第7話-3 やりなおし〜
「あーあ、ふさがっちゃったー」(え
は あ…(な
「まー、よくあることよくあること…」(え
めったにないわ てか、こんなのありか? ひでー… せっかくあそこまでいったのに(な
「こりゃー、もう少し効率よく…スピードアップしないとムリだねー ヘタすると、掘ってる本人も中に埋め込まれかねないよ」(え
……(な
せっかく握りしめられた手も、元に戻って緩やかに開いている。しかし色は変わっていない。生気が戻ったまま維持されているようだ。
うまくいけば、体の中にトンネル掘って、そのまま外に行けるんじゃないか?(な)
いやーそれはムリだね。いったい、表面まで何キロあるか想像つかないもん。あたしが手を貸すって、ひとりしかいないんだしなー う~~ どーしよ~~~!(え
せめて道具でも…せめてスコップでもあれば(な
竜の肉だよ~ あんなにさくさく掘れたのは、キミの異能あってのものじゃん(え
あ~(な
竜の肉を苦もなく切り裂く道具なんて…(え
ある(な
へ?(え
ある! ドラゴンスレイヤーっていう、ドラゴンも切り裂ける剣が…(な
そーいえばあったねー オタクライブラリーに。竜のカタイウロコを切り裂くための専用の剣ってつごーのいーのが(え
…つくれるかな?(な
やってみよーか?(え
なんかタイムマシンとかワープマシンとかドリル腕とか地中用メカとかもできれば(な
できたらいーね(うわのそら)(え
とりあえず、先ずこの硬さを切り裂ける刀をイメージするぞ(な
してして♡ あ、きたきた せーの(え
光の中から、赤と青の柄、妙に凝ったカッコイイ剣が現れた
「…できた。けど、何コレ?」(な
コレこそドラゴンスレイヤー!(え
「それはわかる。だが、剣でどーやって掘れと」(な
あ☆ 作り直す(え
てゆーかさ、剣イメージしたのそっちじゃない(え
あ、悪い(な
「できたー! 名付けてドラゴンスコップー!」(え
勇者がコレ持ってドラゴンに立ち向かうって、なんか情けなくね?(な
「つべこべいうなー! さーいってみよー」(え
ざっくざっく
「あ、使える使える♡」(え
じゃー、ついでに掘り出した肉運ぶネコもついでに…(な
ネコ?(え
あ、こーゆー車輪のついた(な
なるほど(え
こうして、期せずして古典的な土木作業セットがお目見えした。残念なのは、掘るのも運ぶのも本人だってことだ。
いやーそれ以上に運んでる時間なんてないと思うよー(え
「そりゃそーか」(な
ともあれ、当社比2倍以上のペースだねー。コレなら間に合うよ。たぶん(え
「等身大の穴って、結構大変だな」(な
おつかれー(え
「いわゆる墓掘り人足って…大変なお仕事だな」(な
お仕事ってのは、何でも大変なのだよ♪(え
「この場合は発掘人足」(な
いーから黙って掘りたまえ!(え
「へーへー……道具使ってるんだからおまえでもいんじゃね?」(な
「あ、そうだった じゃちょっとこーたーい!」(え
顔の部分をのぞいて、大まかな体が見えてきた
「一応、全身無事のようだねー。よかったー 首がなかったらどーしよーかと」(え
おまえそればっかりだな とにかく、ここまできたら傷をつけないように慎重にしないと。繊細な部分は俺がやる。指でも掘れるからな(な
肩まわりから胴体、腰まわりから脚、脚 やがて全身…前面部が姿を現した。
……ハダカだな///(な
ハダカだね///(え
見ていいのか(な
見ないでなんとかできるのかキミは(え
…ありがとうございます(な
うーん白い肌、グラマラスなメリハリ... ううう...美しい均整のとれた、いわゆるいいカラダつきだ。きれいな肌に、竜のピーチドリンク色の血が、妙に色っぽい風合いを与えている。
おっぱいでかいねー 乳首も。 負けてるよー!(え
恥ずかしーから黙っててくれ(な
そおー? でもキミの目線、さっきからずーっと股間に..(え
お、おんな同士なんだから問題ないだろ(な
ほー、そーきたか。いうよーになったじゃないか(え
それから頭部まわりの肉を掻き出して、顔についている肉片を慎重にとって行く。
カワイイ小鼻、長いまつげ、ふっくらしたほっぺ、ぷるんとした唇…意外なほど、くっきりした、意志の強そうな太めの眉毛。意志が強そうだ。キュートな顔立ちが現れる
ほー 美人だねー でも可愛い♡(え
ああ(確かに。こんな人間、いるんだ..)(な
ずしん! ぐら
あ、気づかれた! さっきより早いかも。修復再生が始まっちゃう! 急いで!(え
わかってる(な
まだ半分埋まっている。見とれすぎたか
ばーか(え
俺たちは作業を中断して、しばし揺れがおさまるのを待った そのとき
「だい…丈夫。これなら、でられる」(唇が動く)
! (な(え
つむっていた目がゆっっくり開きだし、ぱちっと見開いた。でかい目だ。青緑色の瞳がに、きらゆるっと光が泳ぐ。
「ぅ…~ん..」(少女)
足元の床がへこみ、全身に青くオーラが漂い始め、輝きが増してくる。
「はあーーーーー」(少女)
闘気のオーラ! すごい..!(え
「えやー!」(少女)
ばりいーっと肉からはがれる音がして、優雅に、少女の裸身が宙を舞った。艶やかな黄色のロングヘアがなびく。まるでスローモーションだ。…ぶるんっというボリュームのある胸の揺れについ目が釘付けになる。
「これを!」(え
エリラが速攻でシーツを創造して、空中にいる間にその体を覆った。
片ヒザ立ててちゃっと鮮やかに着地するが、シーツのひるがえりがおさまる前に、穴から無数の触手が飛び出してきた。養分補給源を逃がすまいという反応だな
「きゃ!」(少女)
手足胴体、そして首、顔に触手があっという間に絡みつく
「ちー!」(え
エリラが魔法を放つ。しかし、炎や風は、触手の上で一瞬で消え去った
「きかない! やっぱ竜の肉体にはだめだー!」(え
「じゃあ俺が」(な
片目が金色になり 触手をたたっきる
「逃げるよ!」(エリラの声)
「はい」(少女)
宙をたくさんの触手が追ってくる
そうか、このコ、エサなんだ! なら! 死のオーラ+隠遁-隠密魔法で(え
霧が舞い、二人を覆う
「しゃがんで! 静かに!」(え
「え、はい!」(少女)
女のコをかばうようにして屈んでいる二人の手前で、目標を見失った触手がうろたえている。ほどなく、ゆっくり触手が穴に戻ってゆき、穴が埋まっていく。
なるほどね(な
「ふー よかったあ」(え
「あ、ありがと…」(少女)
エリラに寄りかかるように、少女は気を失った
ま、実際抱きとめたのは俺だが…(な
そおだっけ..(え
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
▼空洞
そこのすぐ先は、幅がさっきより広くなっていた。3m近くある。天井もやや高く、一休みするにはちょうどいい感じだ
シーツにくるまって横たわる少女。
黄色い、艶やかなロングヘア。静かに目をつむっているが、長いまつげだ。
くっきりした太めの眉毛がやっぱり特徴的だ。下くちびるもぷるんとしていて可愛い。
細い首。優しく盛り上がった肩の筋肉が、女のコっぽく魅力的な肩まわりを演出してる。
そっから下は、今はまだシーツの下だ。
「それにしても、体内でエサとなるくらいの膨大なパワーというかあふれる生命力、吸われ続けて枯れないっていうのもふつーじゃないってゆーかー、考えられないよ」(え
エリラは、いろいろききたくてうずうずしている(笑)
しばらく寝かしといた方がいいだろ?(な
「まー そだねー」(え
「ちょっといいか?」(な
目の色が、金色に変わる。
「そのコが目を覚ますまでしばらく時間がありそうだし…」(な
何するの?(え
「血だらけだろ?」(な
そだね (え
ちょっと離れたところで壁ぎわに立つと、壁に手刀を突きたてる。血が、勢いよく噴き出した
なにすんの?(え
「…竜の血の伝説、こっちにはないのか?」(な
ん?(え
「竜の血を浴びると不死になるとか、鋼鉄の肉体を得るとかって…」(な
うーん 聞いたことないなー だいたい、竜と闘おうってバカ聞いたことないしー。なんでー?(え
「俺のいたところじゃ、あくまでお話だが、竜の血を浴びて全身、刃物が通らなくなった勇者の伝説がある」(な
へー すごいじゃん(え
「全身血まみれだけど、せっかくだから背中も浴びておこうと思うんだ。悪いけど、装備はずしてもらえるか?」(な
えー わざわざすっぱだかであびるのー? きもちわるーい(え
「くだんの勇者なあ、肩甲骨のところに葉っぱが張り付いていて、そこだけ生身の体で、そこを狙われて死んだんだ。だから…」(な
まー、浴びるのはタダだしねー あ、一気に全部装備はずすとまずいから少しずつね(え
先ずブラを外し、胸のまわりから脇、背中、首まわり。それからパンツをはずして…考えてみたら、ここに来てまともにハダカになるのも、自分の体をゆっくりさわるのも、はじめてかも知れない。
鏡が欲しいなあ(な
姿見は出さないよー!(え
けち(な
しかたがないので、胸の下、おなか、へそに、前の方..
股間って言えばー(え
うるさいな恥ずかしいヤツめ。おしりに、太もも…(な
そーそーやわらかい内太もももていねーにね(え
ひざにくるぶし、かかと、足の指の間..(な
そんなもんかなー(え
そうだ、アキレス腱と両耳(な
うっわー、それってオタク文庫のアキレウスとほーいちでしょー、耳なし(え
よく憶えてるなって、それ知っててさっきのデュうくフリードの話…(な
ジークフリードだよね、今思い出した! ちょっと血の出が悪くなってるね(え
そうだな(な
ぐさ ぶしゅー
うわ、目に浸みる!(な
いや、いんじゃない? 目もコーティングしておくと(え
見えなくなったらやばくね?(な
だいじょーぶっしょ(え
少し口に入った(な
だいじょーぶっしょ(え
か、かるいな(な
飲んじゃえばー(え
さ、さすがにそれはこわいわ(な
考えようによっては、けっこうえぐいまねをしているんだが、さすがにもう感覚が変わっているんだろうか。それとも、竜の血のさわやかなピーチジュースふうの色合いのせいだろうか。ちょっとしたシャワータイム気分だ。本来なら気味の悪いはずの血溜まりも、薄いピンク色のせいかなんかオシャレにすら感じる。べたつかないのも不思議だ。
とかカッコつけて言ってるけどー、血をまんべんなく体に塗りつけるという正当な理由の元、初めて自分の肉体を思う存分!まんべんなくさわりまくって満足かなー?(え
と、憎まれ口を叩いているが、本当にイヤならこの段階で入れ替わっていてもおかしくない。俺の意識を一時的にトイレモードにすることだってできたはずだ
※トイレモード…このときだけは、俺は強制的に寝かされている
「あ~~~! そーだ! その手があったかー!」(え
忘れてたんか(汗)(な
「血で沐浴? すごいね~」
声にふり向くと、半身を起こして、きょとんとした美少女がこちらを見ていた。