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第2話 合体 

「さっきも話したけれどさー、あたしには創造の力がある。で、キミには思ったよりモノの形をイメージする力が強いようなのと、…あくまであたしの直感だけど、どうやら『力』を増幅する力がある!」

  増幅?

「…で?」


「普通の体をつくってみよー! 失敗してもやりなおせばいーんだし!」

「はあ?」

「キミなら大丈夫! キミとならできる! ひとりじゃできないことでも、ふたりなら何とかなる! いくよー!」

「ちょ、ちょっと待ってくれ、いきなり」

「ん? なにか?」

「一体何を?」

「何を?って、フツーのカラダ作るんだよ?」

「は?」

   一体どうするつもりなんだ? 相手は女の子らしいけども、SDキャラでもまがりなりにも女のカラダ同士だし目玉だし…

「Hなこと考えてる?」

「は、いや えっと」


「はい、立って!」

「はい!」(しゃきーん)

   真正面から見ると… やっぱり目玉は目玉だな 碧い瞳がキラキラしている。深い、きれいな蒼だ。

「横に来て!」

「はい!」

「手を」

「え? は…?」

「何で前に回って握手をするんだキミは! 横に並んで手をつなぐんだー!」

   女の子と手をつなぐなんて……いったい何年…何十年ぶりというか… 俺、結構情けない人生送ってたんだな…… 相手、目玉だけど…


「ほー、手をつなぐと手にとるように何を考えているか伝わってくるなー おもしろーい!」

「ま、マジですか?」

「ウソだよ♡」

「あの」

「ただ、…うん、キミ、昔っていうか、前世は絵描きの一種でしょ」

「ああ、あ、いや、えっと…前世となると… 」

   供物の時のことが頭をよぎった。あれは、思えばはかない一生だったな…


「まいいやー。とにかく細かいことは抜きにして、キミはやっぱりビジョンの形成力が普通じゃない気がする! 日々妄想にふけっていないとこう培われることはない!」

「…ま、まあ」

   あんまり嬉しい表現じゃないんだが…

「あたし達魔導師は、何をするか、何をしたいかのビジョン、イメージが大きなカギになる。大きな魔法を使うときは、大勢で手をつないで、思いやイメージ、気持ちをひとつにして発動することがあるのもそのためだ。でも、キミは、手を握っただけで今まで経験したことがないくらいのビビッドなイメージがジャンジャンわいてくる! 伝わってくる! すばらしい! 素晴らしいよ~!」

「そ、そう…ですか?」

「よし! 体はキミにまかせる。好きな肉体をイメージしろ。服と装飾はあたしがやる!」

「ちょ、ちょっと待って下さい! 体といっても色々あって… お、おっぱいもめだたない、ふつう、まあまあ、立派....」

「いっくよー!!!!」

「うあー」  

   光が、ふたりを包んだ。 それはおっぱい「立派」のタイミングだった。 


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


  その時、俺は当たり前のように女の子のカラダをイメージしていた。男という発想はカケラもなかった。習慣というのは、恐ろしいものだ..


「ほー随分豊満な肉体だねー。予想よりだいぶダイナミックな分、あたしの服のイメージでは露出が多くなっっちゃったけど。ま、いーか」

  ふーん..ビジョン力も尋常じゃないけど、この、一発でほぼ完全な創造…しかも等身大! このコの力、間違いなく「増幅」。…こんなの聞いたことないけど… こりゃあ、いわゆる「異能」だねー…(エリラ思念)


  両手…細い、きれいな女の手だ。足も、美しい。しかも、足の手前に巨大なおっぱいが そして、肩にかかる髪の毛の色は、ピンク色をしている。ありえな…くもないか。さっき見た、というか召喚されたときに見た鏡の姿が影響している…(オレ思念)


「あーーーーーー!」

「な、なによいきなり」

「これこれ、おんな」

「女のコだよー それがどうかした?」

「それがって おまえどこにいる」

「ここだよー」

「ここって?」

「一緒ー♡」

「はいー?」

    その時ようやく気がついた。俺は、1人で喋っている。

  聞こえる~? あ、た、し だよ~(え)

    頭の中で、彼女の声がする

  彼女じゃないよー。エリ・ラだよ~(え)


「え、えっと…これが、俺の、声?」

  女の声だ

   けっこー可愛い声だね~♡(え)

 な…(俺)

  ニブイねー! さっきと違って等身大の肉体はひとつ作るのが精一杯だったからー、共有だよ♡ これからよろしくね♪(え)

「き、聞ーてないぞーーーーー!」


   ふたりの声が入れ替わるたびに、目まぐるしく瞳の色がしゃべっている方の色になる。

   が、それがわかったのはあとのことだ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 女のカラダ…女の子のカラダ…うーん やわらかいが…うーん(俺)

  何うなってるのー? ま、無理ないか…。キミ、記憶が2つあるねー 1つは…17~8年、もう一つは…数時間、はかないねー(え)

 あ ああ..。

    <いい旅を>

 長老…の声がよぎる。いや、いくら何でもこの展開はちょっと…ありか? あんまりじゃないか?


  うーん、だいぶ混乱してるねー(え)

「ふー」(俺)

  混乱するさ。そもそも…いきなり異世界召喚されたと思ったら女になってて、あっという間に竜に食われて、次に目がさめたら目玉になってて、目玉でしゃべる女の子がいるし、目玉ちびキャラになったと思ったらいきなり等身大に戻るし、気がついたらそれがまた女のカラダで、こんどは体の中に女の子がいるって …しかも、思ってることほとんど筒抜けだと?


 うーん、波瀾万丈だねー。その結果女の子と1つ肉体の中なんて、まるで天国だね~♡(え)

   おまえはこれでいいのか っていうか

 今はしょーがないじゃん(え)

   あきれるほどさばさばしてるな、おまえ

 おまえじゃない。エ・リ・ラ!


「じゃあ あらためて自己紹介するよ! あたしはエリラ。エリランエステナーゼ・エリダリシウム・シンチタノール。エリでもエリラでもリラでも、好きに呼んでいーよ」

  長い名前だな。もういっぺん言ってくれ

「エリマリンエステルナーゼ・リシウムフラボンキウム・ヤルシキン」

  …さっきと違うんじゃないか?

「いーっていーって! 気にしない気にしない♡」

  これから、こいつと…このひとと体を共有…? やっていけるんだろうか。俺…

「キミの名前は?」

  あ…

   外でいいよー てか、口で喋ってー(え)

「…憶えてないんだ」

  なによそれー! せっかく代わったのにー。じゃあ、ナイちゃん! ナシくんがいい?(え)

「はい? ないわけじゃないんだけど…」 

  でも覚えてないんでしょ? だったらないと同じだよー。

「だから、ナイちゃんにけってー!」

  ぱっと体を乗っ取って、俺の体は片腕をあげて元気にポーズをとっていた。そこそこ立派な胸が弾む …思ったより、ブラとかパンツって食い込むんだな///

   新鮮~?(え)

  うああ 聞いてたのか!

   だってしかたないじゃん まー、なかよくやろー(え)

     はあ…



 竜の腹の中。

 こうして、おれは異世界の女のコとひとつになった。いや、正確には、1つの肉体の中で同棲..か…

  共有することになったんだよー ヨロシク~♡(え)

 おい、ナレーションまで横取りか?

  いっしょだよ♪(え)


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