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第91話 魔竜と魔人

「ない。これじゃない。求めてるのはこれじゃない。」


禁書庫にある書物を閲覧することを許可された私は、手当り次第に自分の身になりうる書物を開いていく。だが中身はどちらかと言うと犯罪にしか使われないような悪質な魔法が多く、使う場面が少ないような魔法ばかりであった。


「確かにこれは禁書だ。。。世に出回らないようにするのにも理解出来る。。。」


内容は想像以上に悲惨なもので、対魔族戦争に向けてプラスとなるような魔法は出てこない。だが、私は希望を捨てずに書物を漁り続ける。


たまにではあるが、少しは使えそうな魔法が出てきたりする。例えば、目で見たものを紙に写し出す魔法だ。所謂写真と言うやつである。これに関しては施設の盗撮や技術の盗撮に使われる観点で禁じられたのだろう。なにかに使えそうな魔法ではある。


「ん?。。。魔竜についての本。。?」


ふと手にとった一冊の本の題名には、『魔竜』と言う文字が記されている。魔物・魔獣・魔族・魔人と様々種類があるが、『魔竜』というのは初めて目にした文字である。


「まぁ文字からして明らかに宜しくないものではあるな。。。」


私はその本について詳しく読んでみる。内容は至って単純で、魔竜についての記述が長ったらしく記されているだけであった。文章において最初の説明文が個人的に最も知りたいことが記されていることが多いが、この本も同様に前半に魔竜についての説明があった。


要約するとこうだ。魔竜というのは文字通り魔力を保持した竜である。生命力を保持した竜とは全くの別物で、複数の魔法属性を巧みに扱う事が出来ると記されている。


どうやら、魔獣の内に属するがあまりにも強力な為、魔獣とは区別せずに魔竜として区別する。魔竜はとても賢く、言語を理解することが出来るとも記されていた。


「う、嘘だろ。。。。もしこれが本当なら。。。。」


そして最後に私が驚愕した文章。。。それは『魔竜は魔人との主従関係にある。』という一文である。


「冗談じゃない。賢いから言語が通じる。つまり、魔人語が魔竜と魔人間で通じるということだ。魔人よりも火力はあると考えられるが、魔人との主従関係があるならば、魔人の命令で魔竜を動かせるということ。。。。これは一大事かとしれない。。。」


私は嫌な予感がしてならなかった。もし、魔人語で記されていたあの『+α‬』の文字が、魔竜のことを示していたとしたら。。。戦力がいくらあっても足りないのではないだろうか。


「これはまずいぞ。。。必ずしも魔竜が現れるとも限らない。だが、可能性としては十分にある。それに話が繋がってしまう。。。主従関係……これがどれほど強いものなのかが分からない。。。我々人間側が圧倒的不利じゃないか。。。」


幸いここにあるおよそ5000冊にもなる書物の殆どは読破していた。残るは毒草や呪いについての書物ばかりである。正直今の私には必要ないと言える。私は書物を元あった場所に片付けた後、一目散にシュタイズの元へ向かう。


「シュタイズさん!!」


「おう、ソータ君か。色々と忙しくなってきてな。私も走り回ってるぞ。」


「それはいいとして、大変です!!新しい情報があります!!」


上へ上へ繋がる長い螺旋階段を登って扉を開け放った目の前に、運良くシュタイズが居た。私は自分が知り得たある1つの可能性をシュタイズに説明した。現段階ではまだ憶測に過ぎない。だが、警戒することに無駄はないのだ。警戒することを怠って、対策を何もしないのはそれは怠惰である。


「…………魔竜…………。聞いたことはあるが。。。」


私の説明にイマイチ釈然としない回答をするシュタイズ。何か引っかかる点があるのだろうか。シュタイズ程の歴戦の経験がある人物からの観点の方が、私よりも現実味があるというもの。現場をあまり知らない私だ。シュタイズの考えていることも分からない。


「魔獣の中に確かに魔法を扱う竜種はいる。恐らくそれのことを一部の者は"魔竜"と称しているのだろう。それは私も知っている。確かに魔獣よりも並外れた戦闘能力を持っているのは確かだからな。」


「なにか、、、気になる点が?」


「あぁ。そうだな。私の経験上、魔竜と魔人が一緒に行動している場面を見たことが一度たりともないんだ。今まで魔人とも、いくつかの魔竜とも対峙してきた。だが、一度もその場に2種が一緒に存在していることはなかったぞ。主従関係にあると言ったが。。。私には少し引っかかるな。」


シュタイズは今まで数多の戦闘を経験してきた強者だ。経験豊富であり、魔人のことも魔竜のことも恐らく王国で最も詳しいのではないだろうか。そんなシュタイズの話によれば、魔人と魔竜が同じ場所にいた事は一度もないという。


可能性として考えられるのは、単純に主従関係にないから。ただ反対に最悪の場合の可能性としてあるのが、 "主従関係にあるからこそ、会わないようにしている" という可能性だ。魔人の命令により魔竜が行動していれば、魔人は魔竜の行動状況がわかる。命令をしているにも関わらず、態々その場所に出向くこと少し考えにくいのだ。


「可能性として考えられる一つを言った迄です。対策をするかしないかは、シュタイズさん次第です。私は言いました。あとは任せます。」


「そう言われてしまえば、対策しないと後々何かあった時に怒られそうだな。」


私は半ば強引に相手の意向を形づける。相手のプライドというものを借りてでの作戦だ。良いようにシュタイズは乗ってくれる。対策をしてくれると言ってくれているのであれば、私は更なる情報を得る為に探りを入れに行く。

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