第49話 黄金を穿つは光闇(トゥラダ)
光闇と書いて『トゥラダ』ですが完成した魔法名にライトとダークを一文字付け足した安直な名前です。
合体名にする以上交互に語尾がいい名前にしたかったので。
「獄炎災襲魔法!
「風斬!」
深紅色の火炎をエレンが放った同時にアナは風の【斬撃】を放って畳みかけた。
突斬槍剣で斬撃を突いて消した瞬時にエレンが放った魔法を真っ二つに斬って全て防いだ。
剣の【斬撃】と槍の【突き】。その両方の特性を兼ね備えた突斬槍剣は届かない所まで手が届いて突き斬ることができ、ランスソッドの実力と両者の能力が相まって常時瞬時に折り紙付きの性能を発揮する。
「――! ―はあっ!
っ!――しまった!」
ムサシさん以上の腕をしたランスソッドにあの程度のことは全く及ばないのは分かっていてたから、それをブラフに攻撃を仕掛けた。
何とか攻撃に対応しきって反撃の一手を放った瞬間の隙を突かれてエレンさんの接近を許してしまった。
離れたところから魔法を撃つスタイルである以上、距離を詰められるのが一番厄介。
対処法をエレンさんは持っているけど、流石に相手が悪すぎるから悪足掻きにもならない。
神速の如く迫られてあっという間にすぐそばまで近づいて瞬時にアロンダイトでエレンさんの腹を貫く。
「――エレンさんっ!!」
腹を見事に貫通していて風穴から大量の出血が漏れ出ている。
回復魔法を使えば何とか助けれるけど、その前にエレンさんをランスソッドさんから引き離さきゃ。
今ならまだ間に合う。すぐに取り掛かられなきゃ......。
「うっ……おえっ」
ここにきて突然の吐き気が私を襲う。
残酷なことが起こるのは覚悟していたけど、今目の前で起きたことは私が最も苦手とするもの。
″心から″仲良くなった人が目の前でやられたりするところが視るに堪えない。
「――なにっ!?」
「!」
「このときを…待っていたぜ」
エレンさんの全身から銀色のオーラがたぎっていた。
ランスソッドはすぐに突斬槍剣を抜こうとしたが時すでに遅く塵となって消滅した。
最初から突斬槍剣に貫かれるのがエレンさんの狙いだった。真っ二つに斬り裂かれるのが唯一の懸念だったが、望み通りに事が進んだ以上第一の作戦は成功した。
刺されてから少しして魂と魔力を【光闇】に変換して極小力に抑えて潜め、一気に力を開放してたぎらせたんだ。
光と闇が一つになった元素は最強の元素にして物質そのもの。
特別なものでできて特別なもので加工されているであろうアロンダイトといえ足元にも及ばない。
「っ! 最上癒光魔法!」
即座に応急処置を行ったことで大事に至らずしたが、生じた激痛の反動はまだ癒えていない。精神に僅かながらの【傷跡】ができてしまった。
“心″の負傷程手間がかかるものはないがトラウマ程ではないので対したものではない。
「思い切ったことをしてくれましたね。鬼人族の武術である化身術をまさかああいった使い方をすると思ってもいませんでした」
「ああ。正直一か八かの大博打だったから人生で一番ビクビクしたぜ。だがおかげで厄介なそれをつぶせたぜ」
教団との決戦に備えていた数日間。アナとエレンは剛魔王からスパルタ訓練を叩き込まれた。二人が会議メンバーの中で最も″未熟″だったからだ。
どんなに強力な能力を持っていても、強大な力を秘めていようと、肝心な担い手が整っていないと持ち腐れと化すのは当然だ。
よそ者もとい。人間に鬼人族直伝の武術を教える気はなく、絶対に教えないと頑なだったが、「好きな人を助けたい」というエレンの強い気持ちに負けて教えてくれた。
要の一つを潰すことができたがアロンダイトはもう一本ある。そしてまだ半分か近くまでしか力を出していない以上、今までの苦労はただの小手調も同然だ。
つまり本当の戦いはこれからだ。
「貴方方はかなり厄介な人たちである以上、ここは全力で対応します」
(ーーくるっ!)
ランスソッドの全身からまばゆい光が溢れ出して背中から白い翼が6本生えたのち、全身に絡みついて消えてしまった。
シリウスは聖族であるアルビンによって人間を辞めて聖族と化している。
実現の理によって生み出したアルビンのもしもとはいえ、シリウスの一人に加わった事にかわりはない。いや、前提としている以上僅かな違いがあるとはいえ根本的部分は同じだ。
「行きますよ」
引き抜いたもう一本のアロンダイトを手に取って私たちに向けて言った。
「ははっ! 私の目と勘に間違いなかった人です。人の身でここまで渡り合えた人は貴方が初めてです、ムサシさん!」
「それはオレも同じです、ラモラック殿。いえ、ラモラック・リュレイド!」
バチバチぶつけ合う剣を前に両者は闘いの感想を伝え合った。
ムサシとラモラックは数十分間″剣だけ″で斬り合っていて、魔法や道具などは一切使用しておらず。それらを使う気が一切ないどころか完全に忘れてしまう程に闘いに熱中している。
最初は戦っていたが徐々に剣士としての魂とプライドが抑えられなくなり、純粋に心から遊びを楽しみながら遊ぶ子供のように闘いを楽しみながら熱中した。
剣士同士は自身と一心同体である【つるぎ】を介してお互いがお互いに触れ合いながら打ち解ける。それが剣士の世界であり、暗黙の了解である。
もっともこれはベテランの境地まで至った者同士によって成り立つことで、部外者は知る由もない。
「こぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
「我は器を担いし影ならば。影より色が生まれて器と交じる」
ラモラックの雰囲気が変わって全身から溢れ出る力を感じてムサシは【究極斬刀剣】の口上を唱え始める。
もっと勝負を楽しみたいのはお互いに山々だが、両者に立場と仕事がある以上それを全うしなければいけない。かといって勝負を疎かに終わらせば対戦相手の無礼と侮辱である以上、お互いに全力を開放して″全て″をぶつける。
それが二人にとっての決着のつけ方であり、礼儀であるからだ。
「それが究極斬刀剣。私が今まで戦い、見てきたこれまでのつるぎの中で一番美しいですね」
「伝説の聖族の姿がそれで、シリウスとしてのおぬしの姿そのものか」
虹色に輝きオーラを発する双剣と、雄々しき白い六翼に聖なる聖気が迎え合う。
少しの間お互いに相手の全開した勇姿を目と魂に焼き付け合ってから戦いを開始した。
・ガルナの訓練
1手を合わせてじっとたったまま真上からめっちゃ冷たい滝水が流れ落ち、真正面からガルナのめっちゃ暑い熱水が放射されるのを自身の魔力で防ぐ
2アナ/エレンvsガルナもしくはアナvsエレンで模擬戦を行い切磋琢磨
3武器に魔力を込めて調整する
4縛り摸擬戦「例えば右腕を使わない」で何かを使えなくなったり極限状態の状態で対処しながら戦えるように(実はこれが二人にとって一番大変だった。理:48時間ぶっ通しが数回続いたから)
これらの修行はフリードの失敗作品の一つである「ワンダーブックワールド」の中で行っていました。
失敗作である理由は「世界観を構築できたものの時間が流れていなかったから」
そのためその中全てがレプリカにでき上ってしまったからです。
尚エレンは早く習得したのに対し、アナはかなり苦労して習得。




