第20話 自由行動
各自自由行動となって、現在私はエレンさんと一緒にオドをゆっくり歩いて観光している。こうしてゆっくりと自由に町を観光する機会は全然なかったことに気が付いたから、悔いなく思いっきり観光するつもりだ。
アルトスさんとは別行動となっていて、何でも『気になるところを見つけたから先にそこへ行きたいんだ』と言ってすぐにその場所へ向かったんだ。
「思ってた以上に徹底知るねこの町は」
「そりゃあこの町はファルシオン島でもっとも有名と言っても過言ではない「温泉街」だからな。温泉だけに力を注ぎすぎず、温泉に入る前や入り終わった後のことも考えた街並みになっているんだ」
オドは温泉施設に飲食店だけでなく、本屋や劇場などがあって、楽しむことに事欠かない。小説だけでなく、イラストに漫画などもあるから、面白さや楽しみを求め続ける多くの人々でにぎわっている。 この世界において漫画は「本画」と呼ばれているみたいで、本一冊の分厚さにキャラと台詞、そして背景がぎっしり積み込まれていた。表紙はカラーで、1ページ1ページが漫画と同じくモノクロで表現されているから大体漫画と同じだけど、本画はどちらかというと絵本に近い。
小説は文章をそのままコピペして量産できるからともかく、“絵″そのものをコピぺして大量に量産するとなると絶対に不可能だけど、本画専用の魔動機があるそうだから問題ないらしい。
魔動機はゴレス神聖帝国が厳しく制限しているから簡単に魔動機を盗み得ることも扱うことも出来ないけど、世界中で本画の人気が高まったことで印刷用の魔動機を扱うことを許したらしい。
商売ギルドであるアーチルドは魔動機を使って商売しようと必死こいて何年以上も幾度ゴレス神聖帝国と交渉を続けているそうだけど、今だに進展していないらしい。
魔動機を使えばボロ儲けができる上にこの世界の文明がかなり上がるから、ゴレス神聖帝国が意地でも魔動機をできるだけ売り出したくないのは分からなくもない。
「これ一つください」
「まいどあり」
手に取って面白そうと心からそう思える本画を一冊買った。この世界の作家さんが考えて描いた物語がどんなものか、後でじっくり見せてもらおうじゃない。
その後もエレンさんと一緒にオドを歩き回って思いっきり観光しつつ、ガイアス大陸へ行く手がかり(一応)を探した。
本画に関しては「ありえるかもしれなかった漫画の一つ可能性」って感じで作者がふっと思い浮かんだものを設定しました。




