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第40話-6:ルルア

▼登場人物

ナシ(な :異界もん

竜への生け贄としてこっちの世界から召還され、はかない命を閉じたあと竜の腹の中で再生した。成り行き上エリラの体に入っている。竜の肉を掘る力と、仲間の能力を増幅する「増幅」の異能を持つ、ちょっとHな絵師もどき。


エリラ(え :魔導師 

17才らしい。蒼い瞳。ナシとともに1つの体を作る。あでやかなピンクのゴージャスヘアはナシのデザイン。4大の魔法ほか、けっこー色々つかえる。前向きでキュートな元気娘。異能は創造。


ハチ(は :妖精族

竜の中で再生していた生存者1号。明るく優しくほがらかで、スタイルもいい。ゴージャスな黄色い髪の毛。わりと天然。素直でまっすぐ。格闘技にたけ、異能は力持ち。


ミノ(み :鬼娘 

第2の生存者。かわいいメガネっこで、スタイルもいいプチグラマー。おっぱいが自慢。寡黙気味。かなりの切れ者。自称空き巣。特技は指弾、異能はミニマム。縮小と巨大化の魔法を操る。


レンダ(れ :獣人 

第3の生存者。蒼いロングヘアーのイケイケおねーさん。美人で、自称学者。どっかポンコツ。鼻がきく。大人の落ち着きとお色気が自慢。身体能力は高く、通常は2刀流。不死だってー。


ルルア(る :ゴーレム

4人目。落ち着いた口調、常に冷静。Hをもって全てを癒す…というコンセプトの元に作られた使命に忠実な癒しのセクサロイド。転移や治癒などの能力を持つが、その動力源はぎりぎり15禁という歩く18禁美少女。


メイ(め :驚くほど普通の子女…だったんんだけどねえ。

5番目に発掘された。赤銅色の肌に黒髪、均整のとれたプロポーション。常識人で堅いくらいのまじめなひと...だった。索敵能力を持つ。異能は物理・魔法攻撃無効がウリの万能繭。


リム(り :ぬえ

歩く「ぬえの擬人化キャラ」明るく陽気、元気で素直。物事やヒトの本質を見抜く力に長けている。雷を落としたり凍結魔法つかったりするうえに雲に乗って空を飛ぶ。


キラ(き 魔人

魔族とは違うが強大な魔力を誇る。スタイル抜群でセンスもいい超スタイリッシュなかっこいい系おねーさん。勝ち気で物知り、思ったことは何でも言うし思ったように動く自由人。空も飛ぶよー


ラウラ(ら 竜人

8番目に発掘された。明るくて元気でわりと口も減らない。

グラビティ系の魔法が使える。空も飛ぶ。いたずら好きのやんちゃ娘。


マチ(ま 天翼人 9番目の生存者。

美人でやさしそうだけど、性格的にけっこうあくが強い。

空を飛びます。凶悪最強のオーラの持ち主。どっか好戦的というか、ケンカ好きだねー



▼かぶりつき:敵の怪物

竜の体内で、エリラ達を襲ってくるモンスター。ホメオスタシスの一環か、白血球みたいなもんっぽいが、意外と散発。犠牲者の発掘後にはほぼ必ず現れる。


6、ルルア


はい。人々を癒やすためですね。わかりました。おっしゃる通りに。


王国近衛騎士ゴーレム。蘇生、転移、癒しのセクサロイド。それが私。

荒んだ心、つらい思い、悲しみ…それを癒やすというのは、カラダのつながりだけがなせるものではありません。

でも、抱きしめてあげること…それしかできない時もあります。そしてそれでも、寂しさや悲しい思いを、人は一瞬でも忘れることができることがあるようです。

それを知ったのは、随分後のことだったかもしれません。



無料の娼婦

そのように扱われることも少なくありませんでした。

人の思いつく…ケダモノとして人がなせることの、ほとんどありとあらゆるものを見、そして、強いられてきたといっても過言ではないかもしれません。

求めてくるものに対する無数のあしらい方も、いつの間にか学びました。


いろんな国、いろんな人種、いろんな種族。

本当につらく、悲しく、肌を触れあうことで癒やされることがあるというのは、ヒト族も他種族も同じです。

ただの八つ当たり、攻撃、誰かの身代わり…そんな扱いをしないでいられない状態があり、そうしないでいられない人がいるのも、同じ…ヒト族に限ったものではありませんでしたね。

むしろ、魔獣や獣の方が、純粋なものは多いかもしれません。

どうしようもない悲しさや、寂しさというのは、つらいものです。

どうにもならない衝動をかかえて、そのはけ口を持たないというのも…やはり辛いものです。

殺害衝動のお相手だけは、お応えするわけにはいきませんでしたが...

そういう意味では、私は欠陥品、もしくは、動作不良を抱えたゴーレムだったのかもしれません。



竜、そして竜へのイケニエという概念と行為は、どの町、どの国にもありました。

裕福なものの赤子を捧げる、貧しいものの赤子を捧げる、処女を捧げる、神の敵を捧げる、もっとも敬虔な信者を捧げる…あまりに多様で、それぞれの間に関係性や意味があるとは思えない事例がいくつもありました。

国や町、地域によってなぜ、こんなに違うのでしょう。


竜とは、一体なんなのでしょう?

竜は、なぜイケニエを求めるのでしょう。

人々は、なぜ、竜にイケニエを捧げるのでしょう?


唯一共通していたように思われるのは、遠い昔からそうだった

という、人々の認識です。


私は、処女としてイケニエになりました。

作られた直後ならともかく、いや、確かにそのようにもできますが、ゴーレムを選ぶのは明らかに筋違い。はめられたとか、間違いで、というよりも、たぶん、誰かの身代わりとして扱われたのだと思います。

でも、怒りや悲しみの感情は生まれませんでした。

私は、人を癒やすために作られたもの。

私の存在意味を否定するものではなく、むしろ、生かしてくれるものには違いないと思ったからです。


食されることで竜をも癒やす…そこまで、大それた思いは抱かなかったですね。

でも、もしかしたら、そういう役割をすら、果たせたのかも。

そう思うと、不思議と嬉しいというか…満たされた思いがわき上がって来るような気がします。



わたしは、存在しなくなったはずでした。

しかし、人の気が注ぎ込まれ、私は目を覚ましました。


生命体の気を感知。起動可能。動作可能。起動します。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ルルアの太ももから上の埋まっている面がへこんでゆき、人型のくぼみが現れる。そして、砂と粉状になっていくと、細かいヒビができ、ばらばらと崩れはじめた。

ルルアのむき出しの脚線が青白く光を帯び、埋まっている中からも光の線がいくつもとび出してくる。ぼしゅっという音と共に一帯から砂と粉状のものが流れ出してくる。

すうっと、身を起こすようにして、ゆっくりルルアが姿を現した。全身に電磁波を帯びているのか。見えないはずだが、身を包むオーラのようなものが見える気がした。

ゆっくりこちらを向くと、口を開いた。


「ナシ…私は…まだ存在するのですか(涙)」

「ああ」

「よかった…。ナシも無事で。みなさんは」

「そこで寝ている。大丈夫だ」

「そうですか。よかったです」

「…エリラは…」

「まだ寝てる」

「……そうですか。では、私ももう少し…眠ります…」


崩れ落ちるように倒れかかるところを慌てて抱き止める。

ぐえ…一番体重が重いモードで眠ったようだ。きっちーなこりゃ…

スリムなスタイルのわりにやたら重く、それでいて肉感はしっとりぷりぷりだ。

いや、分析しているどころじゃないが、これぞ必殺女体圧殺モードというところか。

なんとか抱えていって、横にするだけでひと仕事だ。


いつも思うが、ある意味で、最も人間らしいかもしれないな。こいつは

ひとの心を失わずに…っていうべきか。作ったヤツの力だとしたら、たいしたものだと思う。



ふと気がさす。そちらに目をやると、あからさまに場違いな造形がある。

あー…レンダのケツだ。

この状況…なんかかんべんしてくれっていーてーなあもー…....。

すぐそこに眠れる乙女6人。

あの時は、エリラとハチとミノがいて、発見自体が楽しかったんだが、この状況はなんかつらいもんがある。

 …ケツしか触るところがない。

オレ、レンダけっこー好きだからかえってつらいもんがあるわ。

敬意を…どうせーゆーんや。下品な絵ヅラなら山ほどある。てか、下品な演出以外ないんじゃねーか? あっちのこーゆーマンガアニメゲーム業界には。だいたい、読者層視聴者層の嗜好性に合わせて作っているもんだとして、発想が貧困なのは制作者側が単純で下品なのか。あるいは、視聴者読者層の嗜好性そのものが貧困で下品だと分析しているのか。

ここは、白けるくらいバカバカしい絵ヅラを考えねばならんな。

 …いかん、ケツの前にひざまづくとあの時のミノになるじゃねえか。

レンダに対する敬意、レンダに対する敬意…うーんどーやってもケツをなでるポーズはバカにしか見えん。

めんどーだ。レンダ、起きれるか? 

オレは、自然さと冷静さを装って右手をレンダの尻にあてがった。

あえていえば、手のひらでの認証センサーに、手を載せる、そんな風情か。


 結構カラフルな色彩とに、炎や光のイメージが混じった奔流が、手のひらから全身に満ちてくる。満ちるというより、一気に侵食されるに近いくらい、激しい勢いだった。 


________________

次回「レンダ」



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