第3話 最初の目的地に向けて
ドラゴニア龍国を目指すことにした。
ドラゴニアの図書館に向かって勇者の伝承と、厄際に関する手がかりを得るために。
何回かドラゴニアに行ったことがあるエレンさんが言うには、ドラゴニアの図書館はかなり広くて何万もの本があるため、勇者や厄災について調べるにはうってつけの場所らしい。
ドラゴニアにはエレンさんの友達がいて、もしかしたら勇者や厄際について何か知っているのかもしれないと言っていた。
その友達が魔族らしくて、かつて世界中を旅していたみたいだから、厄災についての手がかりを知っていてもおかしくない。
ドラゴニア龍国はドラゴニス大陸の大国であり、龍王ギラが統治する国。
誰もが各々に適した職務をまっとうしていて、誰もが礼儀正しくて責任を持っている。
身分制、利益の損得に関係なく、誰もが公平かつ優秀な人たちで溢れているらしくて、『最も素晴らしくて良い国』と世界中でかなり称賛されているらしい。
冒険者ギルドでドラゴニアをについて話していた冒険者たちが何人かいて、アウルの町の人たちも、ドラゴニアについて話している人がちらほらいた。
ドラゴニア龍国がどんな景色をしているのかと想像するほど、楽しみで仕方ない。
最初の目的地となった場所だし、異世界で初めて見るリアルな王国をこの目で見ることができるから。
「いつか私自身が王国に行きたい」という悲願がもうすぐ叶う。
仮想世界やARでは味わえない、とびきり貴重な体験。
想像上やおとぎ話でもない。とびきりリアルな王国に。
「今日はこの辺にしておこう、明野さん」
「まだまだいける。あとちょっとだけ」
「明日の旅に向けて休んだ方がいい」
この世界の野宿は結界を張っておこなっている。
魔法の発展によってできたものの一つらしい。
結界の線を張った後、詠唱を唱えて少し魔力を流し込むだけで使用することができるらしい。
魔物は結界のオーラを嫌って近づこうとはせず、例えオーラを気にせず近づいて来たとしても、結界が破壊されない限り安全で、結界の強度は流し込まれた魔力量に大きく左右されるらしい。
両足を組んで、目を閉じ、ただ静かにひたすらに瞑想をする。魔力をコントロールする修行。
旅の休憩、寝る前に毎日欠かさずおこなっている。
最初はエレンさんの指導のもとおこなっていたけど、今は私一人で着々とおこなっている。
力の加減がある程度できるようになって、魔力を飛ばす遠距離攻撃もできるようになった。
あと初級だけど、魔法を習得した。
魔法は勇者でいるときしか使えないけど、魔法を使用できる以上、使わずにはいられない。
だって、魔法は私にとって憧れで、尊いものなんだから。
魔法は初級。中級。上級。超級と階級づけられていて、火、水、地、風、氷、電、闇、光の八属性に根本となっているみたい。
この世界の魔法はどれも独特的な名前をしていて、どれも迫力がある。
例えば、超級火魔法のギガブェレイ。
ドラ○エのギガ○レイクみたいな響きでカッコいいし、厨二心をくすぐられる。
一直線に勢いよく放つ魔法で、上級種のドラゴンが放つブレス攻撃と同等の威力を持っているらしい。
「ありがとうアケノさん。食べやすいしおいしいよ」
「どういたしまして」
今日の晩御飯である魔物の丸焼き。
欲を言えば今持っている食料をありったけ使ってもっとおいしいものを作って食べたいけど、ドラゴニア龍国に到着するまでのがまんしている。
なので、今あるもので美味しくアレンジし、食べやすいように一口サイズの大きさに切り分けた。
(なにこれ…。おいしー!!)
ステーキサイズに切り取った魔物の丸焼きを口の中に入れた瞬間、柔らかく、ジューシーな食感を感じた。
一口嚙んだだけで鳥肌が立って、感動した。
ちょっとした豆知識。
アナが魔法を知ったきっかけはドラ○エ。