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アークブレイヴ  作者: 暁辰巳
第4章 魔動機文明帝国ゴレス
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第52話 絶雲に灯す燐寸(希望)


「超高位力の熱源体接近! ガウェインです! 速く指示を…ジェレノアさん!」


灼熱に燃え盛る炎の球体がミーティアへ目掛けて突撃していくところを指令室で戦況を確認している者の一人が確認した。そのため司令官であるジェレノア以外の魔族は皆恐怖で慌てふためていた。

 いくら賢魔王(フリード)が造ったミーティアとはいえガウェインの剛烈な一撃を受ければ元も子もなく、避けたりバリアを張って防ごうにも速すぎて間に合わないからなんだ。



「は…こ、光熱が消えた!?」

「パーシヴァルです! パーシヴァルがあれを倒しました!」


 光熱の根幹部分となっているガウェインを直接狙って叩き落したんだ。その際パーシヴァルに火傷もなく、体力も魔力も全然消費していない。

 ガウェインがいとも簡単にやられたことにゴレス神聖帝国の部隊は驚愕し。シリウスであるトリスタンは睨み、ライオネルは真剣に捉え、ユーウェインは「流石だな」と笑いながらそう感想を口に出した。


「これから作戦を「フェーズ2」へ移行する」

「もう一度言う。 予定通り作戦をフェーズ2へ移行する!

 君たちの気持ちはよく分かる。だから攻めも追及しない」


 少し息をしてジェレノアは語った。


「……聞いてほしい」

「正直に言うと私も怖いし、欲を言えば司令官ではなく、フリード様の執事としていつも通り専念したかったと今でも思っている。

 フリード様に頼まれて私はミーティアの司令官を引き受けたが。今私は“司令官“として自分の任を全うするつもりだ。

 これは私自身の嘘偽りのない正直な気持ちだ。だが時として今の君たちのように恐怖で慌てふためいてしまうだろうが、それでも私は最後までこの仕事をやり通す。

 話を聞いてくれてあるがとう。命が欲しい者は今すぐ避難してくれ」


 ため息をはいた瞬間に一人の者が心から拍手し、それにつられてジェレノアの気持ちを聞いて感動した魔族たちが一斉に涙を流しながら拍手したんだ。

 こうなると粗方分かっていたが、全員が涙を流しながら感動する程に拍手したことまでは予想外でジェレノアは少し驚いて戸惑っていた。


「ごめんなさい…ジェレノアさん。……先に逃げようとしてしまって」


「気にしないでください。君たちを落ち着かせる方法があれ以外に思いつかなかったので」


「落ち着かせる為? そのためだけに話をしたんですか」


「はい。何事もお互いの心境を知ると安心するもんですから」



 「…流石はジェレノアだな」っとその状況を聞いてたフリードはそう呟きながら作業に励んでいた。

 ジェレノアが皆を落ち着かせたか、或いは一人で状況に対処するところだろうと分かって指示を出そうと指令室に音声を繋げたため、その演説を聞いてしまったんだ。


『いい状況(ところ)に水を差して悪いが、まだ戦争(たたかい)はまだ始まったばかりだぞお前ら』


 ジェレノアを司令官に選んだで良かったと更に思った。僅かながらの不満があると少し心配もしていたがどうやら不要だったようだ。

「他人に寄り添う」からこそ部下の気持ちを理解した上で寄り添って考えるからこそジェレノアを司令官に推薦した。

「思いやりがあって頼りになる」者について行きたいと誰もが思うからな。


「珍しいな。ぶっきらぼうなお前がそこまで心配していたとはな」



 玉座をほうくつさせる椅子に座った白い髭と髪が長い老人。名をサタルドラ。元大魔王にして現大魔王ベリアルの実の父親だ。

 彼はミーティアの“動力“としてミーティアの強大(おおきな)な力となっているんだ。大魔王の任を終えた彼はずっとミーティア内の禁足地で協力しながら静かな隠居生活を送っていたため、フリードとも少なからずの親交がある。  


「オレとて他人を思う気持ちはある。ただ他人は面倒で複雑だから極力関わらないようにしているだけだ」



 フリードは心許した者にしか敬意を払わない。魔物に襲われてたところを偶然気づいたフリードが気まぐれに助けられたことを気にジェレノアはフリードの所へたどり着き執事になった。

 時が経つにつれてお互いに心を知り合っていったんだ。


「では、ベリアルや余の事はどう思っているのだ」

「少なくともあなたとベリアルはジェレノアの次に私が心を許した者ですよ。そして腹を割って楽しめる仲ってところかな。少なくとも」

「ふっ、そうか...。お前が『余の全力全開の魔力に耐えられる...いや、完全にものにする艦にしてみせる』頑なに日々葛藤し続けて本当に実現させた瞬間(とき)は流石の余も驚いたぞ」

「ミーティアを一から作り直す羽目になって常に改善作業の繰り返しで大変だったが、おかげで想像以上のミーティアを作り上げれることができた。

 ベリアルがあなたを紹介してくれなければ元以上の艦は造れなかったから、今でもベリアルに感謝しているよ」


 そう本音を言い合いながらお互いに作業を進めていた。

 サタルドラはフリードに紅茶や好きな菓子を贈って支え、熱がたぎっていても力を入れ過ぎずミーティアの調整に専念していた。



『――よしっ! 聞こえているかジェレノア! ミーティアの調整がようやく終わった。いつでもいけるぞ』

「わかりました。フリード様」


「総員! デュエルフェイズ配備!」


「了解! 『デュエルフェイズシステム』起動。艦内に警鐘発令」


 ミーティアの全体が黒一色に染まりそれを目撃した全員にただならぬ雰囲気を実感させた。



「初の初陣だし、まずは派手に飾ってやるとしよう」


魔族語で書かれてた『ロックオン・バーディスト』をフリードが押すと周りにいたシリウスの戦艦が同時に一斉攻撃を受けて墜落した。

・ロックオン・バーディスト

捉えた“敵”を空間を通して直撃させる回避不能の一斉掃射攻撃。

威力はフリード自身がミーティア首脳部で直接設定を行なっている為威力はフリードの思いのまま。



敵の戦艦のデータを参考にフリードの考えによって誕生した凶悪兵器そのものであり、【空間】の術刻によって“空間”を定めてそこに直接攻撃を送って直撃させる為盾やバリアで守っていようと対象の“座礁”を通して攻撃する為避けることも防ぐことも無理に等しい。

これは『オールロックオンレーダー』によって対象を捉えていて、一度捉えられると掻い潜る事は不可能。当然【空間】を捉えている為解くにはレーダーの範囲外に神速より速い速さで逃げるしかない。


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