第57話 オーバーデイウェイング・燃
命令で待機していた私はボーッと突っ立っていた。覇気がない腰抜だ。
ここに来れば必ずヴォークと会える。それを理由にここへ来たのだ。目標に勝ったあの日から、オレは燃え尽きてしまったオレに再び火を灯してくれる。そんな些細な願いでだ。
「.........」
勝てたことは勿論嬉しいし念願だった目標がやっと達成して報われた。だからこそ嬉しいし喜ばしい。
だが翌日経ってから訳も分からない感覚がオレを襲いオレを苦しませのだ。
二日、三日、四日と数日経つにつれてそれは強大となっていっていったが、途中で止まった。だが「もどかしさ」胸の奥底でずっとこびりついていたのだ。
「……おお!」
ボロボロにまで追いやられた魔族の船を突き破って多くのガウェインたちを一掃して舞い飛ぶ炎の化身。
その姿を一目見ただけでオレは魅了されて魅入ったのだ。一目惚れだ。大魔王になぜか親近感と好奇心が湧き上がったのだ。
(戦わなきゃならねえ。いやそれ以前に戦わなきゃ気が済まねえし、何が何でも戦う!)その想いでいっぱいになった。ならばそうするのが筋ってもんだろうが!
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「オレはシリウスの一柱『不動のパロミデス』。まずはオレワガママに付き合ってくれたことに礼を言う、大魔王」
勝負を誇りに思い礼節を重んじる。それがオレの信念だ。本来ならこういうときは「悪いがオレと戦ってもらうぜ!」と言って無理やりにでも戦わせるところだが、大魔王は自身に挑んで来る者は誰であれ相手にするそうだから喧嘩を吹っ掛ける側のオレが礼節とした態度をとった。
「感謝する必要ない。大魔王は色んな者たちから狙われる存在だ。覚悟は当に済ませてある」
「…そうか。なら遠慮なく行くぜぇ!」
「――っ!――」
両者の強力な拳が激突し強力な衝撃波と共に激しい風を巻き起こした。
お互いに一歩も譲らない攻防戦が開始して、パロミデスは笑みに満ちて戦いを心から楽しんでいた。
激しさを増し勢いと力がお互いにヒートアップしていく中、ベリアルは冷静のまま表情を変えないまま戦いに専念していた。
「――っ!――」
「――うおっ!」
隙を見て距離を取ってすぐに燃え盛る火炎の弓から光の矢が三本放たれて直撃した。そして瞬時に追撃したがパロミデスは拳を掴んで防いだ直後にベリアルの顔面にパンチをくらわした。
「さっきのお返しだ。痛かったが、驚いたで新鮮だったぜ」
もろに受けたが予想外な攻撃がパロミデスに刺激をもたらしてノーダメに等しかった。
「――のぉッ!?」
「生憎オレもやられたらやり返なきゃ気が済まない精進でな。オレの火炎を強烈に受けた気分はどうだ?」
「…いいパンチ出せるじゃねえか、こんやろう!」
グシィッ! と拳を掴み宣言する。
「この程度か、お前の拳は。オレに拳を…いや、オレに攻撃をするなら生ぬるいは「くすぐる」も同然だ!」
ベリアルの拳をもう片方の手で受け止めたが拳の威力が強く慣れた痛みを凌駕する程の痛みをもたらした。そして両肩から火炎の渦がパロミデスへ襲い掛かって激しく強い力と暑さが畳みかける。
「――!――」
「生ぬるくて、くすぐるて悪かったな。これは礼とさっきのお返しを含めた一撃だあぁっ! 何が何でも受け取ってもらうぜ、大魔王ぅぅぅ!」
翼に黄金一色の光が強く激しく輝きを放ち輝度は徐々に強く光っていた。純白に神々しい翼を塗りつぶすその光はまさに、パロミデスの熱さと意志を表すかのようにまぶしく強く熱く輝いて光照ている。
光よりも遥かに上回る速さで強力な一撃を浴びせて駆け続けた。
「どうしたどうした! さっきまでの勢いと余裕と強さは? オレが全力を出したくらいで呆気なく逆転する程。お前はその程度だったのか大魔王! いや、ベリアルうううぅ!」
光よりも遥かに速く。さっきまでの、人間だったときよりは比にならない程に強くたくましく化したパロミデス。瞬時瞬時に一撃を畳みかけて倍返しで返して返して、返し尽くす。
(――いや待て! なぜコイツは反撃しない。何が目的でオレの一撃を躱さず防ずに受け続ける?
なにを狙っているんだ、コイツは!)
「……気づいたか」
「――っ!」
ベリアルの声を聞いた瞬間に攻撃の手を止めて距離を取った。驚きを抑えて冷静さを失わず対応できたことにほっとしてゆっくりと落ち着かせつづけたまま、ベリアルをまっすぐ見て警戒している。
「何が目的だ? なぜオレの攻撃をわざと受け続けた? そこら辺を洗いざらい洗いざらい話してもらうぞ」
「お前が“全開“になるまで待っていただけだ。お前の攻撃を全て受けたのはあえてなのがほぼ全てだが、おかげでお前が全力全開だと知ることができた」
「全力じゃないオレとは相手にしないとでも言いたいのか?」
「少し違う。腑抜けで中途半端なお前はオレと戦うのは速いと言っているのさ」
「……言ってくれるじゃねえか。オレのどこが腑抜けで中途半端なんだ。そもそも自分に挑んで来る者は誰であれ受け入れるんじゃあねえのか?」
「お前のどこが未熟なのか、それは――」
「――っ! ……おまえは.......」
気づいたパロミデスが後ろを振り向くとそこには思いもよらない者がいた。
気配で解ってはいても、顔を見た途端に更に驚き差がまして何て言えばいいか言葉が詰まってしまう。
「…そいつが教えてくれる」
燃え上がる赫緋の髪と瞳をした人間の姿をしたライバルにして戦友。
「ありがとなベリアル。ここからはオレの番だ!」
ヴォークが突き立っていた。




