第22話 取引の内容
パーシヴァルさんの依頼はシャンバラに住む住人たちと協力してルガリア教団と戦ってほしいという内容だった。教団の最上位であるシリウスが攻めて来るそうで、ムサシさんが全力で戦って自分に匹敵する程の強者を探していたのもそれが理由だった。
シャンバラは各々の種族が隠れ住んでいる場所で、シャンバラへ入るには厳密に隠された仕掛けを通して入る必要があるらしい。
仕掛けは炎紅竜ヴォークが住むヴォーク山の山間にある。
「ヴォークってどれくらい強いの?」
「少なくとも本気のオレと互角に渡り合える程に強い」
竜族は魔族最強の種族であるみたいで、人の身体に竜の特徴をもった竜人ではなく、意思と知恵を持ったドラゴンが竜族である。
ヴォークは竜族の頂点に君臨するドラゴンである為、毎日ヴォークの元に訪れる挑戦者たちが後を立たないらしく。
ヴォークは“強者″との戦いを第一としているみたいで、たとえ敵わなくても自分に挑みに来る者は誰であれ歓迎する程の挑戦者好きらしい。
ヴォークに勝った挑戦者は一人もいない。
パーシヴァルさんを一眼見ただけでかなりの実力者だと見抜いたヴォークに戦いを挑まれたみたいで、激闘の末パーシヴァルさんが勝ったらしい。
「奴は“強者″だけにしか目がない奴だがシャンバラにいる奴らをそれとは別に気に入っていてな。だからこの山にシャンバラの入り口があるんだ」
お互いがお互いに守り合いながら強敵に立ち向かっていく勇姿にヴォークは惚れたそうで、仕掛けがヴォーク山にあるのは匿うため。ヴォークの縄張りなら手が出しづらい上に、近づこうとはしなくなるから。
シャンバラに住む人達は皆ヴォークにただ守られてばかりでいる気は全然ないそうで、戦える者は毎日厳しい鍛錬に励み、戦えない者は生活作業に勤しんでいるみたいで、全員が協力し合って生活しているらしい。
強くなる為時よりヴォークに相手になる程、シャンバラの人達はいつだってまじめで本気だそうだ。
「ここから先が奴の縄張りだ。運が良ければ問題なく辿りつけるが、奴と出くわした時のことを想定して覚悟していてくれ」
パーシヴァルさんの忠告に私達はみな覚悟を決めて進んだ。
ヴォークは一眼見ただけで『どれ程の力を秘めているのか』、『かなりの実力者だと』を即見抜いてしまう上に、分かった途端からものすごく熱くなって戦いたがる。
パーシヴァルさん曰く、一度熱くなれば燃え下がるまでめっちゃ時間がかかるらしい。
私達は皆力を極力抑えて進んでいく。ヴォークは山頂にいることが殆どで、空を飛んでいたとしても森が盾となって私たちの姿を隠してくれるけど、私たちは気を抜かないまま進んでいく。
「懐かしい気配がすると思えばパーシヴァルにムサシじゃねえか! ここに来たってことは、アイツらがいる所に用があるのか?」
道中に襲い掛かって来る魔物を倒しながら進んでいたら、私たちの目の前に巨大な赤竜が言葉を発して上空から現れた。
ファンタジーとかでよく扱われたりしている赤竜と瓜二つだけど、眼の色は金色ではなくエメラルドグリーンで虹彩と瞳孔があった。
「久しぶりです、ヴォーク殿」
「まあな。よくオレ達がいることが分かったな」
「お前らがいくら力と気配を抑えていようが、風から通ずるものは防ぎようがないだろう」
たまにアニメとかで「風が教えてくれた」とあるように、ヴォークは私たちの存在を風を介して感知したらしい。
「お前の後ろにいる奴らは何者なんだパーシヴァル。見たところ全員強いのは間違いないがどういう理由でそいつらをあそこへ案内する気なんだ?」
ヴォークの声に警戒はない、たどの純粋な質問だった。
「これから起こるであろうことに備えてムサシが見つけてくれた仲間たちだ。こいつら、アナにエレンとアルトスは強いぞ」
「面白い俄然と興味が湧いた。お前らがどんだけ強いかオレに見せてくれ!」




