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アークブレイヴ  作者: 暁辰巳
断章
2/78

プロローグ 前半

はじめまして、記念すべき第一作です。


 三日間続いた期末テスト(最難関)がようやく終わった。

 勉強が苦手な私にとって期末テストは天敵そのものだけど、最後までただひたすらに向き合った。


 私は生まれつきのバカだから勉強が大の苦手で、テスト中はただ苦痛でしかなかった。

 けど期末テストは“最後まで″やり通すことはできたし、自分で思うのもなんだけど、テストはまあまあな点数に落ち着いていると胸を張れる。


 今回のテスト期間もお兄ちゃんが付き添って勉強を教えてくれたから。

 お兄ちゃんは時より私に勉強を教えてくれて、いつも自分のことで手がいっぱいで疲れているとしても。

 私に勉強を教えすぎて時よりお父さんに叱られたりすることもあるけど、お兄ちゃんはただひたすらに私に尽くしてくれた。

 


「今日は久しぶりに寄り道でもしようかな」



 テストを頑張ったご褒美に寄り道をすることに決めた。

 期末テストが終わった今日も午前ギリギリに下校しているからかなり時間があって、天気も良いから気分転換としてゆっくり羽を伸ばすとしよう。

 お兄ちゃんとお父さんが帰って来るのは夕方ごろだし、帰ってゆっくりするのもいいけど、この機会を逃すのはあまりにも勿体ないから。

 



ーーーーーーーーーーーー


 寄り道を済ませて家に向かって真っすぐ帰っていた最中(ところ)、トラックのサイレンが突如耳に入った。


 慌てながらも冷静に警音(サイレン)が鳴った方へ振り向くと、道路に小さい子供がいた。

 見た目は4才か5才くらいの子供。

 どういうことは分からないけど、子供が道路に出たからサイレンを鳴らしたんだと分かった。

 

 考えるよりも先に体が動いた私は何とか子供を歩道に突き飛ばせたけど、トラックと衝突した。



 子供を一目見た瞬間「助けなきゃ」と咄嗟にそう思った。

 ここで助けないと後悔するし、見過ごすことができなかった。


 子供を助けた行動ことに後悔はなかったけど、死を前にして、自分の行動に後悔してきた。



 私はお兄ちゃんとお父さん、三人で生活している。

 バイトで学費を稼ぎながら大学に通っているお兄ちゃんに。毎日会社の仕事を頑張っているお父さん。



 我が家は貧乏なため生活が苦しいとそう思った時もあるけど、家族お互いに支え合って生きてきたから、

 どんなことがあっても乗り越えられたし、何があっても平気だった。



 家の家事全般は私が全て受け持っているから。私がいないと、お兄ちゃんとお父さんは―――

 いや、それ以前に。

 私が死んで一番悲しむのはお兄ちゃんとお父さんだ。

 なんでこんな当たり前のことさえ、分かっていなかったんだろう。


 自分のしたこと(愚行)を恥じ、心の底から悔いた。

 けど、今更悔いたり嘆いたところでもう遅い。


 誰しも人生はいつだって一度きり。現実はゲームやアニメ、漫画と違って、都合の良いことはそう簡単に起こらないし、絶対に起きない。



(おにい、ちゃん……。おと…さん。ごめん…なさい)


 

 少しずつ消滅していく意識に消え失せていく命を実感しながら、私は目を閉じた。

 

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