6話 対話
ジャンルさんとの戦いは熾烈を極めた。
魔法や道具はお互い一切使用せず、身体による純粋な物理攻撃のみ。
戦いの余波で玉座の間はすごく荒れはしたけど、近くにいるエレンさんとギラ竜王は無事だ。
エレンさんはギラ竜王の近くにいてギラ竜王が結界を張っているため、安心して勝負に専念できる。
ジャンルさんはギラ竜王から出力を押さえられている。
戦う前にギラ竜王の手から赤い鎖が出てジャンルさんを縛った。
ジャンルさんが戦闘につい浸りすぎると、うっかり
「中々やるね。君の力量に合わせているとはいえ、初心者である君がボクとよく張り合っているんだ。誇りに思うといいよ」
「そりゃどうも。 けど、最後まで油断はしないよ」
「...そうこなくちゃ!」
会話を交終えた後、再び戦闘を再開した。
状況は互角。悪魔であるジャンルは笑みを浮かべたまま戦闘を続行している。あの顔は戦いを楽しんでいる証拠だ。
出力を抑えられているとはいっても、強大な力を秘めていることに変わりない。
最初は私の優勢だったけど、戦っていくにつれてジャンルさんはどんどん“今の戦い方”に慣れていってる。
流石は戦闘狂の大悪魔なだけあって、出力は私と同等に抑えられているとはいっても、身体能力と経験差は私より圧倒的に上でまったく敵わない。
経験と戦闘知識が浅い私は、足元にも及ばない。
「ーーそこっ!」
戦っていくにつれて慣れてしていくのは私も同じ。ジャンルさんに一撃を浴びせた。
ジャンルさんの攻撃に耐えながら観察して、一瞬の隙を発見しては即攻撃するを何回も繰り返しては、何度も何度も試した。
全然関係ないけど、「メ○ル系スライムモンスターを倒すと大量の経験値が入るのか」。その謎を身を持って理解できた。
硬すぎて特殊なため“物理”攻撃でしかダメージが通らない上、全然ダメージが入らない。
発見するだけでも一苦労なうえ、おまけに高確率で即逃げられるから、一体倒すだけでもかなりの苦労を味わうこととなる。
そういう苦行に耐え続けて倒すことができたからこそ、大量の経験値が入るのだなと身を持って実感した。
えー、要するに、何が言いたいのかっていうと。
失敗は成功のもと。そう何度も同じ手は通用しないってこと。
バカな私の長所は、迷ったり悩むことが全然ないこと。
「考えても分からないなら、行動しながら答えを掴み取る」これが私のプレイスタイルだから。
「今の一撃はそれなりに効いたよ。流石に調子に流されすぎた」
手を腹にあててジャンルさんがそう言った。少しは効いているようだ。
同じ手が二度も通じないのは私もジャンルさんも分かっているだろうから、ここからは読み合いと切り札の消耗戦。持てる“全て″を先に出し尽くしてしまった方の負けだ。
持久戦は私の圧倒的に不利だ。勇者の力を維持するためには魔力が必要不可欠だし、勇者でいる間だけでも魔力を消費してしまう。
残った魔力がどれくらいあるか全然分からない。少なくとも私が分かっていることはただ一つ、このギリギリが正念場という確証だけ。
「この土壇場に来て一気に勝負をしかようってことかい? いいよその勝負。あえて乗ってやろうじゃない!」
もの凄い目つきとなったジャンルさんがもの凄い勢いで私に攻撃を仕掛けてくる。
私の右手に込めつつある光魔法を一目見ただけで読み取ったみたい。
魔法を使うには当然魔力を消費する以上、魔法を使うことは即ち、ここで勝負を決めると教えていること。
ジャンルさんが悪魔である以上、八属性で悪魔にもっとも効くのは光属性しかない。
「ブライト!」
溜めた光魔法を地面に向かって解き放った。
溜め続けたのは目くらましに使うためで、本命は別にある。溜め続けた魔法を一気にぶつけて来る、とうまく誤認してくれた。
溢れ出る光の勢いに私もジャンルさんも巻き込まれた。
私は残った魔力を全て出し尽くして、ジャンルさんへ向かって一気に勢いよく激突した。
片腕か両腕に残った力の全てを集結させる手もあったけど、それだとジャンルさんには勝てないと思った。
だから全身に力を集結させて一気に決めた。その方がもっとも強力な一撃を浴びせれるし、これしか方法がなかったと思う。
「さすがにそう出るとは思わなかったよ。これだから勝負というのは面白くて楽しいし、いくらやっても飽きない。 久しぶりにギラ以外といい勝負ができたし、思った以上に楽しめたよ」
強力な一撃を直撃されたのにジャンルさんの声は元気がよくて、まだピンピンしてそうだった。
多分ほぼ高い確率で修正が入ると思う。
ブライト 中級光属性魔法。
初級光魔法の『ライトック』の強化版で、少し強力な光の波動を放って攻撃する。
アナは光、炎、水、風の魔法は中級まで習得しています。




