第21話 取引
アルトスは金貨100枚は手に入れてアナたちの元へ帰って来た直後にアナたちを町から少し離れたところにボソッと建っている家に案内した。ヤイバことムサシに頼まれたから。
ヤイバと偽名を使ってああいう事をしてたのは自分に協力してくれる強い人を探すためであったらしく、剣を交えたことでムサシはアルトスの事をあらかた把握し、アルトスの仲間であるアナ達にも声をかけてほしいと頼まれたからだ。
ムサシが金貨100枚をかけてまでこの勝負を開いているには何か裏があるとファルシオンとルガリア、アルトスは感づいていた。
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床で足を両足を組んで両腕を組んで待っていた筋骨隆々の体格した男性に、正座をして両目を閉じたままじっとしている男がいた。
正座をしている人がムサシさんで、足を組んでいる人がパーシヴァルさん。
パーシヴァルさんは青い髪に赤い眼をした大人の男性で豪放磊落な性格をしている。
パーシヴァルさんは魔族にして世界中で一番有名の冒険者で全冒険者たちの憧れの憧れにして、世界中を冒険している『冒究者』の異名を持っている。
自分が魔族である事を自らばらしたそうで、魔族へ対する嫌悪がすごいこの世界でパーシヴァルさんを恐れて非難する人は全然いないほど、パーシヴァルさんの人望がすごい。
アウルやドラゴニス、ウインドでパーシヴァルさんについて語り合っている冒険者もいれば、パーシヴァルさんのような冒険者になりたいという子供の声もちらほらあった。
「なるほど。お前さんらはどうしてもあの大陸へ行きたいのか」
「はい。どうしても行かなきゃいけなくなってしまって」
パーシヴァルさんにガイアス大陸へ行くための事情を話した。取引をする上で「何故ガイアス大陸へ行きたいのか」それを話すのが筋だから。
大魔王の元まで行って今度こそ弓の神器を取り戻す。行く手を阻む魔王と魔族たちを退けて。
「お前らの意思にケチ付ける訳じゃねえが、あそこがどんなところか、分かるか」
「詳しくまでは知りませんけどあらかたは」
ガイアス大陸はこの世界で一番挌別な地脈地点である「地脈融点」だから、凶暴で強力な魔物しか生息していない上に、魔力密度もかなり濃いからほんの少しのだけ滞在しただけでも命の危機に関わってしまう。
おまけに魔族たちはその地で長い間生活してきたからガイアス大陸の事をよく知り尽くしているから無知な私達からしたら余りにも部が悪い。
大魔王はともかく、少なくとも魔王の何人かはあれやこれと手を使って私達へ容赦なく襲い掛かってくるだろう。
「お前たちは確かに皆一環として強いが、魔王はともかくアイツに届くのは無理に等しいだろうさ。 それでもその決心に変わりはないか」
パーシヴァルさんの声と顔には気迫がこもっていた。
真剣な問いだ。優しくて笑顔でいて誰とでも仲良くなれるパーシヴァルさんが嘘かと思いたいほどに冗談抜きにわたしたちに改めて問っているんだ。
私とエレンさんはビクッとなったけど、クールで物静かなアルトスさんやムサシさんまでパーシヴァルさんの気迫に少しばかりドキッとしていた。
「確かにアンタの言う通り、今のオレたちでは自殺行為なのは変わりないし、少なくともオレはその指摘を否定はしない」
「…ほう。じゃあどうするんだ?」
「五人の魔王と大魔王、そして魔族に魔物達を相手するとなれば、悔しいがオレ達だけでは心苦しい。
あと最低でも二人は仲間が欲しくて、今はガイアス大陸へ行く方法を探しながら仲間を探しています」
本来なら″三人″と突っ込むところだろうけど、パーシヴァルさんは口に出さずにただうなずいた。
戦ってくれたお礼にとジャンルさんが私の魂に刻んだ刻印。それがある限り私がいつでもジャンルさんを呼べば必ず助けてくれるし、強敵との戦いを楽しみとしているジャンルさんなら喜んで協力してくれると思う。
「んで、その二人にオレとムサシに入って欲しいと言いたいのか?」
「いいや違う」
「ほう?」
パーシヴァルさんもムサシさんも中々の強者であることは間違いない。できれば仲間になってほしいけど、今はパーシヴァルさんの頼みを引き入れるか否かの話し合いの最中。こちらの願望を言って無理やり説得することはできない。
「気長に探すつもりだ、と言いたいところだが、こちらとて時間があとどれくらいあるか分からないからそうは言ってられない。
パーシヴァルたちがガイアス大陸への経路を確保して次第、オレ達はさらに力を付けて作戦を練るに練って準備を整えてからガイアス大陸で待ち受ける魔族たちとの戦いに絶対に勝つつもりだ」
厄災の事は話していない。今はガイアス大陸のことについて話しているから全く関係ないことだし、例え話したとしても他者からすれば″噓っぱち″と切り捨てられて信じないから。
厄災があとどれくらいで動き出すのか分からない以上あまり時間はかけていられない。
「お前らの意思は見届けた」
「……」
「お前らの事情はともかく、取引は成立だ」
よっしゃー! っと手をグーにして叫んだ私でした




