第2話 冒険の始まり
訂正 『冒険の準備』から『冒険の始まり』へとタイトルを変更します。
異世界に来て数週間経った。
冒険者となってコツコツお金を稼ぎながら、旅の備え物を揃えていってる。
準備は順調だ。
冒険者は魔物退治を主とした仕事がほとんどだけど、依頼書の中には畑仕事や掃除の手伝いなどの依頼がまぎれていることもある。
報酬お金を必ず払うのは義務となっている為、冒険者は安心して依頼を引き受けることができ。
他の冒険者に依頼を横取りされた冒険者や、冒険者となったばかりで魔物退治に自信がなくて不安な冒険者たちの他に、心優しい冒険者も喜んで引き受けたりしている
依頼をお願いした依頼主は報酬を必ず支払い、依頼書に書かれていないことは雇用者に絶対に強要させない。雇用者は引き受けた依頼を必ず成し遂げるというWin-winの関係の元に「依頼」は成り立っている。
戦闘経験が皆無で戦う術を知らない私は主に雑用依頼でお金を稼ぐことを主にしながら、戦う術を見出し、鍛え続けた。
シロウさんから託された勇者の力の使い方が分かって、力の特性について研究していくと3つ分かった。
1:力を発動するには強い意思感情が必要。
文字通り、明確な目的を持たないと力を発動することはできなかった。
エレンさんを助けるとき、「助けなきゃ!」と無意識に思ったことに気がついて、力の使用方法を知った。
2:力を発動している間は全身に魔力をまとっている。
超○イヤ人とおなじで、私の髪は灰色一色に染まって、全身から白銀色のオーラが溢れ出す。
エレンさん曰く、全身から溢れ出ているものは魔力らしく、私の魔力にどこかいびつを感じとったみたい。
シロウさんは私にしか使うことができないと言っていたから、それが原因じゃないかな。
後、魔法が使えないか試してみたけど、残念ながら魔法は使えなかった。こればかりは残念すぎる。
魔力を持っていれば誰でも魔法を使えるのは当たり前らしくて、せっかくだし頑張ったんだけど、魔法が使えなくて悔しかった。
3:能力について
力を発動している間は、全身が魔力によって強固に守られていている。
全身に鎧を身に付けているかのように全然痛みを感じないどころか、痛覚が全然伝わらない。
ただし強大な痛みをともなうものは例外で、そのときは痛みを感じる。
試しに、デカくて硬い大岩を殴ったとき、大岩を粉々に破壊できたけど、その時に僅かながらの痛み痛覚としびれを実感したから。
あと、全身の魔力は“守り″だけでなく矛にもなって、ものすごい剛力を発揮している。先ほど言った通り、デカくて硬い大岩を破壊することができたのはその剛力ちからによるもの。
憧れていたアニメキャラたちのような力を私自分が使うことができて、猛烈に感動した。
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エレンさんからこの世界について色々教わった。
“勇者″の存在はおとぎ話として世界中で伝わっているらしくて、勇者のことを知らない人はいないみたい。
剣、弓、杖、鎧の神器を身に着けた四人の勇者たちが、この世界を滅亡にまで追いつめた一匹の邪神を倒すおとぎ話。
世界を滅亡にまで追いやった邪神となると、○ィガのラスボスを彷彿させる。
邪神に立ち向かった神々は全滅し、この世界に生きる全ての命は邪神によって滅されそうになった時、
神様が作った神器を持った四人の勇者によって邪神は倒されて、この世界は救われたらしい。
シロウさんの説明では、この世界に勇者は四人いると言っていた。
シロウさんの言うことに間違いはなかったけど、どこか腑に落ちなかった。
……そう五人目だ。
おとぎ話には五人目の勇者が記載されていなかった。これがどうしても腑に落ちなかった。
後、この世界のおとぎ話に出てくる邪神は、私が追いかけている『厄災』によく酷似していた。
もしかしたら厄災の正体は、おとぎ話で退治された邪神なのかもしれない。
死んだことになってるものは大体、生きていることが高いし。
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「よし! これでOK!」
借りている部屋の大掃除を済ませて、部屋中をくまなく確認を終えた私は晴々した気持ちでそう叫んだ。
だ。
旅に必要なお金と持ち物を大体揃ったので、この部屋とはお別れとなる。
今までお世話になったお礼に、私は気合を入れて精一杯大掃除にとりくんだ。気合を入れてやったかいがあって、どこからどう見ても、部屋は見違えるほどに綺麗になった。
いつどこでも、大掃除を済ませた時の“達成感″は、気持ちが良い。
「今までお世話になりました」
部屋を少しの間見つめた後、私はお礼を言って頭を下げた。
エレンさんによれば、私が借りた部屋はエレンさんのお母さんとおばあさんが使っていた部屋らしい。(私にこの部屋を紹介するときにそう言っていた。)
誰かに見られると恥ずかし過ぎるけど、お世話になったこの部屋にはどうしてもお礼を言わずにいられなくて仕方がなかった。
「ごめんエレンさん、待たせてしまって」
「気にすることはないよ明野さん。さっき荷造りが終わったから」
玄関の出入り口で、エレンさんは私を待っていた。
私の旅にエレンさんも同行してくれるみたいで、一緒に旅をすることとなった。
最初は、私一人で旅する行く予定だったけど、エレンさんがどうしても私に同行したいとお願いされて、仕方なく受け入れた。
「旅は道連れ」ってアニメやゲームで学んだし、こういうのも嫌いじゃない。
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「命を助けてくれたお礼」と嘘ついてアケノさんを騙して、アケノさんの旅に無理やり同行した。
自分が卑劣なのは分かっている。だけどどうしても、アケノさんの助けになりたかった。
アケノさんがいう『厄災』というのが本当に起こって、それを解決するためにこの世界に来たというのなら、オレはアケノさんを厄災やあらゆるものから守りたい。
これから先、アケノさんとの旅は想像を絶するほど、いや、“想像を絶するほど"の言葉が生ぬるいほどの強大な敵、困難が、オレとアケノさんに間違いなく襲いかかる。これだけは考えるまでもなく、ハッキリと確信した。
どんなことが待ち受けていようが、襲いかかって来ようが、
どんなことがあったとしても、どんな手を使ってでも、オレが絶対アケノさんを守り抜いてみせる!
お母さんと、おばあちゃん、おじいちゃんと過ごしてきた家に「行ってきます」と、ボソッと言った後、オレは後ろを向いた。
「――え?」
一歩足を踏み入れようとした瞬間、誰かに背中を突如押されてた。
驚いて後ろを振り向いたが、当然後ろには誰もいない。
ここにはオレとアケノさんしかいないはずだ。一体誰が、オレの背中を――
「エレンさんんんん!」
「…。今行くよ!アケノさん!」
ちょっと考え込んだものの、アケノさんの声が聞こえて考えるのを止めた。
アケノさんに向かって、まっすぐに走った。