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アークブレイヴ  作者: 暁辰巳
断章
10/84

第5話 謁見

『 玉座の間にてお前たちを待つ。いつでも来い  ギラ・ランド・ドラゴニア』


 ギラ竜王の手紙はそう書かれていた。

 翌朝宿屋の人から渡されたもので、手紙を渡すよう遣わされた兵士さんから預かっていたらしい。



アポは取れたことだし、私たちのやるべきことは決まった。

 そうと決まればさっそく準備を済ませる。

 私は早く着替えを済ませて、部屋を綺麗にした後、エレンさんがいる部屋へ向かった。


 後で宿屋の人が部屋を綺麗に掃除するのは分かっているけど、自分で掃除をせざるにはいられなかった。

 一度使った部屋は掃除しないと気が済まないし、

 毎日家の掃除をやってきたからか、こういうのはつい本能的となって最後まで取り組んでしまいたくなるから。

 自分でいうのもなんだけど、私はほどほどのきれい好きなだけだから、少なくとも潔癖症にはかかってない。

 片づければそれでいいし、完璧に綺麗な状態にしようとはあまり思っていないから。



 エレンさんがいる部屋に着いた後、私は荷物をまとめてエレンさんが起きるのを待った。

 数日とはいえ久しぶりのベッドだから安静にしておきたい。

 これからギラ竜王と対面する以上、充分に



 エレンさんが起きた後、私はエレンさんの着替えを手伝った。

 寝ぼけて身体をピクリと動かせないエレンさんは、魂が抜かれているような状態だった。


 こういうのはお兄ちゃんとお父さんをよく世話してきたから慣れている。

 

「君たち! これからギラ竜王と会うんだろ! これは私からのちょっとしたサービスだ」


 宿屋の女将さんは私とエレンさんにそう言って、見るからにおいしいハンバーグを私たちの目の前に置いた。

 白い湯気がただよい、肉から出る肉汁を一目にするだけで食欲をそそれる。

 朝からいきなりハンバーグを、しかもめっちゃおいしいものを出されたことに私もエレンさんは驚くしかなかった。


「タダとは言えないが、両法とも半額しておく。 これからこの国の王様と会うんだ。せめてこれを食っておきな」

「ありがとうございます」


 まさか異世界でハンバーグを食べれるとは思ってもいなかった。

 昨晩の宿の食事はそれなりにおいしくて、結構いけた。

 ドラゴニス龍国の食事は、ギラ竜王がアマテラ帝国との交流をきっかけとして、自身の国へ取り入れたらしい。

 ドラゴニア龍国の食事はほとんど一新されて、ドラゴニア龍国の料理はほとんどアマテラ帝国のものに置き換わってしまったみたいだけど、アマテラ帝国の料理に負けまいと、新たな料理開発に取り組んでいる人がいるらしい。


 ハンバーグを一口入れた瞬間、肉の味と肉汁が舌と接触して、とろけるおいしさが私とエレンさんに入れられる。

 周りで食事するお客さんたちは私たちのハンバーグをおいしそう、いいなあと思いながら私とエレンさんを静かに見つめていた。

 周りの視線に気づくことなく、私とエレンさんはハンバーグを堪能していた。


「今回はサービスだ! 今ならこいつらが食っているものを半額にしておく、さあ! 食いたい奴はおるかあ!!」



 何やらうるさくて騒がしい声が聞こえてうるさいけど、その雑音すら揉み消してしまうほど、私は(・・)ハンバーグをゆっくり味わっていた。


----------------------------


「来たか」


 扉が開いて、玉座に座っている男の人が視界に映った。

 一目見ただけで強者。絶対に勝てないと、本能的に悟らせるほどの圧倒的な存在感。


 蛇ににらまれた蛙のごとく、ギラ竜王の存在感(威圧)に手足がふるえる。

 思わずちびってしまいそうだけど、この程度のことで完全にビビっているだけでは、厄災を倒すなんて夢のまた夢。

 私は恐怖に襲われながらもグッと気を持ち、ギラ竜王をまっすぐ見つめた。


「は、初めまして! ギラ竜王! 私は明野佳奈と申します。本日は私と謁見してくれたことを…」

「分かっていることを口に出さなくていい。そもそもお前らを呼んだのはこのオレだ。 この地(ドラゴニス大陸)がオレの庭である以上、お前らが何者でなにをしようとしているのか、全て把握している」


 

 話が早くて助かる。へんにかしこまる必要はなくなったことだし、あとは――


「やあ初めまして。ボクの名前はジャンル。 ギラの親衛隊ピーナツの『クィーン』にして、れっきとした大悪魔だよ」


 突然少女が私たちとギラ竜王の前に姿を現した。


「ジャンル」

「どうせボクが姿を現すんだし、これくらいどおってことないだろ。

 それに君はボクと戦うことになっているからね」

「……どういうこと?」

「君自身に宿っている勇者の力。その力に何かしらの仕掛けが隠されているのは分かっているかい?」

「エレンさんから少しだけ」


 私がそう言った途端、ジャンルという悪魔はエレンさんの方に顔を向けて「へえ~そこを見抜いたんだ」と言った。



「『勇者』と『神器』をボクとギラはあらかた把握しているけど、君が持つ勇者はどこか不思議でね。

 その不思議を確かめたくて、君とボクが闘うことをギラに交渉したんだ。

 ボクが君より遥かに強いからといって君の力量に合わせて闘うし、いたぶったりしないからそこだけは安心して。

 君がボクに負けたとしても、君たちが知りたがっていることを全てちゅんと話すと約束する。

 ボクとギラ、そして君たちの敬意に誓って」

「じゃあ、お手柔らかにお願い!」


 ジャンルさんと闘うことに越したことはない。

 『どんな悪魔でも契約だけは絶対に守り通す』ことだけは知っている。これ(常識)が本当に悪魔に当てはまるかどうか分からないけど、分からないことを考えてても仕方ない。

 この勝負は勝っても負けとても私たちが得することに変わりない。


 今私がすべきことは、ジャンルさんと思いっきり闘うことだ。

悪魔にはと上から下への階級となっています。


小悪魔

悪魔

大悪魔

超悪魔

神魔



大悪魔は大体人間の姿と化す者、化ける者が多いです。 人間の体は色々と使い勝手がよくて便利だから。


悪魔は『成長』の概念があるため長生きした悪魔ほど肉体と精神が強くなります。

また、超悪魔は『時空』の概念を克服するため時空操作が効かなくなります。

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