第41話 個の意思(おもい) ぶつかり合う歯車
白金に輝く神々しい槍と漆黒の棍棒の形をした長剣を持つシロウを中心に、巨大隕石のように大きな図体をしたドラゴンに杖を持った一人の人魚の容姿をした女神、ドワーフのような容姿をしたイケオジの三人を前に三人の男が相対していた。
ルガリア、ファルシオン、アルトスの三人は自分たちの想いを伝える為に四人がいる世界に戻って来た。
神である二人の力を介して地脈を通って帰って来た。
16年。
人々にとっては長いと感じる時間で神々にとっては一ヶ月程度の感覚だが、不思議な事に月光神と太陽神は16年分の実感をしていた。
「単刀直入に言うぜ。
オレ達が今ここに来た理由はお前らの真意を確認し、オレ達の結論をお前らにぶつけて改めて! 【厄災】対処に向き合わせるためだ!」
白銀の髪色に黒い髪をした男、ルガリアが最初にシロウが最初に意見を述べた。
「ある男に言われて、オレは改めて自分の気持ちと向き合えたんだ。
オレやお前らの立場上どうしても『そうするしかない』事や分からないこともあるのはオレもよく分かってるさ」
「.......だがな。
見てるだけで人々のことを知っただけで『解ろう』としないお前らの傲慢さがどうしても許せないんだよ!
だからオレはアルトスの傍にいることを譲らなかったし! お前らの考えにも反対し意見したんだ!」
厄災が神々ですらどうしても手に負えない以上、アルトスを生み出し打倒厄災の力を与えようとした。
その行為がアルトス一人に全世界も自分たちの責任を押し付けていることにルガリアはどうしても耐えられなかったし見過ごせなかった。
全神々が協力するにせよ、いくら完全超越人であるアルトスでも荷が重い。
石頭ですら目にないこいつらにどうしても無理だと分かりきっていたルガリアはアルトスの事を第一に想い考えて行動するようにした。
例え全て世界を敵に回そうと、血も涙もないことでしか全てを守れないなら滅びた方がマシとそう思って。
「私の考えでは。『人々を助けて導く』のではなく、『人々と向き合い共に乗り越える』のが私の答えです。
これは兄さんとアルトスと一緒に地上で生きてきた私自身の答えです。
皆さんは私と兄さんの意見を聞いたうえで何を感じ、どう思ったのかを、できれば聞かせてください」
ルガリアの暴走気味な意見を途中で止めたファルシオンが次に意を唱えた。
「二人の想風は私の心に響いた」
「お主ら二人の熱い想いはこのワシによく伝わった。これまでアルトスの面倒を見てありがとう。
そしてすまなかった」
「貴方たちの意見は私たちが『神』として上に立つことしかできなかったから気がつけなかったしどうしても分からない|私は、アルトスを気にかけていたけど貴方ほど勇敢でもなかったから賛同する事しかできなかった。
アルトスを守って面倒を見てくれてありがとう。ルガリア。ファルシオン。
そしてごめんなさいアルトス....今まで何もしなくて」
途中から涙ながらにミダチは自身の気持ちを告白した。
彼女は神々の中で一番罪悪感を抱きながら思い続けてきたのだろう。
「私にとっての″父″は隣にいる父さんの二人だけ。
貴方たちに思っていることは正直今も全然分からない。
....けど一つだけ、確かな事がある。
私が生まれたから父さんと出会えたし、色々なことや人と巡り会えた。
.......ありがとう」
『打倒厄災』を目的に生まれたアルトスは機械的に思考するように作られたため感情表現に乏しく、人間臭があまりない。
異端者として育った村の住人全てから追放されたのにもかかわらず、純粋に村人たちのことを気にかけていて想いは一切ブレていない。
例えルガリアとファルシオンがついていなかったとしてもアルトスは村人たちの思い(エゴ)を理解し尊重した上でおとなしく村から出て行って己に課せられた目的を果たしに行く。
成長はしても意識が澱まないアルトスは人間と違って多方向からの影響は適量しか受けない。
「...ありがとう」
アルトスの言葉を最後まで聞いた後、ミダチはそう言って頭を下げた。
ミダチの言葉には少し涙ぐむんでいた。
「本題に戻ろう。まずは私からーー」
「ちょっと待った! まずはボクから言わせてもらうよ」
「シロウ。何を企んでいる?」
ピキンッッ
シロウとアルトス、ドラゴニスとファルシオンにルガリアが別空間に飛ばされて隔離された。
シロウの心が読めなかったことから事からミダチはすぐにシロウを止めようとしたが、そうする間もなかった。
「いきなりで悪いけど。君は今からボクと戦ってもらうよ。アルトス」
意識が澱まないとは『辛かった事や苦しかった過去』『などに囚われず、「良いものは良いもの。は悪いものは悪いもの。他所は他所うちはうち」とはっきり区別して生きるオレたちからすれば『理想で完璧な人間』です。




