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第5話-1 なんでこんなところで生きていられるのかって話


▼再生して2日目…ってとこかな


「おはよー あれ? まだ寝てるのかな? おーい、ナシちゃーん?」(え

  ………(な

    ....そうだよね… 適応できてるのが、不思議だよ…(え)


  衣装や髪の毛、手脚の具合を確かめてみるエリラ。 

「うん。いい感じ! もうちょっとブラ締めてもいいかな…」(え


  きゅきゅっとブラがしまり、胸が少し持ち上がる

「ん。おっけー(^o^) ついでにマントっと!」(え

   ばさ

「よし! キマリ! 見てみよっかな♡ よっと!」(え

  パチンと指を鳴らすと、水の姿見が現れた


「やっぱナシくんのぞーふくの力か。すごいなー。ふむ。 マントはやっぱ首まわりで巻くタイプの方がいいかな。あと、やっぱ靴ももーちょっと改良の余地あるよね~。それと色かー。黒が基調っていうのは引き締まってカッコイインだけど、ピンクの髪となるとやっぱりブルー系の方が可愛いかなー」(え

   昨日の戦闘を思い出すエリラ


「うーん…ここにエリつけて~ …うーんやっぱショートブーツに変更しよっと! 

 少しでもカッコ良く、動きやすい方がいいもんね。

 よし! これできまりー! 色はまた今度考えよう」(え



  …う…ん もう起きてたのか(な

「あ、おはよー」(え

  確かに、完全に意識は個別に働いているよな あれ? 何か胸がきつい気がするな

「うっわー、よく気がつくねー 今ちょっと調整したのー」(え

  寄せて上げるってこういう感じか。 なんか落ち着かない..

「見てみてー」(え


青い瞳のピンクの髪が、アレンジしたての衣装でポーズを決め、くるくるっとまわってみせる


  か、…かわいい(な

「ほんとー? わーい♡♡」 (え

  ああ(もうとりつくろう余地もないのに慣れてきた)マントもカッコいいな。好みだ(な

「えへへー」(やった! 趣味があった! なんか嬉しい♡)(え


「でさー、やっぱりなんか武器も作った方がイイと思うんだけど」(え

  やめとけ(な

「えー? なんでよー」(え

  剣の一本でもあるといいとは思う(な

「だったら」(え

  でも、なまじ剣とか武器があると、ムダに闘おうというか、しなくていい戦いに走りたくならないか? おまえ、けっこー好戦的だし..(な

「あ うーん そんなことナイよー って…うーん否定できない…か~」(え

  シロウトが武器もつってのは、かえって危険だ。むしろ気が大きくなる分キケンが増すと思う(な

「なるほどねー」(え

  ふたりでしゃべってるが、実質俺たち、1人しかいないんだし(な

「うーん そーいわれてみると…一理あるなー」(え

  ちょっと見てみるか? 見えるんだろ?(な

    ナイフ、刀、ヤリ、手足に防御、胸にも防御、盾にヨロイ、重装甲などにエスカレートしていくイメージを想起してみる。

「うわ.....確かに。きりがなくなるね~」(え


  とりあえずは、できるだけ戦闘は回避か、遠距離からのおまえの魔法優先がイイと思う(な

「ふむふむ まるで闘いのベテランのような意見だけど…」(え

  がっかりさせるかもしれないが…これが、オタクという文化の英知だ(な

    …と、アニメとかゲームの記憶をいろいろ


「うっひゃー こりゃあ、すごいねー」(え

  だろ というわけで当分は(な

「いまさー、ちらっとHなのあった!」(え

   !(な

「ねーねー、Hなのが」(え

  …忘れろ(な


  それにしても、魔法戦としても現実的には、戦闘も治癒もこいつまかせってことになる。

  ちょっとばかりなさけないよな

「気にしなくていーよ♡」(え


   鏡の中で、コケティッシュにうつむいたエリラが明るく言った 


__________________________________


「だいぶいろいろ慣れてきたところで、そろそろなんでこんなところで生きていられるのかって話をしよーか?」(え


 昨夜の思いが甦る

 <そもそもなぜ息ができるのか なぜこんなに静かなのか。なぜ見えるのか

 それに、考えてみたらここに来て水を一口も飲んでいないのに、のどの渇きがない。

 わからないことだらけだ>


「あたしなりにいろいろ考えてみたんだけどね、そもそも目玉で残った時点で、この空間に生存適応していたということかな ってのがその1」(え

  かな? なんだ(な

「うん だって他に説明がつかないんだもん。キミも気づいたでしょ。水飲んでないの」(え

   ああ(な

「本来生命に、命の維持に一番大切な水分補給なしに、目玉の段階からあたし達は生きている。あたしは、それがこの空間に充満している竜気のせいじゃないかって考えてる」(え

    竜気か(な)

「それいじょーのことはわかんない。とにかくその「適応体」としての目玉を素材にして、二頭身キャラをつくった。最大のポイントは、素材になる「環境に適応済みの、目ン玉っていう《命》の存在だ。あたしの《創造》もキミの《増幅》と《イメージ》が合わさった結果と言っても、『目ン玉として生きていた』という命ゆえに、あれが可能となり、さらにそれを素材として今の等身大の肉体の形成が可能になったわけだ。…わかる?」(え

  な、なんとか.. (な


     あれ…目ン玉二頭身キャラ =それ

         ↑

       コレが素材 


 このコ、17っていってたよな… まるで大学の講義みたいだ…。おれ、高卒だけど…(な


「次にいこう。この等身大、目玉サイズの何倍だと思う?」(え

   えっと…すごく大きいです(な

「その通りだ」(え

   え、それでいいんだ...(な

「うん。今だから言うんだけどね、2人で手をつないでこの形を作るとき、おそらくは、環境に適応済みの目玉が素材だから、いわば「目」サイズから「等身大」への巨大化創造を行っても、た、ぶ、ん、大丈夫だろう…と。実は、ちょっとカケだった」(え

   ちょっとですか…(な

「いや、だいぶ…ものすごい ちょー無茶…かも」(え

     うわあ(な

「ま、けっかおーらい! てことなんだけどさー、あの時もしかしたら、『等身大サイズができたー 完成~! と同時に、胃の中と同じようにカラダが崩壊、或いは精神も発狂ーーーー!』ってことも …もしかしたらあるかもーって、ちょっと心配してたんだよ...」(え

  うああ いや、それは…いやもう、おつかれさまというか…しゃれにならないじゃないか(な

「で、完成と同時に発動するように、保険で2つの魔法をかけたんだ」(え

  え?(な

「身体維持の魔法と、感覚制御魔法。ま、わかりやすく言えば、身体維持の魔法というのは、…目の状態を維持していた状態そのものを、恒常的に…うーん なんっていうかなー」(え

  体を覆うバリヤーみたいなもんですか?(な

「そーじゃない。そーだなー、丸い目玉を格子状にとらてみよう。 

   これが、目玉の存在を維持している力場というか、エネルギーというか、状態だ。

   この格子状のものを、今の体の全身にあてはめたというか、張り巡らしてある」(え

 

  …それ、維持するの大変なんじゃないか?(な)

「そーでもない。一度組み込んでしまえさえすれば、あとは永続的に持続する。もっとも、これほど高度な術式、キミの増幅がなかったら、まず無理だった。…ちょっと休む?」(え

  はあ、ちょっと水をいっぱい(な

「水はないって!」(え

    それにしてもおたく世界じゃいろんな作品見てきたけど術式、魔法の永続使用、重ねがけ…どれもこれもすごいとか不可能とか魔王や神クラスだったんじゃねーかな ま、ごたくなしに何でもアリってのもなくはなかったが…(な


「二つ目の感覚制御魔法というのはわかりやすく言うと、知覚のオートコントロールだね」(え

  は?(な

「試しにはずしてみる?」(え

   はい?(な

「ま、わかりやすくいえば、例えば暑い部屋や毒の沼の中で、空調や毒消しがかかってるのが当たり前の状態でだ、もしそれを止めたらどーなると思う? ってことだ! やってみる?」(え

  すごくイヤな予感しかしない。しかし、なんかやってみたくてうずうずしてるなコイツ。

   …わかった。ちょっとくらいなら(な

「おー! いー度胸だ! ナシくん大好きだよー!! じゃ、いくねー」 (え

  あの、ほんとにちょっとだけ…(な


どぎゃあああああああぐあああああ~ん


  ものすごい轟音、異音、異臭、異様な熱さ、息苦しさ。そして足の裏の触感から服の肌感、乳房の重さにお尻に食い込むパンツの感触、頭皮にかかる髪の毛の重さ ツメ際やツメの丸い感じに1本1本の歯のつけ根…肩の関節に腕の骨がかかり、骨を取り巻く筋肉の繊維が伸び縮みする、感じるはずのない感じやあるはずのない伸縮の音…

  文字通り、膨大な情報量の嵐、渦…


    しゅー(な

  

 だよね~…(え


「..ってかんじなわけ。これが本来のここの空間の環境。実際、ほんとは真っ暗だし。最初からここで生まれたものとか、ここで再生すれば、最初から適応できてるだろうけどね」(え

  …ここで再生すれば? なんか意味深というかまだなんか裏か、奥があるみたいだ(な

「ほー、いーカンしてるねー。でも、それはまだ可能性の話だからまた今度ね。とにかく! これもかけっぱなしの放置魔法だから、あたしに負担はほとんどないから、心配しなくていーからね!」(え


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


  …これほどの力があっても、外に転移とかって無理なんだ(な

「そ。やっぱできることとできないことってあるよ。そーだ! せっかくだから修復実験につきあってくれない?」(え

  修復実験? 治癒じゃなくて?(な

「うん。通常の治癒魔法は、本人や損傷か所の快復力を異常って言う領域くらいまで高めるってのが基本。だから、少々の傷とかなら一瞬でなおっちゃう」(え

  ヒールとかケアルとかポーションとか(な

「いろいろあるみたいだねーオタク界では。今度それも見せてね♡」(え

  ああ、まあ(な

「これからやってもらおーっていうのは、そういった治癒魔法とはちょっと違うんだ 無論、本人の再生・回復能力あってのもの、っていう側面は最終的にはあるんだけど、組織の再生てか、ま、強引に創造しちゃうって言うか…」(え

   キメラとか作れそーなきがするんだが..(な

「うわ!いー勘してるっていうか、そこまで思いつかなかった! そこまでやってみる?」(え

    遠慮します …っってーと、じゃ『そこまで』の前、というのは(な

「これだ〜!」(え

  いつの間にか、右腕だけ手甲と片袖がついている。その一部がすっと伸びると、薄く、しかしものすごいキレそうな刃物になった。


「まー、イザって時用に仕込み武器ふうの工夫をいくつか服に取り込んでみたんだ。敵に抱きつかれたり、飲み込まれたら全身から針がでるよ♡」(え

  うわあ(な

「あくまで護身用だけどね。」(え

    ..で、この…見るからに凶悪だな この刃物(な

「うん よく斬れそうでしょ」(え

    怖いくらいだ。

「これをね、こうするの!」(え

  微妙に、エリラの感情がちょっとこわばるような緊張を帯びた。

 

  痛くしないでね(え

   お、おれのせりふだー!(な


  左手をすっと差し出したと思うと、手首の手前にその刃物が振り下ろされた


   ごと 


 手首の先が落ちた。

 血が噴き出す。うわあ-! と俺は叫んでいた


  痛覚軽減 意識同調 もろもろシンクロ 融合発動....接合するから意識合わせて!

  真剣なエリラの声が心に響く


 ものすごい激痛の中、…そう、痛い 痛いっていう逃げたいい意識が、<接合>ってコトバと<意識合わせて>というコトバに引っ張られるように、冷静さに変わっていく。

 それは…うまくいえないが「痛みに向き合う」という意識だろうか。生まれてはじめて見る自分の腕の断面を見すえた瞬間だった。吐き気や嫌悪という感情が一切無い、ただ深く、ただ静かな不思議な感じ。自分の姿をフカンで、あるいはいろんな角度から同時に見ているように、落ちた手と切断された部分が金色の光を放ち、黄色くひかるヒモでつながれているのがわかる。ないはずの手の位置に、格子状の光の編み目も見える。あれが、さっきの話にあった「枠」だろうか。

その、時間が止まったような中を、まるでスローモーションのようにゆっくりと、落ちていた手の部分がひきよせられてくる。そして、ピタッとあわさった。おきまりのように、すーっと切り口が消えていく。

 こんな衝撃的な状況にもかかわらず、俺の意識の中では、ロボットアニメの飛ばした腕が戻ってくるシーンを思い出していた。


「はいおわり♡ ありがとー! 成功だよ!」(え

  ………… まじ..か(な

  オタクとしては、馴染みがあるというか、むしろ見慣れた映像だったが、まさかリアルにコレを体験することになるとは…。たった今、現実に起こったことなのに、まるでウソのような、現実感がまるでない。しかし…いまさらながら心臓が爆ついている。気づかないうちに汗びっしょりだ。顔からだくだくしたたり落ちている。

  カベに寄りかかるようにして、ずるずると俺は座り込んでいた。というか、その気分に合わせてエリラが動いてくれたというか…。

    はあ、こわかった…(な

「だよねー」(え

あっけらかんとした声が耳に入る。声と裏腹に、精神状態はかなりかしこまってる感じだ。だよねー、という生声と裏腹に、涙ぐんでいるような声が聞こえたような気がした  


「ふー! それにしてもキミが気を失わないでいてくれて助かったよー」(え

  …だったらどうなったんだ(な

「たぶん術は失敗。出血多量でやばかったかもー。ま、キミなら何とかなると思ったから」(え

    …楽天的というか …信頼されてるんだな(な

「こーみえてあたし、人を見る目はあるからー」(え

  そっか(な

 

つっこもうと思ったが…意識の中で感じるあいつが、まだ結構激しく息をついているような感じに俺は気づいた。


       痛覚軽減 意識同調


  あの激痛の中、聞こえた声を思い出す。

  痛みはまかせるっていいながら、こいつ…。それにこれ、失敗したら自分も死んででおかしくなかったんじゃないのか? 命がけで実験するほどのことだったんだろうか…?


「そうだよ。何が起こるかわからないからねー。自分の力とキミの力、限界がわかっていれば選択肢も増えるし、生き残る可能性もあがるんじゃないかな? 目玉で生きてたのを知ったときから、はなから死ぬ気はないけどね」(え

  今までで一番、というか、ここにきてはじめて聞いた気がする「本気」...本音の声..


「でも、ほんっとよかったー! さー、これで首が取れても大丈夫!」(え

  ちょっと待てー(な)

「手が落ちたところでさー、手の代わりに蛇とかゾウの鼻とかにすると別の生き物になるよね!

うまくやれば、背中に切り込み入れて翼を埋め込むことだって可能だよ!」(え


あの、ボクの体ですが、エリラさんの体でもあるんですが、トカゲの尻尾でもつけますか?(な


「うーん、触覚は欲しいかも!」

   …アホ毛のことだな(な


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