無理難題に直面して喜ばずして何が大魔王か!)



 愚かと呼ぶならそう言って嘲笑うがいい。バカか?と思うならそう言って否定して決めつけばいい。

 オレはオレ(・・・・・)。ベリアルという″一個人“だ。

 元より『大魔王』になると(はな)から決めていた時点(とき)から既に覚悟は決めていた!



「オレの“炎“でお前の洪水を全て焼き尽くしてやる!!」


「だめだベリアル! すぐに戻れ!」


「――ぐはっ!?」



 光の槍がベリアルの全身の至るところに無数に突き刺して全身にたぎっていた火炎が途切れて一瞬で消えてしまった。

 空間直接攻撃を仕掛けてくると察知したアルトスが大声で注意を促したが、既に…というより元から既に遅かった。

 聖族は空間に対して鋭くて上位の者のみ干渉することができる。最高位(セラフィム)の存在性(クラス)のカール神帝は神に等しくて、その強さは親にして主である聖神に近い。

 


 【裁きの光輝(ライトメント)



 金色に強く輝く一条の光線が天から降り注いでベリアルに超強力な一撃がベリアルを襲う。

 一切の情も慈悲もなく、仕事に取り掛かっている機械のようにただそう取り掛かったように攻撃した。


(――っ!――)



 虹の斬撃が飛びかかってまっすぐに流れ向う光をまっぷたつに斬り裂いた。光が振り落とされた直後の合間を狙ってムサシが放ち、その直後の追い打ちは二本の相方()で斬って防いだ。

 例え『どこからともなく』攻撃されても、究極斬刀剣(リンドウザントウケン)は“斬って断つ“最強の矛。()ろうが無かろうが、斬り裂く。



裁定の剣(ジャッド)


「シャエン・オブ・アラブロー!」


 発射された“光炎“の一撃を輝煌(ひかり)の槍剣にした杖の神器で迎え撃って相殺し、超強力にまぶしい輝きが発生した。

 10割中6割程度に減少した洪水はベリアルが放った瞬間に起きた爆風で全て蒸発していた。光は火などの“明るさ“から生まれるもの。火と光は兄弟か親子みたいな関係である為“性質“がちょっとだが同じである為、そこを利用してベリアルは返討に遇わされた攻撃の大半を力に変えて使ったんだ。

 【不死身】の特性を秘めた弓の神器によって身体と魂の心配は不要だが、その間の【激痛】は笑い楽しみながら行っていた。



君を護る(プラティナム)意志の象徴(・プエルデイ)!」



 白金色の粒子が盾の前に展開し、少し大きめのアルクリドスと同じ形状となって出現した。

 リンドウザントウケンで斬ったとしてもまっぷたつにしかできず、全てを消し去るには時間がかかってその余波を受けてしまうのは二人とも解っていた。

 故に勘でアルトスに任せた。


「…何を思って特攻したのかは分かりませんが、浅はか過ぎませんか? 大魔王。

 力に干渉できるあなたなら、今の私の姿を一目見ただけで看破できたはず」


『それはどうかな?』



 鳥の形をした炎がムサシへ向かって飛翔し、炎が包み込み、ムサシの背中に鳥の翼の形をした炎の翼が出現した。


お前の弱点はオレが埋(・・・・・・・・・・)めた(・・)。これで遠慮なく戦えるだろ?』

「....そのようだな。そうしてくれた事にまずは礼を言う」



 【光】の濃度が濃く強い為、“人間″であるムサシには致死的でしかない。だが弓の神器の力と一心同体となれば気にする必要なく戦える。

 バカな事をしたのは悪い癖だが、おかげで対処法とアイツについてある程度分かった。



極刑(マキシマム・)灼炎裁(インフェルノ)

最位神聖技(グランド・)地水火風冷照輪(エレメンティ)



 全方面から真っ赤に赤黒い大洪水規模のマグマと7色に輝く最高位の秘技が一斉に放たれた。

 どれも超強力なもので当たればただじゃすまない。



『あのマグマは防がなくていい。あの神聖秘技からオレ達がカール神帝()の元まで近づけるまで守れば十分だ!』

「…分かった.......。君を護る(プラティナム)意志の象徴(・プエルデイ)!」



 アルクリドスがアルトスの中に入った直後に白金色のバリアが展開されてグランド・エレメンティを防いだ。

 バリアの中に居れば空間を通しての直接攻撃を防止して“全方面“から容赦なく襲い掛かって来る秘技すら

防いだが、バリアの“負荷“をアルトスアルクリドス二人が負っていた。

 強力なきんぞくおんと激痛を常に味わされているようなものだ。いくつ精神があってももたない程に。



 真っ赤に燃え上がり光り輝く刃と真っ青に清らかで美しい刃が激突する。リンドウザントウケンは本来虹色に輝くキラキラと共に八属性が一心同体になって“(つるぎ)“となるものだが、ムサシが弓の神器と一体となっている為か、炎を中心となって展開されている。

 


『―そこだ!』


『頂いたぞ、お前らの“要“を!』



 これこそがベリアルの狙いだ。一か八かの賭けだったが、お互いの武器が激突し合ってから少しした“好機“見て飛び出して弓の神器を奪い取った。

 弓の神器があるとはいえ最悪の場合獅子の欠損や全身重症は覚悟していたが、最善に済んだから不要になった。



「――終わりだ!」



 杖の神器(武器)を失ったことで対抗する術を失って力も大幅に喪失した。多少の抵抗は可能だが、せいぜいの悪足掻きでしかない。

 自分が人間なら意地でもなってそうしただろう。聖族となって…いや、アルビンに全てを支えたあの日から私はとうに私ではなくなっていたのだな.....。


「――最位神聖技(グランド・)地水火風冷照輪(エレメンティ)


 カール神帝から突如アルビンが出現した。

 黄金を中心に輝く七色の光の剣でムサシの矛を受け止めて押し返した。

 あまりの予想外なことにほんのちょっと呆然してしまったが、すぐに我に返って何とか躱せれた。



「.....お前は何者だ(・・・・・・)。宿主か殺されかけたか、杖の神器(これ)を奪われたから自ら出向いたか」



 やはりベリアル殿も分かっていたようだ。拙者はアルビンと会ったことがないから憶測でしか想像できないが、目の前にいるこの者が人でも聖族でも精霊でも、神様でもない″何か″なのはハッキリと解る。



「本来は名を名乗らなきゃいけないところだろうが、その必要はないから言わない。なので、君らに伝えなきゃいけない事とオレが何者なのかだけは言う。

 これから真の聖戦(・・・・)が始まる。これはこの世界の命運をかけた戦争(たたかい)だ。勝った方が極厄災(エヴァスマム)に戦う権利を得る重大なものそのものの。

 要は試練だ。アルビンのプランと手段を否定できない限り、この世界に明日はない」



「....貴方の言い分はわかったが、杖の神器は取り返した。聖戦は受けて立つが、まずは貴方が知っている事を洗いざらい話させてもらう」

 

 アルクリドスをアルビン?に向けて堂々と言った。

 感情がないからか、機械のように呆然と静かに直視しているだけで何もしていない。


「...言ったはずだ。その必要はない(・・・・・・・)と」


 カール神帝が突然変異しだした。化けの皮が剥がれて本性をあらわにして正体を明かすかのように、徐々に怪物の姿へと変異していく所をただ黙って見ているしかなかった。


「杖の神器がカールの手から離れた事で枷が解き放たれただけだ。オレが現れた時点でその幕は上がっている」


 拙者はシロウから『カール神帝を究極斬刀剣(リンドウザントウケン)で斬って欲しい』と頼まれた。つまりそのままの意味だった訳だ。


「最後にオレが何者なのかについて答えよう。

 オレはエバ・リミテス・アルス。聖神が生まれながらに司る13の(ことわり)の一つ、創造の理(ケテル)を禁断の秘術にアルビンはそう改造してできあがったものだ」



 怪物にアルビン?が喰われた。

・プラティナム・プエルデイ

白金に輝く光と闇が“一つ“になった粒子によって形成されたバリアを張ってあらゆる攻撃、あらゆるもの全てを受け止めて防ぐ白亜の盾。

 ガイアスの『願い』が大きく反映された結果、アルクリドスはアルトスの中で一番強い人物であるルガリアとファルシオンを意識した色彩となって完成。誕生した為、バリアは白金色となる。

 技名は自然と思い浮かんだもの。バリアは魔力ではなく、アルトスとアルクリドスの二人による精神(心)によって形成され、意志によって強度は大きく左右される。

 


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