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第17話:7日目-4 ホラヘリ退治

登場人物

ナシ(な :異界もん

竜への生け贄としてこっちの世界から召還され、はかない命を閉じたあと竜の腹の中で再生した。エリラの魔法でむちむち萌えもえ美少女キャラの体を得るが、所有権はほぼエリラ。

竜の肉を掘る力と、仲間の能力を増幅する「増幅」の異能を持つ、ちょっとHな絵師もどき。


エリラ(え :魔導師 

17才らしい。蒼い瞳。竜に食われて中で目玉として再生していた。同じく目玉として再生したナシとともに、1つの体を作る。ホントの姿は謎。ナシのデザインしたグラマラスボディにピンクのロングヘアはまんざらでもなさそう。4大の魔法ほか、けっこー色々つかえる勝ち気、前向きでキュートな元気娘。


ハチ(は :妖精族

竜の中で再生していた生存者1号。ふわっとしたなごみのオーラを持ち、明るく優しくほがらかで、スタイルもいい。ゴージャスな黄色い髪の毛がステキ。わりと天然で、なにより素直でまっすぐ。格闘技に長け、異能は力持ち。見るものを幸せな気分にする「最高の笑顔」の持ち主


ミノ(み :鬼娘 

第2の生存者。キューとなメガネっコ美少女で、スタイルもいい。おっぱいが自慢。偏屈気味で寡黙気味、わりと毒舌。なりの切れ者。自称空き巣。特技は指弾、異能はミニマム。縮小と巨大化の魔法を操る。戦闘力はめっちゃ高い。


レンダ(れ :獣人 

第3の生存者。蒼いロングヘアーのイケイケおねーさん。見せたがり気質。

美人で、自称学者。いろいろ自分の体を改造している。どっかポンコツ。異能は不死(笑)


「どっかーん!」(え


バコォォンとも、ドカーンともつかない音が外から響いてきた。

天井部のコーティングはうまくいったようで、ヒビひとつ入っていない。


  いくよ 天井消滅!(え

     何かもっといい言い方なかったの? かっこわるいわ(れ 

  しょーがないじゃん こんなケース考えてなかったんだもん(え

    あいかわらずいい緊張感のなさだ(な


全員が、思い思いの方向に飛び出した。

あたり一面、岩と吹き飛ばされたフクロウモドキの肉片や死体がちらばっていた。無事な奴らが顔色を変えてこちらに向かってくる。走ってくるもの、飛んでくるもの…。その数は、それでも100匹以上はいるか


 ひとり30匹目安 競争よ!(れ

    レンダの思念が響く。仕切るのが好き、というよりありゃたぶん本能だな(な

  ナシくん、ぼんやりしない!(え

しゅばばっと、いう感じで、迫っていた数体が燃え上がる。

  飛ぶよ!(え

一気に天井近くまで飛び上がり、上から目につくヤツがはしから燃え上がった。

   

  ナシくん達いーなー!(は

ハチは、群がって走り寄ってくる奴らを、…まあ、低い体制で360度回転して脚をなぎ払うアレだ。近づくまもなく、敵が砕け散って回りに霧が舞った。しかし、どっかいつものキレがない。やはりただの魔物ということで、躊躇があるのかもしれない。

  ハチ、防御のオーラ、強めにねー!(え

    わかったー ありがとー(は


ミノは、両腕を縦横に振り回すように片端から粉砕しながら、飛んでくる相手に指弾を放つ。死角に対して常に意識があるのか、そつのない確実な仕留め方だ。


そしてレンダは、もう文字通り阿修羅か、インド神話の戦女神のような、殺戮の舞姫と化していた。

前後左右への縦横無尽のしなやかな動き、飛んでひねり回転しながら剣を振るう。非常識にも思えるその動き。いわゆる武を学んだハチとも、スピードとパワーを自在にふるうミノとも違う。これが獣人か。

額の目はダテだといいながら、レーダーのように相手をとらえている。情報処理は一体どうしているのだろうか。案外、頭部以外にもなんか、補助脳でも埋め込んでいるのかもしれない。

  余計な詮索は不要よ。でも、いい読みしてるってほめてあげる(れ

     図星かい こりゃあ、学者と言うより、むしろ自己改造マニアじゃないのか?(な

  聞こえてるわよ! 失礼なひとね。ほんとに。あとで覚えてらしゃい!(れ



数体が並んで走ってきて…それもすごい速さだ。そのままつっこんでくるかと思うと、太ももや腰ぐらいの高さを狙って一斉に飛びかかってくる。上空からも3~4匹の編隊が、直線的に襲う部隊と旋回しながら急降下してくるグループ、波状的に襲ってくる奴らなど、それぞれが、獲物の頭、背中、胸、腕、脚などに狙いを絞っている。驚くほど戦略的だ。避けようがない。

「きゃあ」(は 

「あ」(み

さしものハチやミノでさえ避けきれず被弾している。それでも腕も脚も首も胴体も吹っ飛ばないのがさすがというか、竜の血のおかげというか

  縁起でもない解説してんじゃないわよー!(え


ハチの背中に地上から跳ねた4~5体がせまる。それを、一直線に飛んで来た剣がまとめて串刺しにする。

  レンダ! ありがとー(は

   どーいたしまして!(れ

流れるようにもう1本の剣を投げる。それは、今度は回転しながら広範囲の敵を輪切り、縦切りにして飛んでいき、ミノの斜め後方の上からせまる集団も切り刻んだ。

  助かる(み

    ふふ♡(れ


そして、次の集団に向かって走りながら腰から次の2本を引き抜きざまに切りまくっていく。

   あんな低い体制での動きやとんぼ返りや空中ひねり…あんなことできるんだねー わ!(え  

風の障壁をまとっていても、死角から飛び込んでくる敵がそれを突き破ってかすめていく。

    こんにゃろ!(え 

  ぼぼぼっと、回りの数体が燃え上がった

 

ようやく敵の攻撃が終わったときには、さすがのハチやミノも肩で息をついていた。


  

 終わったみたいだけど…気をつけて。死体に偽装するっていう報告も聞いたことある。落ちてるのにも気をつけてね(れ

    そーゆーことなら……竜巻火炎~~~(え

木の葉隠れの影響だな 葉っぱの代わりに、炎を舞わせて落ちている死体を巻き上げていく。ほとんどはそのまま灰に、塵になって消えていくが、中には慌てて羽ばたくヤツがいる。そいつらもことごとくハチの裏拳やミノの指弾の餌食、レンダの剣のサビになった。

     あとは、岩陰に隠れているのがいるかどうか…(な

  それは、あたしに(れ

    レンダの額の目が青く光を帯びた。


  あの奥。右から3番目の岩の裏 下から2mくらいのところに止まってる(れ

    まるで、予言か託宣を下す巫女のようだ

   まかせろ(み

    ミノが飛び出す。

  こっち、2番目の岩の上(れ

    飛び出そうとするハチを静止するエリラ。

      それならあたしがやった方がいい(え

    高くジャンプして、上から火炎魔法だ。岩の上で、火が燃え上がる

   なるほどー その方が早いね~^^(は

      へへー^^(え 

そんな調子で、数カ所の掃討作戦もしばしの後に完了した。


  これで全部…のようね。討伐完了。みんな、お疲れさま(れ    

 


「おわりだってー! おつかれさまでしたーーーー!」(え

「はーい」(は

「おー」(み


  といいつつ、さすがにみんなそこにへたり込んだ。ある意味、今の奴らは衛兵物の比じゃない

「ちょっとやすもーねー」(え

「おなかすいたー」(は

「楽勝」(み

「うそおっしゃい^^」(れ

 

 さすがにみんな満身創痍だ。あちこちにみみず腫れや内出血で青く変色していたり、血がにじんでいる。


 竜の血も絶対無敵じゃないんだねー(え

  でも~、浴びてなかったら五体バラバラになってよーたぶん(は

 うん(み

  とりあえず治癒まほー…(え 

    エリラも疲れてるだろ ちょっと休め(な

  でも(え

   このぐらいだいじょーぶだよ。やすも!(は

「意外と、生真面目なのね。えりらって」(れ

「れんだ…」(え


いったん腰を下ろしたレンダだが、すっと立ち上がってまだ辺りを見回している。

結局、刀は腰にさしている1本だ。残りの5本は投げたらしい。それにしても、投げ方のバリエーションといい、変わった闘い方だが、そーいう闘いに慣れているようだ。ブラウスもスカートもあちこち裂かれ、肌や竜のブラとパンツがのぞいている。片袖もなくなり、脇の下と丸い肩、そしてしなやかな二の腕は、大人の女性が香るようだ。ほつれた髪をかき上げるしぐさがセクシーだ。あ、瞳がこっちを見た。額の目はもう寝たようだが…。


   ふーん そーゆーふーに見て、分析してるのね。悪くないわよ。…じゃ、この太ももはどお?(れ


 すっと向こう側の脚…右脚を少し上げて、軽く前かがみになる。古い表現に、肉感的な青い太ももという表現があるが、内太もも独特の柔らかな曲線は、文字通り悩殺もののの色気を放っている。自分の美しい肉体を誇る、誇示する…こういう人に、実際にお目にかかることになるとは。生きててよかった…


 あら~ そこまでいってくれるの? うれしいわ(れ

   レンダはただの露出狂だよー?(え

  そーだよー! 恥じらいっていうものがないの~~?(は

   変態(み

 ふふ おじょーちゃんたちにはわからないわ。見られる、わかってもらえるって、嬉しいことなのよ?(れ

  そりゃあ…一理あるけどさ…(え

 でもー だってー..いーもん。あたしは、お洋服こみこみでかわいーっていって貰えるもん(は

  ひとそれぞれ(み  

    うふふ(れ


「でもさー、レンダすっごく戦えるんでビックリしたよー。おねーちゃん♡」(え

「! あなたわー」(れ

 


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

寝所を出してお休み中。やはり、さすがにあれだけ暴れると、屋根があった方が安心する。えりらが気分にまかせてつくった腰かけやクッションを出すと、それぞれに腰を下ろしたり(レンダ)、床に敷物を引いてあぐらになったり(エリラ)、横座りしてクッションを抱いたり(ハチ)。ミノはクッションに座って岩窟寝所の内カベに寄りかかっている。


「お腹すいたねー」(え

「あたしもぺこぺこー」(は

「ぺこぺこ」(み

「ふう」(れ

 ほっとしたところで、ようやく食欲が出てきた。ともかくは、ハチのポシェットから食材を出して食事にする。全員で食べても、まだ数日はありそうだ。


「そろそろ、また胃まで調達部隊出さないとね もぐもぐ」(え

「まかせてー ぱくぱく」(は

「あたしもいく  しゃりしゃり」(み

「あたしもいきたいわ   はむはむ」(れ


  けっこーハードだったねー 害虫駆除…(え

   だねー(は 

    同感(み

  でも、みんなすごいわ こんなのが野に放たれてたら…(れ

    だよねー よかったんじゃない?(え

  ごめんなさい あたしが…不注意だったっていうか…持って来ちゃって(は

   気にしない気にしない! すんだことだしー 次から気をつければいいって(え

    うん ありがとう…(は

   どこにまぎれてたんだろうな(み

    木のうろとか、もしかしたら魔獣のお腹の中にはいっていたのかも。それじゃ、わからないわ(れ

  なるほどー …じゃーさー、一体アレ、どうやって増えるの? てか、増えたんだろう?(え

   わからないわ。無性生殖か、分裂かもしれないし ...だから、実は…(れ


 ポシェットからとりだす。髪の毛で、ぐるぐる巻きにされたホラヘリ。


「わ~~~~ レンダってばなんてことをー!」(え

ハチとミノもとびあがった


「エリラ、これを入れる小瓶か、カゴを作ってくれる? ここから出たら、研究したいの」(れ

「えーー? いいけど… でも、絶対駆除対象なんでしょ?」(え

「だけど、爆発的に増えさえしなければ、普通の魔物だし。増殖の秘密がわかれば、対策もとれると思うのよ」(れ

   すごいな(な 

「でもー、やっぱ怖いよ~…。バインド、麻痺、スリプル…の永続化と、カゴは…もう2重三重、その上に鉄やなまりや石なんかの箱に入れて、徹底的に厳重に管理してくれる~?」(え

「もちろん(ニコ」(れ

「封印魔法でもあればいいんだけどなー…あれはなー」(え

  むずかしいのか?(な

「一種の時空系だからねー 逆にあんなのがホイホイ使えたら逆に魔法封じれたりスピードやパワー封じられたりたまったもんじゃないからね でも、あると楽できるだろーなー。少しは」(え

「封印魔法は、使える人を封印しちゃうって聞いたことある…」(は

「だな」(み

「そうね。時空系…時を止めるとか、遡るとか…」(れ 

    オタク文明じゃあ、割とポピュラーだけどな 氷とか、石の中に封じるとかもあるが(な

「それいいかも! れんだー、これって、生きてなきゃダメなんでしょ?」(え

「そりゃまあ」(れ

「となると冬眠に限る! 氷魔法はダメだけど、スリプル永続化して、このコ用のちっちゃい岩窟作っていれとけばいいんだ」(え

「あと…実はこーゆーのも…」(れ

  レンダが髪の毛を抜く。先の方をもつと、ピンとハリのようになる


「なにそれ?」(え

「エリラ、手を出して」(れ

  つっと手の甲に刺す

「え? い…痛くないけど…指が動かないよ?」(え

「ハリ、経絡か。こっちにもあるのか」(な   

「あらナシくん、知ってるんだ」(え

「なーにそれ」(は

「知らない」(み

「えっと…説明、ナシくん……ライブラリあるんでしょ?」(れ

「まーな」(な

「じゃあ、それみんなで見ましょ」(れ

「それはわかったからこれ抜いてよー なんかこわいよー」(え

「はいはい^^」(れ



  経絡の位置や働きが、こっちの人間や動物、魔物にどれだけ同じで、作用するのかはわからない。あっちの世界でも、効きやすい人、効きにくい人、最初効いてもだんだん効かなくなる人、いろいろだ。レンダは、額の目である程度経絡が見えるという。それで、くだんの魔物の運動経路、知覚経路にハリを打ち込んで、万全を期すことにした。ツメとくちばしと羽を切っておく、という案もでたが、フラグが立ちそうなのでやめておいた。

「ふらぐって?」(は

  ツメもくちばしも羽も切っといたから大丈夫!って思わせておいて、いつの間にかツメとくちばしと羽が再生してました!で復活してきましたーっていうあれ(な

「お約束」(み

「あーー あたしがいおーとおもったのにー! オタク文明あるある!」(え



  いつか、せめて普通の魔物に。おやすみ。ホラヘリ(れ

    レンダのやさしい思念が伝わってきた

      


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

どが ずしん

  …地響きに目がさめた。なんか騒がしい

    こら、おとなしくしなよー!(は

   邪魔するな(み

      寝ぼけた頭に、ハチとミノの思念が聞こえる。


  そっか、念のため岩窟のトビラ閉めて寝ちゃったんだ(え

    それであのふたり、この中で暴れてるの…(れ

       いつものことだが… いて(な


    顔の上に何かが乗った。これは…このやわらかさと形状からお尻に間違いない(な

  きゃ、やだー! なしくんごめん!(え 

      ハチの思念だ うーん…悪くはないがもう少しゆっくり... ぶ (な

    ナシ、じゃま(み

  今度はミノの胸か。ミニマム状態で挟まれたことは何度かあるが、リアルサイズのまま顔を挟まれたのは初めてだ。あらためて、実に豊かな肉感である。むにうにょん…という...一瞬のことなのにありありとまだその感触とぬくもりが鮮烈に残っている。し、しあわせの記憶(な

     ナシくん、痛いのは全部まかせるっていったけどさー..(え


「もーうるさいわねー」(れ

    起き上がる気配がして、シャリンッという音がした。

       抜いたな(み

       ぬいたね(は


「静かになさい」(れ

   はち、やるぞ(み

   ええ(は

「ふたりともいい覚悟ね」(れ



「外でやれーーーーー!(え



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