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アークブレイヴ  作者: 暁辰巳
第5章 聖戦編
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第64話 カール・ランディング・ゴレス

「君にはカール神帝を斬って欲しい」

「...カール神帝を」


 ムサシは真顔のまま同時も揺らぎもせずシロウの話を最後までじっと静かに聞いていた。


「君が究極斬刀剣(リンドウザントウケン)で斬ることに意味がある。アルビンの計画の要はカール神帝と【ケテル】の二つ。そのどちらかを失っただけでアルビンの計画が破綻するから」


「シロウといったな。貴殿が言った事はわかったが、貴殿ならアルビンの計画を潰す(・・・・・・・・・・)ことなど容易いはずだ(・・・・・・・・・・)。だが貴殿がわざわざ拙者に頼むのは何かあるのだろう」

「…流石だね。究極斬刀剣を習得した君には敵わないね」


 ムサシは剣を、一撃一撃とぶつかり合う度に相手のことを理解していく。だから一眼見ただけで僕が最強の存在だと見抜いたのだ。

 僕はあらゆる次元に世界。そして未来と過去を見ることができる。けどアルビンとカール神帝に“関して“は一切見ることはできない。僕の対策にアルビン君が何か施したんだろう。

 けど僕の枷があるになかれ、アルビン君がいくら対策を施そうと、僕がその気になれば(・・・・・・・・・)無駄に終わる。



「僕がアルビンの邪魔をしないのは、彼らの行動が正しくもあるからさ。

 エヴァスマムという存在するもの“全て″を滅ぼし尽くす超災害を僕は現在(いま)も抑えていてね。

 それを倒せるのはアナ君たちか、アルビンのどちらかでね。僕は本来アナ君側だから味方しなきゃいけないけど、この件に関して中立でいるつもりさ」


 アルビンの計画が成功した場合、この宇宙はエヴァスマムの消滅の余波でこの宇宙は消滅する。つまり、“一つの宇宙“の中で繋がっているもの全ては巻き込まれて何もかもきれいさっぱり無くなる。

『少数を犠牲に大多数を救う』と観点を見ればアルビンのやり方は正しい。けど、僕は世界が好きだから『世界と人々を両方救う』という夢物語にすがりたい。

 だからこそ、僕はアナ君に希望を託した。


 そしてルガリア君の説教で『間違いを認めて反省するだけでなく、自分もできることをしろ』と気づかされて僕は僕のできることをやっている。


「シロウの信念と思考は解った。そして究極斬刀剣(リンドウザントウケン)なら、エヴァスマムを消滅することは可能か?」


 究極斬刀剣に斬れないものはなく斬ったものは何であれ消滅する。それが不老不死であれ、存在自体がチートであれ例外はない。


「斬ることはできるし対抗自体は可能だよ。けど力の差がありすぎて足元にしか及ばない」



ーーーーーーーーーーーーーー



  虹色に輝く力をまとった双剣と水色のオーラと一体となった真っ青の杖がぶつかり合って攻防戦が繰り広げられている。

 カール神帝がいる「神帝の間」に転送にされてすぐに究極斬刀剣(リンドウザントウケン)で奇襲したがいとも簡単に防がれてしまってそのまま戦闘になった。


「“杖“は基本的に魔力を高め、魔法を扱いやすくする武器だが、使い方によっては剣にも槍にもなる」



 拙者たちと互角に渡り合っている理由はそれだ。例え全てを斬り裂く(つるぎ)でも、それと対等の矛がぶつかれば矛盾が生じてしまう。

 持ち手のカール神帝も強く、杖の神器(ぶき)に翻弄されず冷静に自在に使いこなしている。

 よって、拙者らは墓穴(ほけつ)を掘ってしまったのだ。



「.......焦っているようだな。肩の力を抜いて頭を冷やしていくといい…」

「―っ!」

「お主の目的はワシの首だろ? ワシがいなくなればアルビンの目的は果たせなくなる。

 ワシがアレを使われる前に阻止したい意志はたいしたものだが、重大だからといって焦りで変に引っ張っては元も子もないからな…」

(……コイツ!)



 強者同士はお互いに攻撃を交じり合っていく度に理解していく。

 だが拙者がここに来た以上目的ははなからバレバレだ。


「初めまして。カール・ランディグ・ゴレス神帝。

 魔王と魔族を束ねる大魔王、ベリアルだ!」


 天井を突き破って突如介入してきたベリアルはカール目掛けて奇襲したが、杖の神器に受け止められて失敗に終わった。

 “力”の流れに敏感な二人は即座にベリアルの存在に感知して対応していた。ベリアルはその想定状況(こと)を分かった上で行ったんだ。


「...君が、大魔王か」


お前を倒せば(・・・・・・)戦いはオレたちの勝利に終わる。違うか?」


「いかにも」



『...この戦いも、あなた達の作戦も。全ては余興でしかあり(・・・・・・・・・・)ません(・・・)

 アルビンの要となっているものを破壊しない限りあなた達が勝つことはない』


 ユーウェインは最後にそう言い残して消滅した。自身を倒した褒美であり礼でもあった。

 座天使(ソロネ)に至った代償に、精神までも呑まれかけたからなんだ。


「それが神器の力か?」


「そうだ」



 神器は担い手の魔力を介して能力(ちから)を纏わせることで真価を発揮する。神器に認められし者しか使用できないらしいが、カール神帝は神器に認められる人物だ。

 さっきまでの戦闘はほんの小手調べでしかなかったってことか......。


「オレの動きに合わせられるか?」


「努力しよう」


「そうか。――っ!」



 ベリアルが突進を仕掛けて杖の神器で防ぎ、その隙をムサシが斬りかかったが、簡単に躱されてしまった。そして覇気で二人を吹き飛ばされてしまった。

 ベリアルは咄嗟に構えたおかげで最小限に抑えれて翼でちょっとしか飛ばされなかったが、ムサシはもう片方の(あいかた)で斬って対応した隙にデコピンで壁に激突した。



「...ーーっ!」



 即座に拙者を標的にしたようだ。2本の刃で杖の神器を受け止めて追撃をかけられたが、ベリアルが横から介入してくれたおかげで何とか受けずに済んだ。


(...やはり神器の力を発揮してい(・・・・・・・・・・)ない(・・)

 技を行使する際に杖で増幅してはいるが、勝つ為の手が足りなさすぎる)



「……しまった!」



 全部防いでいたが、拙者たちの太刀筋を把握されてたようで、相方が弾き飛ばされてしまった。

 焦って冷静に対応できていなかった。どうやら浮かれていたらしい…。

 拙者もまだまだのようだ。



「――貴方は(・・・)!」



 拙者の相方を手に取って拙者を守ったその姿を、見間違えはしない。赤と銀のオッドアイに黒い髪をした美女の顔をした男。

 加減して闘ったとはいえ、拙者に勝った強者。



「久しぶりだね。ムサシ!」


 名を、アルトス。

 

 異世界と現実世界を隔てた上で世界図を構成する場合今回の世界観の構成は一種のタブーなのかもしれませんが、


 私の世界では『一つの宇宙』として構成されていると決まっているので私の作品は全てマルチバースで繋がっています。


あと、行き詰ってまたエタってしまいましたが、おかげで深堀することができてよかったと思っています。

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