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アークブレイヴ  作者: 暁辰巳
第二章 ファルシオン
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第27話 究極斬刀剣

「風の型。心風刃(しふうじん)!」

「おおっと」


 ムサシの【戦意】が風と同化した斬撃を軽々とかわしたディナダン。

 ディナダンはムサシの攻撃を一方的にかわし続け、ムサシはディナダンへ一方的に攻撃を畳み掛ける攻防戦がただ繰り広げられていた。


 戦いの最中、ムサシはなぜディナダンが自分の剣撃を次々と軽々にかわしているのか理解した。


 ディナダンの全身には全身タイツスーツの魔導機(マギア)が装着されている。

 スーツはディナダンの“生命力”を動力として性能を発揮し。光のように早く、強大な威力をもたらしてにかなりの防御力を兼ね備え持っている。

 ディナダンの魔導機(マギア)の性能を発揮するのに消費される生命力は大量で、“人間”の一生を軽く平らげてしまう程だが、シリウスは皆不老不死に近い(・・・・・・・)為デメリットはないに等しい。


瘴水破(アルカ・スブォ)災波動(・ハラドディ)


 禍々しくて厄介且つ、強力な魔法をディナダンは放った。

 魔導機(マギア)によってディナ自身の増大された魔力に爆大に膨れ上がった魔法の威力は災害級で、山の殆どを破壊し尽くす程。


 

 触れたものを何でも腐敗させる性質上、“物理”攻撃が主な者にとってこの上ない天敵そのもの。いくら何でも斬ってしまうムサシでも、瘴水破(アルカ・スブォ)災波動(・ハラドディ)を一度に全てを斬り尽くすことはできない。






「我は器を担いし影ならば、影より色が溢れて器に交わる。

 万物の波動! 星の熱光! 天上の息吹!」


 ムサシが唱えた直後に青と白いオーラと共に水と氷雪が発して刀に宿り、赤と黄色のオーラと共に火と光。緑と紫のオーラと共に風と雷電がまた一つ、また一つと刀に宿っていった。


「これが、伝説の初代剣聖が編みだした“究極“の斬刀剣!!」

 

 初代剣聖が編みだした究極の斬刀剣について書き記された秘伝書は世に広まったものの、数百年以上経っても誰一人も習得することができなかった。


 ブゲ・ムサシは貴族として生まれついた。幼い頃から毎日剣の稽古を毎日欠かさずに叩き込まれていたムサシは、師であり親である父を僅か数歳で凌駕する程に剣士としての才が抜き出ていた。

 最強の剣士となったムサシは『五輪の書』に挑戦者して究極の斬刀剣を習得した。


究極斬刀剣(ゴリンザントウケン)!!」


 刃から溢れかえる各々の力は完全に一体となっていて、虹色と同等に綺麗なオーラと化している。

 ムサシは究極の斬刀剣を斬りかざして瘴水破(アルカ・スブォ)災波動(・ハラドディ)を完全に斬り壊した。

 



「これが、究極の斬刀剣。想像以上ね。

 しかも、剣そのものが無傷だけじゃなくてかなり強化されている」


 奥の手を完膚なきまで斬り壊したムサシの斬撃に驚きと興奮したディナダンだが、ムサシが持つ剣にすぐに注目して、剣自体にも影響を及ぼしている事を即座に理解した。



 両手剣に近い大きさになった剣は、刀の鋭く斬れ味がばつぐんな刃先に、剣のように左右に刃先が交互に一直線に交わっていて。剣からオーラが変わらず溢れていた。


「流石にあのまま終わりはしないか」

「そりゃあ、私だって腐っても“シリウス”の一員だからね。そう簡単にやられる気はないよ」



 究極の刀剣斬に斬られたら不死身に等しいシリウスでも絶対に助からない。

 瘴水破(アルカ・スブォ)災波動(・ハラドディ)を突破される事を想定していたディナダンは空中へすぐに避難していた為無傷でいた。



「降参するなら命までは斬りはしない」

「んじゃー降伏するね。だって痛いのは嫌だし、君とは全力で戦ったとしても勝てないし」

「随分と虫がいいが私の言葉に二言はない。だがシャンバラに危害を加えた報いだけは覚悟しておけ」

「もしかしたら今ここで貴方に殺された方がマシかもしれないけど。私だって覚悟を決めている以上、受けて立つよ」



 両腕を上げて即座に降参したディナダン。

 忠告を言った後、ムサシはディナダンに一つ質問した。


「貴殿は最初から負ける気で(・・・・・・・・・・)ここへ来た(・・・・・)な」

「その通りよ。よく分かったね」

「貴殿は私やシャンバラの人たちに殺意をほんの少々も向けてないどころか、身体から出る覇気も見かけ倒しだったからな」


 まずまずと少し関心したディナダンは「なるほど」と一言出た。

 

「私はシリウスを抜け出す機会をずっと待っていたの。

 シリウスになったことで私が望んでいたものや日々が手に入って大変捨てがたいけど。今の私が相当危険な立(・・・・・・・・・)場にいる(・・・・)と分かっちゃったから」


「それはどういう.....」


「簡単なことさ。シリウスは全員金の卵の中の金の卵。...いや、卵から孵化して境地へ育った逸材だから、裏で意図引いてる奴にとっての大変貴重な実験動物そのものだから。

 裏切ろうとすればすぐに確保されて地獄の検体実験の毎日を送られると決まっているからね」


 ムサシとディナダンの元に向かってくる一人の足音。声の口調は女性だがただ者ではなく、人でも魔族でもない別格の存在。


「初めまして。ピーリアの『クィーン』、ジャンルだよ」


 右手で二人にあいさつをしたジャンル。自分たちを前に微笑んでいるが、その微笑みの裏腹に何かがあることを確信して警戒しているムサシとディナダン。


「だい....いや、その姿でその力。超悪魔」

「博識だね。一眼見ただけでボクの正体を看破するなんて。そういうのボクは好きだよ」


 水を差すが如く、ムサシは申し出た。


「貴殿がアナに潜んでいた本人とみて間違いないな」

「よく分かったね。ボクとしてはバレないよううまくしていたんだけど」

「五つ全ての型を攻略した私に死角はない」


 今すぐに戦いたい好奇心を抑えるジャンル。

 ジャンルが明野佳奈(アナ)にお礼返しに魂につけた刻印。

 「アナに助けを呼ばれたときいつどこでもすぐに駆けつけて対処する」約束は、ジャンルの誠実な思いであるものの。

 ジャンルはアナのすぐそばに居て、何をしていたかを知ることができる裏返し(・・・)でもある。


 悪魔は誰しも例外なく「一度結んだ契約や約束は最後まで必ず守り通す」が、それとは裏腹に契約や約束の本質を利用した詐欺紛いを平然とやってのけるのが“悪魔″という存在そのもの。


「単刀直入に言うと、君の身柄をボクが預かりに来たんだ。君には色々と聞きたいことややって欲しいことが沢山あるからね。

 勿論、君の身の安全と生活は保証するよ」


「悪魔の言う事を信用することはできない」

「君の言う通りボクが″悪魔″である以上疑うのは正しい。

 この用件はボク自身のものじゃないし、ボクはその代理人すぎない。

 選択権は君の自由だからボクはそれをただ執行するだけだ」


「断った場合は、どうなるの?」


「ボクは黙って帰るだけだ。どうもこうもない」


「……分かった。怖いけど、ここはアンタの要件を飲むは」

「決まったね」


 ジャンルという悪魔が言ったことに嘘も裏も感じなかったし、無さそうだけど、ここはあえて彼女の言葉に乗ろう。


 私に残された道は二つ。「ジャンルについて行くか」「裏切者として逃亡生活を送るか」。

 逃亡生活を送るとなれば教団が完全に壊滅するまで果てしなく長い時間がかかる以上、私自身がその時間に耐えれそうにないから。

【五輪の書】初代剣聖が編みだした剣技を細かくまで記録した秘伝の中の秘伝書。

 地水火風空。『五つの型』の剣技をそれぞれ細くまで記されていて誰でも習得することは可能。


究極斬刀剣は“地水火風空”の全てをマスターした者にのみ習得することが可能な究極の斬撃であり、その効果は膨大。

 森羅万象裂き貫き断斬りする究極の斬劇。


(くう)は器を見据え、器は空を担う。万物を、星を、天を。あまねく現世(うつしよ)全てを器によりて全てを断斬りする究極の【矛】。

 刀のように鋭く斬り、剣のように真っ直ぐな芯を兼ね備えた無敵で究極の刀剣。

 心より器を持って海を、星を、天を穿したとき、究極へ至らん」


地の型=身体

水の型=魔力

火の型=魂

風の型=感情

空=全てを削いで残った自分自身


 って感じでそれぞれの型のテーマが終盤に試練となります。

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