光と闇
「悪魔であるお前の事だ、ただ″お礼に″を建前にアナに借りを返すのではないのだろう」
「流石はギラ、ボクの事をよく理解しているね」
「お前の面倒ごとに何回突き合わされたからな、嫌でもお前の事を理解する」
嫌味みたいにギラはジャンルにそう言ったが、ジャンルは開き直るどころかギラが言ったことを真に受けながら楽しんだ。
普通ならドMだと思って引くと思うが、ジャンルは普通ではない悪魔である為、あらゆることを楽しむ習性をしている。
ギラもそのことを分かったうえでジャンルにそう言ったんだ。例えそれでジャンルにもてあそばれようと、ジャンルが起こすあらゆる事に臆せず、まっすぐ真剣に向き合う。それがギラ・ランド・ドラゴニアの人柄だから。
「それでさあギラ、この瓶の中に入っているものについてだけど」
「丁度そのことでお前に聞こうとしていた」
ギラとジャンルはアルビンが教団を利用して企んでいることについて話し合う。この世界で聖族のことを一番よく理解している二人だからこそ、真剣になっているんだ。
戦闘と強者以外のことに全く興味がなくてどうでもいいジャンルが、本来なら退屈でめんどくさい″話し″にマジになる程、重要な事だということだ。
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ゴレス神聖帝国、二ハレーション宮殿。
ゴレス神聖帝国のシンボルともいえる建物にして、統率者である″神帝″が住まう所でもある。
「レッド卿とカラドルグ卿が亡くなりましたか」
「ああ」
玉座の間にて、瑠璃色に輝く杖を持った男とアルビンが会話していた。
杖を持った人物はカール・ランディグ・ゴレスであり、彼こそが神帝の二つ名を持つ者である。
″神帝″は神器に認められたカール自身に付けられた新たな異名である。
ゴレス家はかつてルガリア大陸を支配していた魔王の首を討ち取った勇者の家系を意味する名であり、神器に認められたカール自身は人々にとって″神″といっても過言ではない為そう名付けられた。
カール自身は70以上の身ではあるが肉体は若さに満ち溢れた20代であり、教団の力によって若いままでいるんだ。
「犠牲になると分かってはいるものの、実際に亡くなると悲しく辛いものですね」
「カラドルグを失ったのは少し痛いが仕方なかった事だ。
カラドルグが生きていればこの国の“全て”に気づいて裏切るからな」
「だからカラドルグに死に場所を与えた」
「真相を知らずに戦死したんだ、カラドルグにとっては名誉であり光栄だろう」
カラドルグの異名である『正剣』は正義の剣を意味するものであり、カール神帝から授けられた勲章である。
上司であり師でもあるランスソッドと、君主であるカール神帝に、
カラドルグを慕う民と部下達の信頼を背負うカラドルグ自身の覚悟と信念の象徴でもあった。
「それでアルビン、実験と目当てだったものはどうだったのですか?」
「実験結果はまずまずだった。予定の日には完成する。科学者も実験結果を知った瞬間から研究にせいが出たからな」
博士はアルビンと神帝のお墨つきの者である。
実験テーマに過程と結果、被験者の様子や名前、容姿、特徴だけでなく、推測に仮説、憶測と、実験に関するあらゆる事を″全て″を記録しきった上で全て把握してほぼ忘れることがなく、研究に人生の全てを捧げて取り組んでいるマッドサイエンティストでもある。
「して、目当てだったものは」
「かなりの者たちだった。いずれ対決する時が待ち遠しくなったよ」
「そうですか。それは楽しみですね」
カール自身も嬉しくそう答えた。




