第20話-5:メイのお着替え
▼登場人物
ナシ(な :異界もん
竜への生け贄としてこっちの世界から召還され、はかない命を閉じたあと竜の腹の中で再生した。成り行き上エリラの体に入っている状態。竜の肉を掘る力と、仲間の能力を増幅する「増幅」の異能を持つ、ちょっとHな絵師もどき。
エリラ(え :魔導師
17才らしい。蒼い瞳。竜に食われて中で目玉として再生していた。ナシとともに1つの体を作る。あでやかなピンクのゴージャスヘアはナシのデザイン。4大の魔法ほか、けっこー色々つかえる。前向きでキュートな元気娘。異能は創造。
ハチ(は :妖精族
竜の中で再生していた生存者1号。明るく優しくほがらかで、スタイルもいい。ゴージャスな黄色い髪の毛。わりと天然。素直でまっすぐ。格闘技にたけ、異能は力持ち。
ミノ(み :鬼娘
第2の生存者。かわいいメガネっこで、スタイルもいいプチグラマー。おっぱいが自慢。寡黙気味。かなりの切れ者。自称空き巣。特技は指弾、異能はミニマム。縮小と巨大化の魔法を操る。
レンダ(れ :獣人
第3の生存者。蒼いロングヘアーのイケイケおねーさん。美人で、自称学者。どっかポンコツ。鼻がきく。大人の落ち着きとお色気が自慢の身体能力は高く、通常は2刀流。不死だそうだ。
ルルア(る :ゴーレム
4人目。落ち着いた口調、常に冷静。Hをもって全てを癒す…というコンセプトの元に作られた使命に忠実な癒しのセクサロイド。転移や治癒などの能力を持つが、その動力源はぎりぎり15禁という歩く18禁美少女。
メイ(め :驚くほど普通の子女。
5番目に発掘された。赤銅色の肌に黒髪、均整のとれたプロポーション。感覚は鋭いが臆病。芯は強く、常識人で堅いくらいのまじめなひと。索敵能力を持つ。異能は物理・魔法攻撃無効の(はずの)万能繭。
▼自己紹介の続き(笑)
獣人、妖精族に鬼、あげくゴーレムですって? あの、エリラってコだけはヒト族に見えるけど…(め
「なんか、いろんな思念が錯綜して…? すみません。えっと、あとおひとりは..」(め
「えっと、じゃあ、いま出すから。驚かないで…っていうのはムリかな」(え
「いま出す」?(め
「てゆーか、会ってみる?」(え
エリラの目が金色に変わる せっかくなので、それに気づくまで待ってやろう
目の色が金色に? 気配も変わった…?(め
「俺はナシ。この体の本当の持ち主だ」(な
「わー、いきなりなにいってんのよー! あたしのよー」(え
「俺のだよ」(な
「ちがーう あたしがつくったんだからあたしのー」(え
「俺のイメージが先だ」(な
「ニワトリと卵はニワトリが先なんだよー」(え
「いや、単細胞生物の卵が先だ」(な
「単細胞はナシくんでしょ? あ、だったらそうか」(え
「しまった。しかしおまえが言うか?」(な
「へへー私の勝ちー!」(え
左右の瞳の色がかわり、声色の違うふたりしゃべる。
「ひ あ、あの…いったい…何が?」(め
「ごめんねー、びっくりするよねー。ナシくん、エリラ、だめだよ~」(は
「いつみても面白い」(み
「こーゆー人たちなの。普段は、ナシくんはあんまり出てこないんだけど」(れ
「し、信じられませんが…。私、突然気が狂ってしまわれたのかと…」(め
「ほう、自分が狂った、とは思わないんだな。なるほど」(み
「すまない。あらためて、俺はナシ。異世界人だ。わけあってエリラの体の中にいる。もう一つの人格だ。よろしく」(な
「ひ…」(め
「とゆーわけで引っ込む」(な
「あ、あの、よろしくお願いします な、ナシ…さま?」(め
瞳の色がエリラの蒼に
「はい、ナシくんでした-」(え
「あの、今のはもしかして腹話術か何かなのでしょうか? 以前、そういう方に石を投げるという芸があると…」(め
アレだ(み
あれね(れ
けっこー誤解してるよー(は
「..いえ、違いますね。失礼いたしました。異世界人? 憑依? ジキルとハイド…あら、なんのことかしら…さっきから私、知らない知識が…」(め
こりゃ無意識にナシのライブラリにアクセスしてるね(え
勘、というより、もう感知能力じゃないかしら(れ
そう思う。でも統御できてない(み
なしくん、いきなりやるんだもん。びっくりしちゃったよ(え
さっきから見てるとこのお嬢さんは驚いたあと、冷静に自分に戻る。だから、大丈夫だと思ったし、先に驚かせた方がいい(な
なるほど…(え
「あ、じゃあ最後になるけど、あらためて。私はエリラ。エリランエステナーゼ・エリダリシウム・シンチタノールランエステナ。まあ、普通じゃない魔導師だよ」(笑)
「コイツは言うたびに本名が違うから、覚えなくていい」(な
「こら! でてくるな てかいわなくていー」(え
「わざとやってるだろ」(な
「あれ? わかる?」(え
「まさかほんとーにほんとーの名前覚えてないとか」(な
「さー、どっちでしょー」(え
「……」(そお…本当に、1つのカラダに、ふたり..いるのね しかも…良いコンビだわ(め
「見てると楽しい。あんまりやらない。たいてい、ナシは中に入って出てこない」(み
「でも、いーひとだよー。ニコニコ」(は
「ちょっと、アレなところはあるけれど、信頼はできるわ」(れ
「確かにアレですが、あれはあれで、面白い人です。」(る
「そお… ごめんなさい。さすがにちょっとどきどきしてしまっているわ でも、もう大丈夫。えりら、ナシさん、…なしくんかしら。よろしくお願いします」(め
「よろしくー!」(え
気持ち、よろしく(な
おお、苦労人(み
苦労人? ああ、驚かさないように出て行かないんだー…(は
「あの、あなたたちはどうしてここに?」(め
「メイと同じ 竜のご飯。でも、中で再生したんだ」(え
「…そお…ですか。あなた方も竜に…。あの、その..再生って、いったい…」(め
「理由は、私たちにもわからない。でも、こういう形で生き残ったから、あたし達はここから出ようと思ってる。なんとしても、ね」(え
「出る? ここから? 一体どうやって?」(め
「わかんない。でも、っていうかー、だからその方法を探して、この中を旅してる。あたし達みたいな人がいないか探しながらね。メイもそのひとりってわけ」(え
「……信じられないわ でもあなたは…あなたたちは それをしているのね…」(め
笑顔を見せる一同。それを見て一瞬はっとし、うつむいて考え込むメイ。シーツを抑える手がぎゅっと握りしめられた。
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● お洋服
「そんなことよりさー、お洋服いらない?」(え
「え?」(め
「正直、ホントは色々聞きたいんだけどさー、いつまでもそのカッコーじゃ悪いし」(え
「あの、お気持ちはありがたいのですが、布とか裁断師とか、…皆さんがお作りになるのですか?」(め
「ううん。あたしのマホー」(え
「ああ、そうですか。魔法で作る服は質が今ひとつ… あの、みなさまの衣装は魔法で?」(め
「そーだよー」(え
「……素晴らしい仕上がりですね。これほどのものが魔法で? 素材感のバリエーションといい、縫製といい…素晴らしいものですね。信じられません」(め
そーなんだ(な
へへー 見直した? まあ、半分はナシくんの力だけどね!(え
仲いいな(み
ほんと。いいなー(は
「では、あの、お言葉に甘えてよろしいのでしょうか?」(め
「うん。あたし、お洋服作るのって言うかー、大好きだから! どんなのがいい?」(え
「あの、どんなものでも?」(め
「いいよー。ただ、動きやすいものの方がいいと思うけど」(え
「みなさん、随分軽装でいらっしゃいますよね」(め
「ああ、みんな、竜の血浴びてて体の防御は…っていうか、その話はまたあとでね。とにかく、着たい服、可愛い服を着ようよってね。あと、もっとふつーにしゃべっていいよー」(え
「え あ…」(め
「メイって、どっかのお嬢様か、責任ある立場だったでしょー。話し方がカタイよ?。もっとリラックスしていーんだよー」(え
「そ、そう言われましても」(め
「エリラ、していーんだよーっていうのはちょっと失礼よ」(れ
「あ、ごめーん まあえっと...もっと気楽にして貰えればって思っただけで」(え
「エリラ、レンダさ…レンダ、ありがとう。じゃあ、そうしてみま…そうするわね」(め
「あ、その方がいい!」(え
「あの、服を仕立てる時のような感じでいいので…いいかしら?」(め
「うん。いいよー」(え
「では…色は白系、この環境なら、シルクより木綿ね。白にほんの少しイエローが入っている方が落ち着くかも。できれば、裏地は目の細かいもので。…て、あの、こんなに細かくていいのかしら?」(め
「かまわないよ(にこ) どんどん言ってー!」(え
「あ…では、…肩から斜めの…オブリークってわかります?」(め
「わかるよ♡ ニコ」(え
おい、なんで俺の世界のファッション用語知ってんだよ(な
だから、感知系の力だと思う ナシのライブラリに無意識にアクセスしてるんだ(え
そか…すごいな(な
「…っなんで私、こんな言葉を…。ん 丈はヒザ丈前後…ああ、ここではもっと動きやすいものでないと。そう、そちらのお嬢さん…えと、ルルアやレンダよりもちょっと長めに…ヒザ上7cmくらい、フレアスカート状の、全体のシルエットはカクテルドレス。ベルトは太めで、渋いブラウン、胸もとはしっかり隠すイメージで…ああ、オブリークよりも肩を出したクロスネック系の方がいいかしら」…(め
ファッションとなると、夢中になるのが女のコらしい。身分や育ちに、コレは関係ないようだ(な
そーとも!(え
「下着は上はD、全体を柔らかくおおって保護する感じのものだけど、できるだけ自然なシルエットを。下は通常清潔な白、でも多少レースがあしらわれていると嬉しいわ。透けている要素のものは予備にあってもいいかも。履き物はサンダル系、そう、あの、ギリシアとか、ローマという国の編み上げタイプがイイと思う。あ…ごめんなさい調子に乗ってつい…(め
「じゃあ、それでいくねー! アクセサリーなんかはまたあとってことで!」(え
ピカ
呆然としながら、服を着た自分をみまわすメイ
「鏡出すねー」(え
鏡に映った姿に一瞬喜び、すごく嬉しそうな笑顔になる。しなやかに、ゆっくり鏡にむかって動いてみる。動きやすさを確かめるように、体をひねったり、屈んだりする動作いちいちがエレガントだ
「エリラ…あつらえたようにピッタリだわ! どうもありがとう!」(め
「動きにくいところとかあったらいって。あと、色とかアレンジとか、気になることがあったらいつでもなおすよー!」(え
「ありがとう」(め
(なんか、胸もとが寂しい感じだわ でも、これ以上ワガママ言えない…。それにしてもなんて見事な魔法…。こんなの、見たことがないわ。一体何ものなのかしら)(め
うーん、メイさんには、イヤリングか首もとになんか欲しいな(な
あ、やっぱそう思う? 何げに敬語になってるよ、てかいつものことかー。初めての女の人の前だと(え
ほっとけ。…うん。装飾が似合うキャラだと思う、というより、アクセを招く肌だ(な
でも、ゴールドなんて出せないよ(え
やっぱゴールドだよな。本物の輝きが欲しいが…。なんか、つけるなら宝石じゃないって感じがする…(な
そうだねー、なんでかな ま、いいや(え
胸もとにゴールドっぽい、エジプト風の首飾りが現れる
「! こ、これって」(め
「サービス! 似合ってるよ! てゆーか、気にいってくれると嬉しいな♡」(え
鏡に映る姿を見る。 少しナナメに傾いたりしながら近寄ってみる
「ステキよ! ありがとエリラ! ほんとうに…」(め
うーん、腕輪も欲しいな(な
それはもう今度! アクセはけっこー疲れるんだから(え
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あの、先ほど、皆さん旅をしていると仰って…いってたわよね。わたくしでは足手まといになると思うのだけど…ご一緒していいかしら?」(め
「そう言ってくれると思ってた! よろしくね メイ!」(え
「ええ よろしく」(め
足が震えている。今までで、一番まともな反応…でもないか。ハチも最初は...
うん。でも今はもう大丈夫。みんながいるし(は
あたしは今でも怖い(み
うそおっしゃい(れ
(こんな人たちと一緒に旅なんてできるかしら…。でもここにいても仕方がないし…。悪い人たちじゃないってことだけはわかる。クセが強すぎる人ばかりだけど…(め
「ねー、おなか減ってない?」(え
「はい? え?」(め
「あたしおなかぺこぺこー! はちー、みのー いつもの出して♡」(え
「おうちも出しちゃっていい?」(み
「もちろん!」(え
取り出される応接セットや宿泊所にいちいちビクッと身をすくめ、目を丸くするメイだったが、大量の食料と、皆でそれを食べるうち、少しずつ落ち着いたようだ。
なんにせよ、驚くことばかりだろう。
やがて、うとうとし始めたメイをハチが寝所に運び、他のみんなも程なく眠りについた。