第21話-1 11日目 メイの力-1
▼登場人物
ナシ(な :異界もん
竜への生け贄としてこっちの世界から召還され、はかない命を閉じたあと竜の腹の中で再生した。成り行き上エリラの体に入っている状態。竜の肉を掘る力と、仲間の能力を増幅する「増幅」の異能を持つ、ちょっとHな絵師もどき。
エリラ(え :魔導師
17才らしい。蒼い瞳。竜に食われて中で目玉として再生していた。ナシとともに1つの体を作る。あでやかなピンクのゴージャスヘアはナシのデザイン。4大の魔法ほか、けっこー色々つかえる。前向きでキュートな元気娘。異能は創造。
ハチ(は :妖精族
竜の中で再生していた生存者1号。明るく優しくほがらかで、スタイルもいい。ゴージャスな黄色い髪の毛。わりと天然。素直でまっすぐ。格闘技にたけ、異能は力持ち。
ミノ(み :鬼娘
第2の生存者。かわいいメガネっこで、スタイルもいいプチグラマー。おっぱいが自慢。寡黙気味。かなりの切れ者。自称空き巣。特技は指弾、異能はミニマム。縮小と巨大化の魔法を操る。
レンダ(れ :獣人
第3の生存者。蒼いロングヘアーのイケイケおねーさん。美人で、自称学者。どっかポンコツ。鼻がきく。大人の落ち着きとお色気が自慢の身体能力は高く、通常は2刀流。不死だそうだ。
ルルア(る :ゴーレム
4人目。落ち着いた口調、常に冷静。Hをもって全てを癒す…というコンセプトの元に作られた使命に忠実な癒しのセクサロイド。転移や治癒などの能力を持つが、その動力源はぎりぎり15禁という歩く18禁美少女。
メイ(め :驚くほど普通の子女。
5番目に発掘された。赤銅色の肌に黒髪、均整のとれたプロポーション。感覚は鋭いが臆病。芯は強く、常識人で堅いくらいのまじめなひと
翌朝。つまり、11日目の始まりである。
まだ10日? それとももう11日? もう何年も過ごしてきたような気分になる、濃密な毎日って気がする。
昨夜は、さすがに6人となると岩窟荘1つでは狭いので、とりあえず複製した。おいおい別のおうちも作りたいとエリラがぼやいていたが、さしあたりはハチ、ミノ、ルルアと、レンダ、メイ、エリラの2チームに分かれて寝ることに。ハチはメイと一緒に寝たがったが、ミノの監視があるので初日はあきらめた。本当ならミノを縛ってしまえば楽だと思うんだが、じゃれあいはじゃれあいで、ストレスの解消になっていると思う。
「メイは?」(えり
「まだ寝てるよー」(は
「ま、そーだろーねー」(えり
翌日からケロッとしているのもいたが(み
ミノ、誰のこと?(れ
ルルア(み
そおね(れ
レンダも(み
あのねー(れ
ミノもねー(え
考えようによっては、神経が太いというか、大物なのかも(な
なる… そーかもしれないね(え
疲れてるんだよー…きっと(は
「おはようございます みなさん、早いんですね」(め
「おはよー! 眠れたー?」(え
「ええ、ぐっすり。すみません」(め
「鏡気づいた?」(え
(そこそこ髪が跳ねて寝癖がついている)
「え?」(め
「寝床の脇に出しといたよー」(え
「え? あ、気づきませんでした。ありがとうございます」(め
あわてて身だしなみを見に行く。
「失礼しました///」(め
かわいーじゃん 赤くなってる(な
かわいーね 意外とっていうか、なんかすごく素直なんだね (え
でもあなどれない(み
そおね。頼もしいわ(れ
なんか、すてきなひとだよねー(は
魅力的です。見ていて、私が癒やされます。特にしぐさが美しい(る
「あの鏡って、水なんですね。顔も洗ってしまいましたが」(め
「いいカンしてるね~。最近、ある程度なら出しっぱなしにできるようになったんだ」(え
助かるよね~(は
なんか、エリラも少しずつ成長してる気がするわ(れ
持続させることそのものに、ナシが増幅かけてるみたい。考えたものね(み
あれは、持続させるというのは時間系魔法に分類されます。複合魔法です。エリラ自身、そのことに気がついていないように思いますが。…うふ(る
軽い朝食のあと、エリラが話を切り出そうとする前に、メイが話し出した。
「あの、みんなにちょっと見てもらいたいものがあるの」(め
● 万能繭
「なーに? 見てもらいたいものって?」(え
だまって、ふっと口をすぼめると、口の先に細くて白い糸のようなものがくるくると現れた。体の周りを細く、白い糸が舞い始める
それは少しずつ帯のような雲のように広がり、両腕を胸の前で交差し、片ヒザをついたメイの全身をめぐるようにとりまいていく。やがて、俺たちの目の前には白いまゆが現れていた。
「中にいるわ」(れ
第三の目を開けたレンダが言う。
「そりゃいるでしょ」 とエリラはこともなげにいう(え
「なんだ、いるのか」(み
「消えたらすごいのにねー」(は
ほどなく、まゆの一部が溶けて蒸発するように消えると、それが全体に広がるようにして、まゆが消えていく。
「わたくしの特技で、万能繭と言います。あらゆる魔法攻撃や物理攻撃を防ぎます」(め
「え~ そうなのー? だったら先にいってよー みんなで総攻撃したのに」(え
「ひ そ…それはさすがにちょっと…」(め
(鬼や剣使いの獣人なんかに攻撃なんてされてたまるものですか(め
おもしろいこといってる(み
おもしろいわね(れ
「そーなの?」(え
「この特技ゆえに、わたしは領民に代わって竜に身を捧げました」(め
竜の方はまゆがおっこってるとしか思わなかったんじゃないか?(な
「なるほど それが再生の理由かー」(え
「え?」(め
「いやね、ここにいるのみんな、何らかの異能があるんだよ」(え
「誰とでもHしたがるのとか」(み
「ええ?」(め
「殺しても死なないのもいます」(る
「護符を体に埋めちゃってるなんてのも(笑)」(れ
「あ、そっか、レンダ不死だったね。忘れてたよー! もっとキケンな役やって貰っても良かったかも」(え
「いやよ 痛いのは痛いんだもの」(れ
「まゆから出てくるときも入る前と変わらないのですね。コガネムシかガかハエみたいに変身するのかと思って、期待してしまいました ウフ」(る
「ふう さすがにみなさん驚かれませんのね 子どもの頃、ねぬに追われてこの姿になって以来、幼少期は白団子と呼ばれましたし、成人しても雪だるまお嬢とかいろいろ…」(め
…白団子はいいが… ねぬってなんだ?(な
あー、犬とネコが一緒になったよーなヤツで、こっちでは割と一般的なペットだよ。耳や顔は犬っぽいけど、手が器用で身体が柔らかい。レンダも犬っぽいけど、ネヌの血が入ってるんじゃないかな(え
しなやかな動きができるのはそのせい。たぶん(み
あら、よく見てるのね(れ
当然(み
アレ? オオカミって言ってたけどー?(は
ネヌ系ってなかなかいえないよねー(え
いきなりペットっぽいイメージになるな(な
だからイヤなのよ(れ
ふふ(る
ほらー(れ
「他には?」(え
「ほかといいますと?」(め
「たしなんでたこととか特技とか…」(え
「……」(め
「だからまゆにならなくていーから」(え
わざとか?(な
意外と面白いね(え
けっこー緊張してるんじゃない?(れ
「失礼しました…そうですわね…水戯と麒麟乗りと炊事洗濯食事の支度とか」(め
「はあ?」(え
「名家の生まれに慢心しないよう、なんでもできるようにと」(め
「ほー家事百般! それはすごい」(え
「あと、護身術…といっても少しだけですが」(め
「ばんのーだねー」(え
「じゃあ、あとで組み手しない? にこにこ」(は
「はい? じゃあ、あとで…」(め
「いやー、それはやめた方が良いかも…」(え
「そうなんですの?」(め
「ハチは鬼を取り押さえるよ」(え
「へ え …?」(め
「命の保証はしない。やめとけ」(み
「えー そーかなー」(は
「それより、万能繭の性能テストをする方が良いと思います」(る
「そーだねー」(え
あれ、絶対根に持ってるわね(れ
うん(み
「あらゆる魔法攻撃や物理攻撃を防ぐんでしょ? だったら大丈夫だよー」(え
にこにこにこにこ(は
「はあ…あの、旅の冒険者とか、お屋敷の護衛とかの剣や魔法を防げたのは事実ですが…! 何かきます!」(め
「そうね、急に現れたわ! 一体どこから」(れ
「上です! 10体…いえ、もっと多い」(め
何もなかったはずの天井にボコボコ穴が開き、そこから羽の生えたヌリカベふうのヤツや、角の生えた頭に、2本の首を伸ばしたラクダに羽の生えたようなヤツが現れて襲いかかってきていた
「はーーー」(は
のっけに飛び出したのはハチだった。青いオーラをまとった体が宙を舞い、いきなり数体をチリにする。
ミノの指弾、そしてレンダがしゃっと2本の剣を構えて突進する。
「あなたは防御を」(る
「え? る、ルルア、あなたは」(め
「私も大丈夫です」(る
ぶんっとバリヤーをまとい、メイを守る。魔物が数体はじかれて地面に落ちる。
「わ、わかりました」(め
さっきと違い、ヒザを抱えてしゃがむと一瞬でまゆになる。何体かぬりかべや角ラクダがぶつかるがちゃんとはじき返している
「ひ」
「大丈夫みたいだね! よっと!」(え
エリラも敵に向けて手のひらを向けたり、指さしたりする。その先の怪物が次々燃え上がる。
みんな、あたし穴ふさぐ。ミノ、あのサイズにぶっ込んでふさげる? ちょっとコントロール難しくない?(え
やってみる(み
ハチ、レンダ、援護頼む(な
まかせて(は(れ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「おわったよー おつかれさまー」(え
「ふーびっくりしたー」(は
「たいしたことない敵で良かったわね」(れ
「でも、うざい。服がやられた。くやしい」(み
「どうやら、すっかり侵入者というか、排除対象認定されたようですね。うふ」(る
「まいったなー。せっかく大きい穴ふさいでたのにさ。あ、メイ-、おわったよー」(え
ゆっくりまゆが溶ける
「す、すごいんですのね みんな…」(め
「まねー って、見えてたの?」(え
「中から外は見えるので…。驚きました」(め
震えている。なんか新鮮な反応だ(な
「驚いたのはこっちよ。どうして敵が来るのがわかったの?」(れ
「そーだ、予知能力かなんか?」(え
「いえ、その...万が一の時に身を隠せるようにと、索敵術を学んでおりまして」(め
「索敵術? 敵がいるとわかるの?」(え
「え、ええ。おおよその位置とか数は...」(め
「ええ~~~~?まじー? すごいじゃーん!」(え
みんなー、ついにレーダーゲットだよー!(え
おい、身も蓋もないな(な
家事に絶対防御に索敵術?…無敵じゃない(れ
無敵じゃない。守るだけ(み
でも、すっごく心強いよねー、それってー(は
安心できます。レンダの負担も軽くなるのではないでしょうか(る
あら、ありがとうルルア(れ
でも…索敵術ってあんまり聞いたことないなー(え
カンが良いっていうレベルじゃないが…(な
そういえば、最初からわりと察しがいい(み
察知する…もともと感覚が鋭いっていうのはあるでしょうね(れ
認知能力の延長だと思います(る
そういえばハチもレンダも最初からカンはよかったよね(え
「あの…みんな…お話ししてるの?」(め
「わかる?」(え
「ええ…なんとなく」(め
「念話ってゆーんだけどね…やってみる?」(え
「え?」(め
念話補助アクセサリーを身につけると、最初は例によって固まったりパニックしかけたりしながら、程なくコツをつかんだらしい。
すごいわね… ほんとにこんなことが…(め
びっくりすることばっかりだよねー(え
なんか、思念でもハチの元気が伝わってくるわ… 驚いた(め
もともとメイは鋭い方だったからねー。発掘されたときのことも、目がさめてはじめてあたし達を見たときも、なんとなくわかってる感じだったじゃん(え
そうだったわね… でも、はじめてみんなにあったときはびっくりしたわ。まさか獣人や鬼が… そう、確かに人間とは違う気配はわかっていたのに、違和感がなかった..(め
見て驚いてたよねー レンダなんてわざわざ脅かすしー(笑)(え
誰でも驚くわ! 目が3っつの尻尾持ちの人なんて、図鑑や書物でも見たことなかったんですもの(め
まあフツーはそーだろうな(な
そーだねー(笑)(え
…そういえば、あたくしの背中にすわったお尻の気配....まさかとは思うのですが…(め
次回、まさかとは思うのですが…