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第6話-1 作戦会議だよー


3日目になるのか。 

ともかく簡易宿泊所兼休憩所ができたら、あらためて新しい生活が始まった気がするのが不思議だ。 


 翌朝…というのもへんだが、ここではもう、どっちかが目を覚ましたら朝だ。現状、さほど強力な敵はいないようだし、やはり両方の通路が見える方がいいということで、ふたりでちょっとだけ家を移動する。ふたりで…といっても実際はひとりだが、気持ちをあわせたら軽々持ち上がったのが妙に嬉しい。

 ついで、胃から持ってきたなんかのケモノの毛皮なんかを元に布団を作る。エリラはさっそく、マントみたいにそれを身にまとったりして嬉しそうだ。感覚コントロールがされているとはいえ、やっぱりあると寝心地が違う。…気がする。


 例によって胃からかすめてきた食材で食事をしている。あまり大量にとらなければ、敵(…衛兵物と勝手に名付けてみたが)が現れないこともわかってきた。ま、あのあとでっくわしたのはショ ボいのが数匹。食前だったり、食後だったり、まれに食前食後だったりすることもあるが、たいがいはエリラが食事しながら片手で放つ魔法でカタがついていた。


食っちゃ寝しながら、いろんな話をしてすごし、近所を少し探索してみる。といっても一本道だ。ダンジョンと言うにはあまりに単純だ。岩壁や天井、地面の様子は、動いてみた範囲ではあまり変わらない。ともかく、食事の件があるので、あまり胃から遠くに行くわけにはいかない。さしあたってはいろいろ自分たちのカラダで実験しているだけのような毎日。そんな感じで3~4日ほどたっただろうか。

    

  さて、そろそろ次の段階かな(な

「そだねー」(え

  なんかビジョンがあるか?(な

「まねー」(え

  どーするんだ?(な

「どーしよー」(え

   あのよー(な

「ん~?」(え



 こいつは、まじめなんだか基本がぐーたらなのか…。参考にする、参考になると言っては、俺の記憶、つまり蓄積された膨大なオタクのビジョンを見にやってくる。なんか、昔友達が遊びに来ては、家のマンガを読みに来るだけだったり、ひとんちのアニメビデオを見に来るだけだったり(Web配信がない時代はそーゆーこともあったのだわ)人んちのゲーム機をやりに来るとか…っていう友達は少なからずいたけれども、あっちの世界にいたらまちがいなくこいつはそーいうタイプだ。


そもそも、俺らが胃と呼んでいる場所も風変わりだった。生物の常識的な知識では、あるはずの経路…食道と腸への道がはっきりしないのだ。食材は、ある程度溜まると胃液がでて、溶解液はそのまま下に吸収される。食堂の位置はおおよそわかるが、どのタイミングで食材が現れるかわからない。どっからいつ車が飛び出してくるかわからない、という怖いイメージに近いものがある。

  誤思念はっけーん 食堂じゃなくて食道~(え

     はいはい ありがとうございます(な

 

  しかしこの竜、割とコンスタントにくってるよな(な

   うん ほんとに何でも食べるよねー おかげで退屈しないけど(え

      断食なんてされたらたまったもんじゃないな(な

      されてたまるか!(え


 そろそろ料理のことも考えたいが、そうすると、こいつのことだ。ここに永住するとか言い出しかねない

  ひとのことなんだと思ってんのよ(え

     違うか?(な

        …へへへ(え


 まあおおむねそんな感じだろうか。同居人が変にヒステリックになったり、神経質じゃないのは救われる

  よかったねー(え

     う(な

  もっと感謝してもいーよー(え

    ま、ともかく正直に言おう。おおらかな女のコでよかった。それだけは言える(な

  それ、ほめてんのー?(え

       讃辞だ(え

  そー? ありがとーー!^o^ 

    にこッというムードが伝わってきた。


___________________________________


「とゆーわけでー、じゃーそろそろ、脱出作戦、行動開始-!」(え

   なんも聞いてないぞ いきなりだな。なんか計画があるのか?(な

「うん」(え

  マジか(な

「ううん」(え

  どっちだ(な

「どっちでしょー」(え

  あのな (な

「へへー、まーとにかくあっちの奥にいってみよー」(え

  ちょっとまて!(な

「きゃ /コケ なによーいきなり」(え


  えっと、これからいわゆる冒険の旅にでるわけだな?(な

「うん」(え

  冒険というといろいろ準備が必要だろ?(な

「まねー」(え

  準備は?(な

「まあ、いけばなんとかなるってー!」(え

  いや、それは無理だ。無謀だ。浅はかだ。オロカだ。あほ(な

「ひっどーい、そこまでゆー?」(え

  くいもんはどーする?(な

「ま、なんとかなるでしょー」(え

  どこに向かっていくんだ?(な

「さー?」(え

   ……....なんか半分マジっぽいんだよなーこれで...(な

「ん? どーかしたのー?」(え



  作戦会議しましょう(な

「お、いよいよ来たね」(え

  とりあえず、俺から情報をまとめていくっていう方向で(な

「うん。ヨロシク」(え


  まず、とにかくはこの竜の腹のダンジョンをクリアして、外に出る。それが、俺たちの最大の目的だよな(な

「そうだよ」(え

  現在位置は竜の腹の中。胃に歩いて行ける距離の範囲内のことしかわかっていません(な

「うん」(え

  一体広さはどのくらいあるのか。そもそも脱出するには、ケツからでるのか鼻からでるのか腹裂いてでるのか。ここのドラゴンはクジラみたいに、塩みたいなものを吹き上げる習性があってもおかしくない。そのように可能性はいろいろ考えられるが、あまりに情報が少ない状況だ(な


「そのとーりだ! キミ結構考えてるねー。ぶっちゃけ、2人だけじゃたぶん無理。あ、ひとりか」(え

  ひとりなんだよ(な

「けっこーさびしーよね」

     まあ 心もとないというか(な

「そこでだ! 仲間を捜そうと思う!」

   はい~?(な

 食われて残ってたってのが俺たちふたりだけだ! 一体どうしたらそういう発想が生まれるんだ?


「冒険といったらパーティ! キミの世界で馴染みのアレだ!」(え

   …俺の記憶、結構のぞいてんな?(な

「まーまー、ちゃんといつも断ってるじゃん! キミ、以外とBLってのほとんど持ってないよね。女のコばっか」(え

  おいー、そっちものぞいてたのか?(な

「それでね、よーするに探索系の能力とか、戦士や勇者、魔導師はあたしがいるけど、この先進むにしても、戦えるヤツは多いに越したことがないんだよ」(え

  それは、そのとおりだ。だけどよー、それはいーとして、俺たち以外の被害者が、この先どっかにいるなんてありうるのか? 戦士とは限らねーし、ただの足手まといとかになることも..(な

「キミの記憶によれば、ありえないことじゃない!」(え

    記憶って、ありゃお話…(な

「いーい? 人が考えられることは、かならず実現できる。空想ってのが、絶対的にあり得ないことときまっているわけではないんだ!」(え

    …じゃあ、ここで分身とか分け身の術とかやってみ(な

「無理! 世の中にはできることとできないことがある! 脇見の術ならできるよー。あっちがおうちー。こっちがゴミ捨て場ー。とゆーわけであたし達以外の仲間を捜すんだー!」(え

     ムダにコトバたたみかけてスルーしやがったな(な

「だんだん言葉遣いもなれなれしくなってきたねー いい傾向だよ♡」(え

   ったく ぶつぶつ(な


「だ、か、ら、探しにいこ♪」え

    見つかるだろうか...(な

「そんなのわかんないよー だから探すんじゃない ばかかーあんたわー」え

    うわー わかりましたよ おめーにいわれたくねーよまったく..(な

「……ごめんね」(え

   おあ! なんだよ、いきなり近い(な

「へへー、思念体での接近攻撃、おぼえちゃった!」え

   つまんねースキルアップしてんじゃねーよ(な


   ねー、なしちゃーん お.ね.が.い♡(え

      勝てんわ 変なテクまで憶えやがって…(な


  それにしても気が遠くなるような可能性だ。いるかどうかもわからない生存者。しかし…

「目的がある方がいいっしょ?」(え

   あー..。現状では目先の目標があるほうがいいのは確かだ。むやみに歩き回って…って、そうだ、だから準備が必要だって(な

「あ、やっと戻ってきたねー そこかー! そうだ。そーだよねー!」(え

    ふう 疲れる(な

「はい、じゃあ、ひとやすみ♡」(え

   肉体が寄りかかってくる感じがした

「がんばろーね」(え

  この暴虐武人までの天真爛漫ぶり。かなわねーな。だが…これもこいつなりの思いやりなのかもしれない……だまってろよ(な

    わかってる(え)




「なんちゃってー! さー休憩終わり! どーするの?」(え

  はいはい(な


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「えっと、これからいわゆる冒険の旅にでるわけですが」(な

  お、久しぶりの音声出演 きんちょーしてるね 丁寧語になってぅ~(え

「黙っててください。冒険に出発、となると、絶対必要なものは2つ!」(な 

  はーい! おやつ!(え

「遠足じゃねーよ」(な

  ちがうの?(え

「食料とカバン。この2つです。…わかってて言ったのか?」(な

  とーぜん(^o^) (え


  今は、おなかがすいたら胃までいけばすんでいるが(な

「そーだね あれ? またひっこんじゃったね。中の方が落ち着く?」(え

  なんとなく。それはともかく、旅にでたら腹が減る度に戻るんでしょうかえりらさん(な

「めんどーだよねー」 (え

  そーぞーまほーでメシは作れないのか(な

「それがダメなんだよねー。食材ってのは ま、死んでてももともと命があるものじゃん」(え

  ああ(な

「食えるものっていうかー、生体類の創造には素材が必要なんだよー。この体、あたし達の場合は、目玉が素材になったから、何とかここまで来たけれど」(え

  なるほど(な

「命は作れない。命が宿っていた食材もムリ!」(え

    …でも、服はつくれるよな?(な

「うん」(え

   服も基本は植物由来じゃねーのか?(な

「キミは服を食うのか?」(え

  い、いいえ(な

「でしょ。そーゆーこと!」(え

  そーゆーことなんかい(な

「そーゆーことなんだよねー なぜか」(え

  となると、お弁当持ちいったくだな(な

「だよねー おやつは?」(え

  450円まで(な

「やったー! バナナはおやつにはいりますかー?」(え

   なんでんなこと …これもアレか(な

「へへー オタク文化って楽しいねー」(え

   いや、これはまあ、お約束って言うか(な

「で、どーするの?」(え

   うーん …敵って、くえないよな…(な

「えー? あれ食べるのー? やだなー。だいたいあいつら、食べ残しとかの融合体じゃん? 石とかまざってそーだし あんなもん食べたくないよー」(え

  だよな(な 


 となると、食材を運ぶ。コレに尽きるな…。一応ゲート、って発想もなくはないが…カバンって作れます?(な

「作れるよー」(え

  見た目より中は無尽蔵にものがつめこめて、しかも生肉でも野菜でもくさらない! さらに途中でお宝を入れるのにも使えるという…(な

「ナシくん。キミはバカかね?」(え

  はい?(な

「いくら私でもそんなもんがつくれるかどーか考えてみればわかるじゃないかー! これだからまったく異界もんのおたくはー!」(え

   え、えらい言われようだな(な

「…でも…やってみる余地はあるか…も…」(え

   収納スキルがあれば(な

「それはない!」(え

 

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