第16話 神殿に神器と
火山の奥にたどり着くと神殿の入り口である扉があった。
「「!」」
私が扉に手をかざすと扉が自動で開いた。
扉が開くと、その先に絶景が広がっていた。
上から下へ流れ落ちるマグマに、マグマの海の上に立つ孤島。
孤島に神殿が聳え建っていて、
「これが神殿」
「あったけえ....。この感じ、シロウがいる世界とどこか似ている」
シロウさんと会ったことは既に話しているから問題ない。
神殿の間は気持ちよくて快適な暖かさに満ち溢れていて、マグマの海がすぐそばにあるというのに全然暑くない。
「よくここまでたどり着いた」
私達が神殿に足を踏み入れると、赤く燃え盛る火炎をまとって死神の容姿をした人が私達の目の前に突如として現れた。
一声聞いた瞬間、僅かながら恐怖を感じた。
本能的恐怖だ。自分自身の本能が危険だと警鐘している。
『久しぶりだなフェルバス、息災だったか』
「我に何問題はありません、我が主」
ファルシオンとルガリアの再開が済んで、フェルバスさんは私たちを神殿の奥へ案内した。
神殿はできたての新品のように綺麗すぎて古びた箇所が一切見当たらない。まるで、時間が止まっているから腐敗していないのだろうか。
神殿の中心にそれはあった。
赤く輝く弓が、台座に突き刺さっていたんだ。
「我が主の身とお能力を宿した弓の神器。汝らがこれを欲するなら、恐れず手に取るといい。
さすれば万象は汝らを指し示しすだろう」
フェルバスが何を言っているのかさっぱり分からないけど、言いたい事だけははっきり分かる。
神器が欲しいなら恐れず神器に触れろ、そうすれば弓の神器が手に入ると。
口に出さないけど、フェルバスさんの喋り方を聞いているとあるゲームに出て来る最強の暗殺者が重なって見えてしまうし、思ってしまう。
私は弓の神器に手に触れようとすると……。
「ーーえっ!?」
弓の神器は横からサラッと通り抜けた人物に奪われてしまった。
私と同じ黒い髪をした紅い眼の男。
第一印象としてはとにかくヤバくて勝てないしか出てこなかった。
男から溢れんばかりの覇気に威圧が、どれだけ強くてやばいかを現していた。
私達がこれまで戦ってきた者たちとは比べものにならない程に、男は強大だ。
「これが噂に聞く神器か……なるほど、確かに神器と呼ばれることだけはあるな。凄い力を感じる」
男の眼と髪が赤一色に染まって全身から真紅のオーラが溢れ出す。
それは神器自身が男を所有者を認めた事の証である。
神器が男を認めた事にフェルバスとアルトス以外の私たちは驚くしかなかった。
「何者だお前は」
アルトスさんがそう言った。
「オレの事か? オレの名はベリアル。 ガイアス大陸のあまたの魔族たちを統べる“大魔王″だ」
「だ、大魔王ですって!? 普通そこは刺客を送ったりするんじゃ...」
「そうしてもよかったんだが、勇者に究極生命体のことを知った以上オレが直々に出向くことにした。
お前らは我ら魔族の脅威になりかねないからな」
大魔王の手先である魔王があの時に起こった騒動に紛れて偵察されていたとテラフィスさんから忠告されたから知っていたけど、まさか大魔王が直接赴いて来るとは思ってもいなかった。
私たちの予想だと魔王が一人か二人、もしくは三人が派遣されると思って(一応)警戒していたけど、まさか大魔王本人が来襲するとは。
しかも弓の神器が大魔王を認めたことも想定外過ぎて、私たちの予想を何もかも斜め上を行き過ぎていってる。
「さて、この力とお前らがどんな奴か。さっそく試させてもらうぞ!」
大魔王が私たちに向かって弓を構えようとした瞬間、すぐさま戦闘態勢に入ったアルトスさんが大魔王に向かって斬りかかったけど、大魔王は弓の神器でアルトスさんの剣撃を受け止めた。
神速の如く速すぎるアルトスさんの動きを初見で見切るあたり、流石は大魔王だ。
「ベリアル、まずは私が相手になってもらうぞ」
「よかろう。お前が持つ全てをこのオレにぶつけるがいい」
時は遡り、ガイアス大陸に帰還したヴラッドはベリアルに偵察したことの全てをベリアルに話した。
「勇者にアルトスという究極生命体、かご苦労だったヴラッド」
「して、どうしますか」
少し考えてベリアルはすぐに行動へ移した。
「すこしここを離れる。勇者と究極生命体がどんな奴か、このオレが直々に見極めてやる」




