第39話-3:混濁
▼登場人物
ナシ(な :異界もん
竜への生け贄としてこっちの世界から召還され、はかない命を閉じたあと竜の腹の中で再生した。成り行き上エリラの体に入っている。竜の肉を掘る力と、仲間の能力を増幅する「増幅」の異能を持つ、ちょっとHな絵師もどき。
エリラ(え :魔導師
17才らしい。蒼い瞳。ナシとともに1つの体を作る。あでやかなピンクのゴージャスヘアはナシのデザイン。4大の魔法ほか、けっこー色々つかえる。前向きでキュートな元気娘。異能は創造。
ハチ(は :妖精族
竜の中で再生していた生存者1号。明るく優しくほがらかで、スタイルもいい。ゴージャスな黄色い髪の毛。わりと天然。素直でまっすぐ。格闘技にたけ、異能は力持ち。
ミノ(み :鬼娘
第2の生存者。かわいいメガネっこで、スタイルもいいプチグラマー。おっぱいが自慢。寡黙気味。かなりの切れ者。自称空き巣。特技は指弾、異能はミニマム。縮小と巨大化の魔法を操る。
レンダ(れ :獣人
第3の生存者。蒼いロングヘアーのイケイケおねーさん。美人で、自称学者。どっかポンコツ。鼻がきく。大人の落ち着きとお色気が自慢。身体能力は高く、通常は2刀流。不死だってー。
ルルア(る :ゴーレム
4人目。落ち着いた口調、常に冷静。Hをもって全てを癒す…というコンセプトの元に作られた使命に忠実な癒しのセクサロイド。転移や治癒などの能力を持つが、その動力源はぎりぎり15禁という歩く18禁美少女。
メイ(め :驚くほど普通の子女…だったんんだけどねえ。
5番目に発掘された。赤銅色の肌に黒髪、均整のとれたプロポーション。常識人で堅いくらいのまじめなひと...だった。索敵能力を持つ。異能は物理・魔法攻撃無効がウリの万能繭。
リム(り :ぬえ
歩く「ぬえの擬人化キャラ」明るく陽気、元気で素直。物事やヒトの本質を見抜く力に長けている。雷を落としたり凍結魔法つかったりするうえに雲に乗って空を飛ぶ。
キラ(き 魔人
魔族とは違うが強大な魔力を誇る。スタイル抜群でセンスもいい超スタイリッシュなかっこいい系おねーさん。勝ち気で物知り、思ったことは何でも言うし思ったように動く自由人。空も飛ぶよー
ラウラ(ら 竜人
8番目に発掘された。明るくて元気でわりと口も減らない。
グラビティ系の魔法が使える。空も飛ぶ。いたずら好きのやんちゃ娘。
マチ(ま 天翼人 9番目の生存者。
美人でやさしそうだけど、性格的にけっこうあくが強い。
空を飛びます。凶悪最強のオーラの持ち主。どっか好戦的というか、ケンカ好きだねー
▼かぶりつき:敵の怪物
竜の体内で、エリラ達を襲ってくるモンスター。ホメオスタシスの一環か、白血球みたいなもんっぽいが、意外と散発。犠牲者の発掘後にはほぼ必ず現れる。
混濁
…うね。わたしがやらないと…(め
役に立たないものが食われれば…(り
…した。おっしゃるとおりに…(る
…ら、じゃあわたしが…(ら
…なの。この翼はもう…(ま
…ね、邪悪なものをあやめたものはね…(き
…うよ。毛並みだって…(れ
…だー!。ありがとう…(は
…とか。わかった..(み
…ら、たすけたいんだよ!…(え
あいつらの声がしている。断片だが... …断片?
こりゃ、意識か。思いの一部が時々浮かんできているのか、それとも、流れている一部を感じ取っているのか
またか この、なんだかわからねー感じは…
浮いている感じ…に近いか。上も下も…ないな。仰向けか?
体の感覚は………手足はあるな。
目がさめる。いや、さめていたのか。
よく、目覚めるとってゆーが…そだな。目覚めると ってゆーコレは、いつも同じだ。
ただ、まわりがいつもの風景か、知らないところか、それはいつもあとのことだ。
ざけんじゃねー
…全身を駆け巡る思いが、リアルに、つい今さっきだった感じに甦ってくる。
ああ。ついさっきのことだ。朝じゃねえ。
やっときたー!
エリラの声がよぎった。そう、ふとエリラの時を思い出した。時…という単語を使ったが、過去じゃあない。状態、感覚だ。あの時も、目がさめた -だ。
こうしていても、あいつらを感じる。アレはハチ。ミノ、キラもいる。レンダ、メイ、ラウラ、ルルア、リム、マチ、それに、エリラだ。
思念体、融合…こーいうシチュエーションも別段珍しいものじゃないってか、さして真新しいもんでもないが、実際にあるんだな。
悲しい、嬉しい、苦しい、さびしい、楽しい、悔しい、おかしい、怒り、落胆…むちゃくちゃだな
マイナスの感情の方が多い気がする。あいつら、結局こーゆー感情は最後までほとんど表に出さなかった。
ついさっき… あの、一瞬であいつらの姿が消えた… あのビジョンが甦る。
食いとられたな クソ!
視線、ってか、感知感覚をたどってこられたってやつか。ミノもキラもいいカンしてるぜ。わりーことしたな。やっぱ。
闇をのぞき込んだら、闇の方もおまえを見てるってなー、ニーチェか。マンガなんかでもよく拝借されてたセリフだが、文字通りのぞき込んだ闇にひと飲みにされたってノリか。笑えねーぜ。
……にしても、一瞬か。しかも、全方位防御ガン無視って、...くそったれが。んなことがありえたってゆー可能性としちゃー…竜気てか、竜の力だな。しゃれになんねーな。あいつぁ、寄生虫だろ? だからか?
だいたい、俺はともかく、あの連中ーが全員、竜に食われてたってわけで、そもそも竜にはどんな力も無効化する力があるようなわけだが…。
食う時に、竜と同じ力をふるう化け物だったわけか
ふう...。てこた、ここもヤツの腹ン中ってことか? それとも、よくあるあの世とか狭間ってシチュエーションか。
なんにせよ、ろくでもねーな。たく、なんだってあんなのが竜の中にいるんだか。
全滅か。ざけんじゃねーぜ たくよー。
だが、やつらの意識は感じる。消えちゃいねえ。ざまあみやがれってとこだな。とりあえずは…。
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さて、それにしてもここはどこだろうかね。どういう状態だ? レンダがさびしそうにしてるな。マチが苦しそうだ。こりゃ、あいつらの記憶か。
真っ暗だな。夢の中で、どうにも暗くて、目をあけようとしてもどうしても目があかない。どうしても見えない。真っ暗のまま。そういう夢は何度か見たことがあるが。…夢の中で、まぶたを両手で開けようとしても、どうしてもあかないって、ありゃどーゆー夢なんだろうな。
起きたら、そーゆー夢だったことは覚えていても、どーやって「起きた」のか、どうして目があいたのか、なぜ目はあくのか…? あいたあとは全然気にしねーってのも、それが当たり前のことてのも、へんっちゃ変だ。
さて、今の現実は、皆が身近にいる。そこらじゅうにいるってこと。それだけは確かだが…おれはどーなんだろうな。
両手の感覚、足の裏の感覚…頭を触ってみる。うん。あるな。顔に…胸……やわらけー。…おっぱいだな。まいったなこりゃ。じゃ…いやあっちはいい。とりあえず腹…うん。下の方は確かにないわ。てこた、こりゃエリラか。ああ、髪の毛も長いし、細い。じょーだんじゃねーな……
「ざけんじゃねーーーーーーー!」
おー、声が出るじゃん。…マジか? なんか思念で話すことに慣れすぎたか。どっちだこれは。
う いかんな。腕組みをすると露骨におっぱいだ。やはり新鮮だな。ほんっとに、エリラは肉の感触をほとんど全部見事に遮断しやがってたもんな。まあ、女のコだからわかるけどよ… あー、ぷにぷにだ。…なさけねーなオレあまったく。
おーい、えりらー! いねーのか? 寝てるのか? 気を失ってるのか? まさか、抜けちまったわけじゃねーだろーな? 気配は…いても感じない時は感じなかったからな…。わかんねーっつか… ただ、混沌の、みんなの思念の中にやつの声と気配は確かにある。なら、どっかにいるはずだ。消えちゃいねえ……。 よかった…
しかし、こんだけやっても誰も突っ込んでこねーっってことは、全員そろって通常の意識はねーってことか…寝てる状態か。わるきゃ、魂てやつだな。それも、自意識のない感情主体の思念のみ状態ってヤツか? 万一、残留思念なんつーやつだったりしちゃあ、しゃれんなんねーけどよ。間違っても、オレの記憶の残響だったなんてオチだけは勘弁してほしーものだが…
さて、どっから手をつけるか。
視覚ベースの感覚と状態、場所の把握か、あいつらか。
ん? 足の裏に何かある。踏んでるな。 こりゃ…髪?
マチじゃねーか。埋まってた時の..。て、見えるじゃねーか。マジか。マジだな。これをこーやって、誰かペチペチってやって…レンダだっけ?
踏みつけて、あとでめっちゃおこられたのはメイだったな。
マチかー。マジか? しっかしそーなるとめんどーだなー。またコレほるのか?
あんときも大変だったんだよな。ミノとかレンダが手を貸してくれたけど…。
ま、コレも縁か。てゆーより、流れだな。他に誰かいねーかさがしまわって、道に迷って二度とここに来られませんでしたなんてーのはしゃれにならねー。
おいマチ、起きろ。おーい変態猛禽!…さん…。ことりちゃん! エロドリ(ぼそ)…こいつも見た目と性格のギャップがすっげ面白かったよな。いーカラダしてるし。なまじ、誰かと張り合おうする分、見せて貰える機会が必要以上に多かった気もするが…。ハダカ見せつけながらのあのどや顔はいただけねーが、ふっと見せる満足そうな笑顔は、可愛かったな。
マチ、いるか? おーい
しゃがんで、マチの頭をそっとつんつんしてみた。その時、何かが流れ込んでくる感じがした。
つーより、強引にこっちに入り込んできたってゆー感じだろうか。マチのいろんな意識と思念、感情と記憶の洪水が。
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次回、「第40話-1 マチ」