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アークブレイヴ  作者: 暁辰巳
第三章 ガイアス大陸編
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第30話 縁巡り




 落下していく最中に虹色の光が私たちを包み込んだ。

 どうやら転移魔法だったみたいで、私たちは皆分からない場所に飛ばされたみたい。

 辺りは砂一面の砂漠で、上空から照りつける日差しが強くて暑い。


「みんな大丈夫!?」


 すぐにみんなの安否を確認する。“ただの″転移だと思うから何もないと思うけど、一応念のため。

 ここが敵の本拠地でしかも砂漠にいる以上、生きる為にはみんなの助力が必要不可欠だから。


「よかった。でも何かされてるかもしれないからそこだけは気をつけ....ムサシさんがいない!!」

 ムサシさんにがいない!?」


 ムサシさんがいないことに気づいた。

 ヴォークさんはかなり上空にいたから転移に巻き込まれていないと思うけど、大丈夫かな。


「流石はムサシだ。咄嗟に気づいて対処したな」



 【五輪の書】をマスターしたムサシさんは無敵で、見えないものや力すらも容易に捉えることができるそうだから、即座に刀で斬って身を守ったらしい。

 ムサシさんはガイアス大陸のいずこかにいる事だけは分かったけど、ここがどこか分からない以上下手なことはできない。


(ボクに転移は効かないけど、せっかくだから敢えて受けたよ。

 魔族が転移を使ったことには少し驚いたし面白かった。

 人にはまだ全然扱えていない転移魔術を精密に隠した上で操るとは。

 いやあ、これだから人は面白くて楽しいから好きで仕方ない)

 



「久しいなアケノカナたちよ」


 忘れることも聞き間違えもしない。

 その声は異世界(この世界)で私が一二に印象になった人で、全身から溢れている覇気は前とは比べものにならないほどに強くなっていたけど、見間違えるはずもない。


大魔王(ベリアル)!」

「まさかアイツが張った結界を破るとはな。そうでなきゃ面白くない」


「久しぶりだなベリアル。随分大きくなってたくましくなったな」

「お前もなパーシヴァル。数年以前より楽しそうだな」


 パーシヴァルさんがベリアルと知り合いだったことに私たちは驚いた。

 魔族であるパーシヴァルさんにとってガイアス大陸は故郷。小さい時からガイアス大陸に飽き飽きしてたパーシヴァルさんは外の世界に憧れを抱いていて一人でガイアス大陸を飛び出したそうだ。

 この事はガイアス大陸の移動中にパーシヴァルさんが話したもの。


「話は聞いたぜ、大魔王になって弓の神器を手に入れたんだってな」

「オレは全ての魔族を統べる者と君臨してこの力も我がものにした。コレは持ち主を選ぶようだが、例えオレを拒絶してもオレのものにするまでだ」


 そう言ってベリアルは右手に弓の神器を出現させた。

 アニメのワンシーンみたいにカッコよく言って出した。


「それが噂に聞く神器か。綺麗でものすごい力を感じるな」


 神器はおとぎ話で語られているから知らない人はあまりいない、だから知っていてもおかしくはない。



「世界はどうだった、パーシヴァル」

「楽しいぜ。思えば色々ありもしたが、今となれば色々楽しくて輝かしい思い出だ」



 パーシヴァルさんは旅の出来事を語り出していく。

 初めて登りきった山に山頂で見た絶景。初めて見る世界と景色に初めて遭遇した魔物やもの。

 初めて食べた美味しいものに苦しかった事や辛かった事。

 

 パーシヴァルさんはムサシさんに勝負を申し込んで勝ったらしい。

 剣を持って戦ったのはほんの数回なのにムサシさんに勝てたのはパーシヴァルさんが戦闘(たたかい)の天才にずば抜けていたかららしい。


 あまり剣を持った事がないのにムサシさんに勝ったこと自体に私たちは驚かずにいられなかった。

 ゲームで例えると低レベルで上レベルの相手に勝つようなものだから。


「ソイツが戦闘の天才なのは本当だ。子供の時の話だが、オレがパーシヴァルと幾度と闘って勝てたのはほんのちょっとしかできなかった」


 パーシヴァルさんが戦闘の天才なのはベリアル公認らしい。

 

「お前がアケノカナと一緒に来ていたとは思ってもいなかったぞ」

「アナたちと取引を交わしてな。オレはただ、アナとの取引を果たしただけだ」

「なら、お前がここにいる理由はもうなくなったんじゃないか」

「ない。と言いたいところだが、事情が変わった。オレは改めてアナの味方になってお前らと戦う事にした。お前らにオレ個人の(・・・・・)用事ができたからな!」

「パーシヴァルさん!」


「フフフフハハハハハ! よく言ったパーシヴァル! これで心置きなくお前らと全力で戦うことができる!

 それと、お前の用事とは何か、聞いてもいいか」

「オレ達が勝った場合に実現するからな。それはこの勝負し次第だ。

 言わなくてもいいが、知りたいからってわざと負けるんじゃねえぞ」

「安心しろ。事情はどうあれ、勝負に手を抜く気はさらさらない。お前こそ、全力でこいよ」


 吹っ切れたベリアルの全身から火炎のように燃え上がる紅蓮のオーラが膨れ上がっている。

 以前と戦ったときとは比べものにならない程にベリアルが強くなっていると改めて実感した。


「アナ、エレン、ジャンル! ベリアルはオレが相手をするから、お前らはムサシとヴォークと合流して他の魔族に備えな」

「パーシヴァルさん。 悪いけど、私もここに残ります。

 ベリアルは私と戦いたがっていまいたし、私もベリアルに用事があるので。」


 翡翠のオーラをまとって私はパーシヴァルさんの隣に出た。


 「弓の神器が欲しいのなら直接奪いに来い」とベリアルは言った。その言葉を私は忘れていない。

 私達がガイアス大陸に来た主な目的は、大魔王(ベリアル)から弓の神器を奪い取ること。それ自体に変わりない。

 神器が全て揃わないと【厄災】に対抗できないから。

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