第31話 ヴォーク対ヴラッド
「うおっ!? あっぶねえ。不意打ちとはやってくれるじゃねえか!」
結界の破壊である程度力を消費する事ができたから“人”となって降り立とうしたら突然のブレス攻撃を受けた。
オレの全身には人間と化す術式が刻まれている。
オレは人に化ける事ができないからジャンルに術式を刻んでもらった。
人間の身体は随分と小さすぎるからオレの力が収まりきらないから、結界の破壊で力を使い切る必要があったからだ。
「へえ。デカイのに素早くてパワーも強い、ますます気に入ったぜ」
まるで、オレのライバルだったグリトブルムを思い出すぜ。速さに力は同等だが、コイツはオレと同じ人型のドラゴンだから姿は全然違う。
「竜族の生き残りが再びこの地へ来るとはな」
「お前、吸血鬼だな。オレと同じドラゴンになれる能力まであるのか」
「始祖返りの吸血鬼である私は、ヴァンパイアの“本来”の姿である血喰怪物になる事が可能だ」
「そうか。ならますますお前と闘いたい気持ちが溢れてきたぜ!」
「......」
場は沈黙し戦いが再開した。
赤く燃えがる火炎を纏ったヴォークに、真紅の血を漂わせたヴラッドが激突し合う。
流星のように移動するその光景は凄まじく、しばし激突し合ってから力を解いて火炎の爪と血の爪が交差し合った。
「血槍雨撃!」
ブラッドの全体から槍の形状をした血の雨がヴォークに目掛けて真っ直ぐ襲い掛かる。
「秘灼炎身放撃!」
血の槍をしばしかわし続けてからヴォークは全体から溢れ上がる灼炎を解放した。
秘めたる力を全身にたぎらせてから一気に開放して放つ必殺の一撃。
強大すぎる威力だけでなく、速度があまりにも速い。
血槍雨撃が次々に灼炎の塊に蒸発していくだけでなく、秘灼炎身放撃の威力と速度に衰えはない。
「!!」
ヴラッドに直撃して強大な爆破が発生した。
(直撃したのは間違いない。直撃した直後にヴラッドの気配が絶えた)
「ーーへっ、あれで終わるわけないよな」
何とかヴラッドの不意打ちをかわせた。しかも二体に分裂していたから流石に予想できなかったぜ。
「我の追撃をかわしただけでなく、我の瘴気を受けても無事でいるとは」
「この瘴気にどこか秘密があんのか?」
血侵瘴風。
ヴラッドのほんの僅かな“血液”や“細胞”を風に紛らせて他者に摂取させるヴラッドの奥の手の一つ。
すぐさま見抜いて対処しなければいけないが、この技を初見で見抜く事はほぼ絶対に不可能な初見殺し。
吸血鬼は自身の眷属とした者を従える能力を利用したもの。
ヴォークの全身は漲る力が常に燃え盛っている為、ヴラッドの血片は耐えきれず消滅した事をヴラッドは把握した。
(分裂した個体は本体と比べてどこも衰えてはいねえ。しかも上手く連携を取れてるときた)
「いいぞ、それでいい! だからこそ余計に楽しめるぜ!」
「分身」ものはほぼ確実に本体と何処かが劣っている箇所がある。例えば、分身体は本体の3分の1しか力を発揮できなかったり、力が同等でも一回当たっただけで消えやすい生き写しだったりと様々だが、ヴラッドにそれは無い。
ヴラッドは二つに分裂させて復活する事で襲い掛かった。
流石は始祖の吸血鬼の魔王なだけあってオレを驚かせて楽しませてくれる。
いいぜ、数でここまで徹底的に追い込まれるのは久しぶりだ。
その気になれば数十数百と分裂して一気に畳み掛けれるだろうが、それをしないって事はできないかあえてしないのどっちかだ。
普通は「できない」と確信するだろうが、戦いは最後まで何が起こるか分からない。
いくら魔王であれ特別な力を手に入れていようが、何事にも“力”を消費する以上無駄使いはできないだろう。
「そろそろ限界が近いんじゃないのか?」
「ああ。お前らの攻撃に対応していくのがしんどくなってきたが、お前らはまだまだ元気そうだな」
「我は全にして一。我らが一つ一つが独立している以上、例えお前が我らを倒したとて、不滅である我を追い詰める事は不可能だ」
ヴァンパイアの生命力がどんだけもんかは知らねえが、ヴラッドに残った魔力量と身体の状態に差があるのは分かりきっている。
だが、二人のヴラッドを同時に倒さなきゃ終わりだ。
魂もろとも完全に倒せたとしても、残ったもう片方が無事でいたら意味がないからな。
「まとめて一気にきめてやるぜ! ヴラッドオオォォ!!」
紅蓮に燃え上がる灼熱の火炎を纏ってヴォークは一体のヴラッドに目掛けて全速で向かう。
(やけになったか。それとも何かあるのか...)
「どっちでもいい。お前の策に乗ってやるう!」
真紅の血を纏ったヴラッドがヴォークに捨て身で向かう。
例えヴォークに押し潰されようと残ったもう片方は無事である以上、臆する事はない。
だが、何かあるのは確実な為ヴラッドは警戒を解かず冷静のままヴォークを迎え打つ。
「「ーー何っ!!?」」
二つの力が激突し合おうとした瞬間、ヴォークはヴラッドをとっ掴んだ。
もう片方が放った追撃を捕えたヴラッドを盾にして防ぎながら近づいていく。
「一か八かの勝負だったが間一髪勝ったぜ!」
「き、さまぁ。最初からそれが狙いだったのか」
「ああ。お前らなら必ずそうすると読んでいたぜ」
残った力を出し切りすぐに火炎を纏ったヴォークは残ったヴラッドの方へ直進していく。
ヴラッドのブレス攻撃を押し切ったままヴォークはヴラッドの激突して大爆発が発生した。
「はあ....はあ...うっ。
何て無茶な奴だ。まさかあそこまでやるとは...」
身体がかなり負傷していて、あちこちから出血しながら少しずつ回復していく。
綺麗な白肌に黒い髪、真紅の眼をした男。
“吸血鬼族”としてのヴラッドの姿だ。
「ああでもしなきゃオレは逆転できないからな。
それにオレは戦いで数えきれないほど沢山無茶をしてきたから、あの程度の事は遠さもない」
エメラルドグリーンの眼に赤い髪をした男。ヴォークがヴラッドの目の前に姿を現した。
「変化術式発動:人間」
と言ってヴォークの全身に刻まれた術式が発動した事でヴォークは“人”と化して降り立った。
「さあ、第二ラウンドといこうぜ!」
グリトブルムはヴォークと一緒に本編に絡ませる予定でしたが、『キャラクター』というエンジンが掛からなかったので没にしました。
・始祖ヴァンパイアって現ヴァンパイアと違ってどれくらい強いの?
って簡単に表すと
生命力
現=生きていればほぼ完全に復活できる
始=肉体を完全に滅ぼされても“魂”が残っていればそこから完全に復活できる
血の操り方
現=自身の血を武器としたり姿を変えて行動できる上、他者に血や細胞をほんの少し摂取させて眷属と化して従える事が可能な他、噛み付いて記憶を全て観覧することもできる
始=他者に摂取させた細胞や血を通して自爆させたり自身に戻す事でその細胞を自分の一部と化す事でその者の特性や技を得る事ができる(噛み付いたりしても可)
ドラキュラ化=超◯イヤ人のように吸血鬼の誰もが覚醒させて得る事はできるが、ドラキュラとなった途端にその力や変貌に“自分自信”が耐えられず死ぬまでドラキュラとしている危険もある。




